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タスペーサーは必要?スレート屋根の縁切りが必要なケース・不要なケース

公開日:2026年09月18日 カテゴリー:屋根メンテナンス

タスペーサーは、すべてのスレート屋根塗装で必ず使用するものではありません。 まず判断するのは、塗装後もスレート屋根の重なり部分に適切な隙間を確保できるかどうかです。

塗装によって屋根材の重なり部分が塗膜で塞がる可能性がある場合は、 雨水などを排出するための隙間を確保する「縁切り」が必要になります。 タスペーサーは、その縁切りを行う方法の一つです。

一方、もともと十分な隙間があり、塗装後も排水経路を確保できる場合は、 縁切り自体が不要なことがあります。 また、縁切りが必要でも、屋根の形状や状態によっては タスペーサーではなく手作業など別の方法で対応します。

この記事では、主に平板スレート(化粧スレート・カラーベスト・コロニアルなど)の 塗り替えを対象に、タスペーサーや縁切りが必要になるケース・不要になるケースを解説します。

スレート屋根塗装全体の工程については、 スレート屋根の塗装方法|高圧洗浄・下塗り・縁切り・ひび割れ補修 で詳しく解説しています。

この記事の要点

  • タスペーサーは、すべてのスレート屋根に必要ではありません。
  • 最初に「縁切りが必要な屋根か」を判断します。
  • 十分な隙間を確保できる場合は、縁切り自体が不要なことがあります。
  • 縁切りが必要でも、タスペーサー以外の方法を選ぶ場合があります。
  • 大切なのは、塗装後も適切な隙間と排水経路を確保することです。

1.タスペーサーは必要?まず「縁切りが必要か」で判断する

タスペーサーが必要かどうかは、最初から「使う・使わない」で決めるものではありません。 まず、塗装後に縁切りが必要な状態になるかを確認し、 必要な場合にどの方法で隙間を確保するかを判断します。

大きく分けると、 「縁切り自体が不要なケース」 「縁切りが必要でタスペーサーを使用するケース」 「縁切りは必要だがタスペーサー以外の方法で対応するケース」 の3つがあります。

スレート屋根の縁切りとタスペーサーが必要かを判断する流れ
まず縁切りが必要かを確認し、必要な場合にタスペーサー工法が適しているかを判断します。

縁切り自体が不要なケース

スレート屋根の重なり部分に十分な隙間があり、 塗装後も雨水を排出できる状態を維持できる場合は、 縁切り自体が不要になることがあります。

タスペーサーを製造・販売する株式会社セイムでは、 一例として屋根材と屋根材の間に4mm以上の隙間がある場合には、 「縁切り」や「タスペーサー」は不要と案内しています。 詳しくは 株式会社セイム「タスペーサー工法とは」 をご確認ください。

4mmだけで機械的に判断するわけではありません

4mmという数値はメーカーが示している判断例です。 実際には、既存塗膜、屋根材の重なり方、反りや浮き、 今回の塗装によって隙間がどの程度変わるかなども含めて施工業者が確認します。

屋根へ上がってご自身で隙間を測る必要はありません。

縁切りが必要で、タスペーサーを使用するケース

現在の隙間が小さく、塗装によって屋根材の重なり部分が塞がる可能性がある場合は、 塗装後の排水経路を確保するために縁切りが必要になります。

そのうえで屋根の形状や状態がタスペーサー工法に適している場合は、 タスペーサーを屋根材の重なり部分へ挿入して、 塗装後も必要な隙間が残るように施工します。

つまり、 「スレート屋根だからタスペーサーを入れる」のではなく、 「縁切りが必要で、タスペーサー工法が適しているから使用する」 という順番で考えます。

縁切りは必要だが、タスペーサー工法が適さないケース

タスペーサーを使用しないことと、縁切りをしないことは同じではありません。

タスペーサーには屋根勾配などの使用条件があります。 屋根の形状や状態によってタスペーサー工法が適さない場合でも、 縁切りが必要であれば、手作業など別の方法で屋根材の重なり部分を開放し、 必要な隙間を確保します。

使用条件については、 株式会社セイム「タスペーサーについてのご質問」 でも、屋根の勾配など条件があるため施工店へ確認するよう案内されています。

表は左右に動かせます。

屋根の状態と縁切り・タスペーサーの考え方
屋根の状態 縁切り タスペーサー
塗装後も十分な隙間を確保できる 不要な場合あり 不要
塗膜で隙間が塞がる可能性があり、使用条件にも合う 必要 使用を検討
縁切りは必要だがタスペーサー工法が適さない 必要 手作業など別方法で対応

2.スレート屋根はなぜ「縁切り」が必要になることがある?

