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外壁塗装前の高圧洗浄はなぜ必要?バイオ洗浄との違いと洗浄不足による不具合

公開日:2019年12月25日 カテゴリー:塗料選び・施工品質

 

外壁塗装前の高圧洗浄は、外壁をきれいに見せるためだけの作業ではありません。チョーキングによる粉化物、ほこり、コケ・藻、汚れなど、塗料の密着を妨げるものを除去し、次の塗装工程へ進める下地に整えるための作業です。

洗浄が不十分なまま塗装すると、下地と新しい塗膜の間に粉化物や汚れが残り、十分な付着性を確保しにくくなります。その結果、塗膜の剥がれや仕上がり不良、耐久性への影響につながることがあります。

一方、「バイオ洗浄」は高圧洗浄より常に優れた方法という意味ではありません。通常の水洗浄だけでは落としにくい付着物などに対し、外壁材や既存塗膜、汚れの状態を確認し、必要に応じて洗浄剤の使用を検討します。

この記事の要点

  • 高圧洗浄は、塗装前に下地を整える工程の一つです。
  • 洗浄不足は、塗料の密着不良や剥がれ、仕上がり不良の原因になることがあります。
  • バイオ洗浄はすべての住宅に必要ではなく、汚れや下地の状態に応じて判断します。
  • 水圧の強さだけではなく、洗浄後の下地処理や乾燥まで含めて施工することが重要です。

外壁塗装前に高圧洗浄をするのはなぜ?

外壁塗装前に高圧洗浄を行う主な目的は、塗料が適切に付着できる下地へ整えることです。

塗り替え前の外壁には、長年のほこりや砂、コケ・藻などの付着物に加えて、既存塗膜が劣化して発生した粉化物が残っていることがあります。そのまま新しい塗料を塗っても、塗料は健全な下地ではなく、汚れや粉化物の上に付着することになります。

足場上で外壁に高圧洗浄機の水を噴射して洗浄している作業イメージ
高圧洗浄作業を説明するためのイメージです。

高圧洗浄は塗装前の「下地処理」の一つ

高圧洗浄は、美観を良くするための清掃だけではありません。塗装前に行う下地処理の一つです。

日本ペイント も、汚れや異物、劣化塗膜を残したまま塗装すると十分な付着性を確保しにくく、剥がれや仕上がり不良、耐久性への影響につながると説明しています。

外壁塗装では、高圧洗浄のほか、必要に応じてケレン、ひび割れ補修、シーリング補修、脱脂、下地調整などを組み合わせてから塗装工程へ進みます。

塗装工程全体については、 外壁塗装は3回塗りが基本?塗り回数と塗布量 でも詳しく解説しています。

高圧洗浄で除去するもの

塗装前の高圧洗浄では、主に次のようなものを除去します。

  • 外壁表面のほこり・砂・泥など
  • 劣化した塗膜から発生するチョーキング粉
  • コケ・藻などの表面付着物
  • 雨だれや一般的な外壁汚れ
  • 浮きや付着力が低下した劣化塗膜の一部

高圧洗浄だけですべての下地処理が終わるわけではありません

洗浄で除去できない劣化塗膜や錆などには、状態に応じた別の下地処理が必要です。具体的な処理方法は後半で説明します。

高圧洗浄が不十分だとどうなる?

洗浄不足で汚れや粉化物が残ると、下地と新しい塗膜の間に異物を挟んだ状態になり、適切な密着を妨げる原因になります。

下塗りが下地へ密着しにくくなる

例えば、チョーキングが進んだ外壁には、表面に細かな粉が付着しています。この粉を十分に除去せず、その上から下塗りを行えば、下塗り材が健全な下地へ直接付着しにくくなります。

分かりやすく言えば、粉が付いた面にテープを貼ると剥がれやすいのと似た状態です。実際の塗装はさらに複雑ですが、塗膜を安定させるために、まず塗装できる下地をつくるという考え方は同じです。

洗浄不足で汚れやチョーキング粉が残ると、下塗りの密着を妨げ、剥がれや仕上がり不良の原因になる流れを4段階で示した図表
洗浄不足が塗膜不具合につながる流れを示した説明図です。

チョーキングの程度や塗装時期の判断については、 外壁を触ると白い粉がつく「チョーキング」はすぐ塗装が必要? で詳しく解説しています。

下塗り材そのものの役割については、 外壁塗装の下塗りはなぜ重要?種類と選び方 をご覧ください。

塗膜の剥がれにつながることがある

洗浄不足は、塗装後の剥がれにつながる原因の一つです。ただし、外壁塗装の剥がれは洗浄だけで決まるものではありません。

既存塗膜の状態、外壁材との適合性、下塗り材の選定、塗布量、乾燥状態、水分、施工条件など、複数の要因が関係します。そのため、塗装後に剥がれが発生した場合も、見た目だけで「高圧洗浄不足が原因」と断定することはできません。

塗膜の膨れ・剥がれに関係する原因や補修方法については、 外壁塗装が膨れる・剥がれる原因|施工不良と経年劣化の見分け方 で詳しく解説しています。

ムラや仕上がり不良の原因になる場合がある

汚れや粉化物が残ったままでは、下塗りや上塗りが均一に付着しにくくなり、部分的な艶の違いや仕上がりの乱れにつながる場合があります。

塗装前の下地処理は、耐久性だけでなく、均一な仕上がりをつくるためにも必要です。

高耐久塗料でも下地処理不足は補えない

フッ素塗料や無機塗料など耐候性の高い塗料を選んでも、塗装する下地の状態が整っていなければ、塗料本来の性能を十分に発揮できない可能性があります。

塗料のグレードだけで耐久性は決まりません

外壁塗装では、使用する塗料だけでなく、洗浄・補修・下塗り、塗布量、希釈、乾燥時間など、施工全体を適切に管理することが重要です。

高圧洗浄とバイオ洗浄は何が違う?

高圧洗浄とバイオ洗浄は、「どちらが上か」で比較するものではありません。 通常の水洗浄を基本に、汚れの種類や付着状態によって洗浄剤を使用するかを判断します。

表は左右に動かせます。

高圧洗浄とバイオ洗浄の違い
比較項目 高圧洗浄 バイオ洗浄
基本的な方法 主に高圧の水を使い、粉化物や付着物などを除去する 洗浄剤を使用し、汚れを除去しやすくする
主な対象 チョーキング粉、ほこり、砂、一般的な表面付着物など 使用する洗浄剤の適用範囲に合う頑固な汚れや、製品によってはカビなどの微生物汚染
塗装前の位置付け 塗り替え前の洗浄方法として一般的。ただし下地や工法によって方法は異なる すべての住宅に一律で必要な工程ではない
判断方法 外壁材、既存塗膜、劣化状態などに合わせて施工する 汚れの種類、下地、既存塗膜、使用する洗浄剤の仕様などを確認して判断する

バイオ洗浄は洗浄剤を使用する洗浄方法

「バイオ洗浄」と呼ばれる方法では、洗浄剤を使用して汚れを除去しやすくします。使用する製品によって適用下地、希釈方法、施工方法、対象となる汚れは異なります。

例えば、 エスケー化研「SKクリーナースーパー」 は植物成分を主原料とするバイオ洗浄