スレート屋根には、屋根材の重なり部分から水分を排出するための隙間があります。 塗装によってこの隙間が塞がる可能性がある場合に、縁切りが必要になります。

スレート屋根には雨水を排出するための隙間がある

平板スレート屋根は、薄い屋根材を上下に重ねながら施工されています。 新築時には上下の重なり部分に隙間があり、 屋根材の裏側へ回った雨水などを外へ排出する役割があります。

株式会社セイムでは、新築時の平板スレート屋根には 上下の重なり部分に約4mmの隙間があり、 雨水の排出や屋根材裏面の通気性を確保するための隙間と説明しています。

塗装すると重なり部分が塗膜で塞がることがある

スレート屋根をローラーなどで塗装すると、 屋根材の重なり部分にも塗料が入り込みます。

入り込んだ塗料が硬化すると、 本来あった隙間が狭くなったり、 上下の屋根材が塗膜によってつながった状態になったりすることがあります。

そのため、屋根塗装では単に表面をきれいに塗るだけではなく、 塗装後の重なり部分がどのような状態になるかまで考えて施工する必要があります。

隙間が塞がると雨水を排出しにくくなる

屋根材の縦方向の継ぎ目などから内部へ回った水分は、 本来、上下の重なり部分にある隙間から排出されます。

ところが、その排水経路が塗膜で塞がれると、 屋根材の裏側に水分が滞留しやすくなります。 状態によっては下地への影響や雨漏りにつながる可能性があります。

スレート屋根の適切な隙間と塗膜で重なり部分が塞がった状態の比較図
適切な隙間が確保されている状態と、重なり部分が塗膜で塞がった状態を比較した模式図です。

「隙間が塞がれば必ず雨漏りする」という意味ではありません

雨漏りには、防水紙や下地、屋根形状、劣化状態など複数の要因が関係します。 縁切りは、スレート屋根の塗り替えで本来の排水経路を確保するために行う工程です。

雨漏りは縁切りの状態だけで判断するものではなく、防水シート(ルーフィング)や板金、取り合い部分なども含めて原因を確認する必要があります。 屋根塗装で雨漏りが直らない理由や、塗装では直せない原因と必要な修理はこちらで詳しく解説しています。

縁切りの目的は「塗膜を切ること」ではなく隙間の確保

「縁切り」という名前から、 カッターで塗膜を切る作業そのものを指すと思われることがあります。

しかし重要なのは道具や作業方法ではありません。 塗装後も屋根材の重なり部分に適切な隙間を確保し、 水分を排出できる状態を保つこと が縁切りの目的です。

タスペーサーは、この目的を達成するための方法の一つです。

3.タスペーサーとは?手作業による縁切りとの違い

タスペーサーは、平板スレート屋根の塗り替え時に 適切な隙間を確保するために使用する縁切り専用部材です。 従来の手作業による縁切りとは、施工するタイミングや方法が異なります。

タスペーサーは平板スレート屋根の縁切りに使う専用部材

タスペーサーは、屋根材と屋根材が重なっている部分へ挿入し、 必要な隙間と通気性を確保するための専用部材です。

瓦屋根や金属屋根など、すべての屋根材で使用するものではありません。 主に平板スレート屋根の再塗装時に使用します。

スレート屋根の重なり部にタスペーサーを挿入している施工写真
市川塗装の施工例。スレート屋根の重なり部分にタスペーサーを挿入し、必要な隙間を確保します。

タスペーサーは所定の工程で挿入し、隙間を確保する

タスペーサーは、製品ごとに定められた施工工程で挿入し、 その後の塗装で屋根材の重なり部分が塞がりにくい状態をつくります。

タスペーサー01と02では施工タイミングが異なります

メーカー施工要領では「タスペーサー01」は下塗り前、 「タスペーサー02」は下塗り後の挿入を推奨しています。 そのため「タスペーサーは必ず下塗り後に入れる」と一律には説明できません。

詳しくは 株式会社セイム「屋根塗装工事(塗り替え)の流れ」 をご確認ください。

手作業の縁切りは塗装後に重なり部分を開放する

従来の縁切りでは、塗装が終わり塗膜が乾燥した後に、 カッターや皮スキなどを使って屋根材の重なり部分を開放します。

タスペーサー工法とは方法が異なりますが、 どちらも目的は同じで、 塗装後の屋根に必要な隙間と排水経路を確保するために行います。

タスペーサーは施工後に取り外さない

タスペーサーは、塗装が終わった後に取り外す部材ではありません。 所定の位置へ挿入した状態で工事を完了します。

メーカー公式資料でも、 挿入したタスペーサーはそのまま残して工事を完了する施工方法が案内されています。

表は左右に動かせます。

タスペーサー工法と手作業による縁切りの違い
比較項目 タスペーサー工法 手作業による縁切り
方法 専用部材を挿入して隙間を確保 塗膜を開放して隙間を確保
作業時期 製品・施工仕様による 主に塗装後
目的 適切な隙間・排水経路の確保 適切な隙間・排水経路の確保
適否 屋根形状・状態などで判断 屋根状態に応じて判断
工事後 タスペーサーを残す 専用部材は残らない

どちらが「上」という比較ではありません

タスペーサー工法と手作業の縁切りは施工方法が異なります。 屋根の状態や形状、既存塗膜などを確認し、 その屋根に合った方法を選ぶことが重要です。

4.市川塗装ではタスペーサーの必要性をどう判断する?

市川塗装では、スレート屋根だからという理由だけで、 すべての屋根へ一律にタスペーサーを設置するという判断はしていません。

実際の重なり部分や既存塗膜などを確認し、 塗装後も適切な隙間を確保できる施工方法を選びます。

スレート屋根だから一律に使用するわけではない

同じスレート屋根でも、建物ごとに状態は異なります。 重なり部分に十分な隙間がある屋根もあれば、 過去の塗装によって隙間が狭くなっている屋根もあります。

そのため「スレート屋根=タスペーサー必須」という一律の判断ではなく、 現在の状態を確認して決めます。

初回塗装・再塗装だけでも判断しない

初めて屋根塗装をする住宅では、 屋根材の重なり部分に比較的十分な隙間が残っていることがあります。 このような場合、塗装後も隙間を確保できると判断できれば、 タスペーサーを使用しないことがあります。

一方、初回塗装でも隙間が小さく、 塗装によって塞がる可能性がある場合は縁切りを検討します。

再塗装でも同様です。 既存塗膜があるという理由だけで自動的にタスペーサーを使用するのではなく、 実際の重なり部分の状態を確認します。

重なり部の隙間・既存塗膜・反りや浮きなどを確認する

市川塗装では、縁切りやタスペーサーの必要性を判断するときに、 主に次のような状態を確認します。

  • 屋根材の重なり部分にどの程度の隙間があるか
  • 過去の塗装による塗膜が重なり部に残っていないか
  • スレートに反りや浮きがないか
  • 今回の塗装によって重なり部分が塞がる可能性があるか
  • タスペーサー工法を使用できる屋根形状・状態か

これらは施工業者が屋根の状態を確認して判断する専門事項です。 お客様自身が屋根へ上がったり、細かな隙間を測ったりする必要はありません。

屋根に合った方法で適切な隙間を確保する

市川塗装の現場見解

市川塗装では、タスペーサーを入れること自体を目的にはしていません。 重なり部分や既存塗膜の状態などを確認し、 塗装後も適切な隙間と排水経路を確保できる方法を選びます。

十分な隙間がある場合は無理にタスペーサーを使用せず、 縁切りが必要でタスペーサー工法が適していれば使用します。 タスペーサーが適さない場合は、必要に応じて別の縁切り方法を選びます。

タスペーサー以前に、塗装が適さない屋根もあります

屋根材に多数の割れや層間剥離、著しい強度低下などがある場合は、 タスペーサーを使用するかどうかより先に、 その屋根を塗装で維持できる状態なのかを判断する必要があります。

詳しくは 塗装できない屋根材とは?パミール・コロニアルNEOの見分け方 で解説しています。

5.見積書に「タスペーサー」がある・ない場合はどう考える?

見積書に「タスペーサー」の記載がないだけで、 施工上の問題があるとは判断できません。 反対に、タスペーサーが記載されているだけで、 その屋根に必ず必要とも判断できません。

記載がなくても、それだけでは判断できない

タスペーサーの記載がない理由としては、 もともと十分な隙間があり縁切り自体が不要な場合や、 タスペーサーではなく別の方法で縁切りする場合があります。

したがって、 「タスペーサーが見積書にない=縁切りをしない」 とは限りません。

記載されていても、必要性は屋根によって異なる

反対に、見積書へタスペーサーが入っているからといって、 すべての屋根で必要とは限りません。

大切なのは、 現在の屋根の状態を確認したうえで、 なぜタスペーサーを使用するのか説明できることです。

確認するなら「使う・使わない」より判断理由

見積もりの段階で気になる場合は、 次の3点程度を施工業者へ確認すれば十分です。

  1. 今回の屋根ではタスペーサーを使用する予定か
  2. 使用しない場合は、縁切り自体が不要なのか
  3. 縁切りが必要な場合は、どの方法で隙間を確保するのか

お客様が屋根へ上がって隙間を測ったり、 塗装中の施工状態を細かく監視したりする必要はありません。 必要な施工方法と、その理由を業者側が説明できることが大切です。

メーカーも、見積書に「縁切り」「タスペーサー」が記載されていない場合には、 縁切りを行うのか、どの方法で行うのかを施工店へ確認するよう案内しています。

タスペーサーの費用について

タスペーサーの費用は屋根面積や屋根形状、施工条件によって変わります。 市川塗装では、2026年7月時点の費用記事で タスペーサーを約300円/㎡(税抜)の目安として掲載しています。

屋根塗装全体の費用については 外壁塗装と屋根塗装を同時にするといくら?別々に行う場合との費用比較 をご覧ください。

6.まとめ|タスペーサーの有無より「適切な隙間の確保」が重要

タスペーサーは、すべてのスレート屋根塗装で必要になる部材ではありません。

  • まず、縁切りが必要な屋根かを判断する
  • 十分な隙間を確保できれば、縁切り自体が不要な場合がある
  • 縁切りが必要でタスペーサー工法が適していれば使用する
  • タスペーサーが適さない場合は、別の方法で縁切りする
  • 大切なのは、塗装後も適切な隙間と排水経路を確保すること

市川塗装では、屋根ごとの重なり部分や既存塗膜などを確認したうえで、 タスペーサーの使用を含めた適切な縁切り方法を判断しています。

メーカー資料・参考情報

メーカー公式資料 最終確認日:2026年9月18日

本記事は、市川塗装の施工経験およびメーカー公表資料をもとに作成しています。 実際の施工では、屋根材・既存塗膜・屋根形状・施工履歴などを確認して判断します。

スレート屋根の塗装について相談したい方へ

タスペーサーが必要かどうかは、実際の屋根の状態によって変わります。 市川塗装では屋根材や既存塗膜の状態を確認し、 必要な工事内容をご説明したうえでお見積もりします。

PROFILE
プロフィール写真
市川 明彦
AKIHIKO ICHIKAWA
1級建築塗装技能士・2級建築士|複数の職場で建築塗装・建物メンテナンスの経験を積む。雨漏り診断士・戸建住宅劣化診断士・窯業サイディングメンテナンス診断士の資格も保有。現場で得た知識や判断基準を分かりやすく公開し、誠実な情報発信に取り組んでいる。
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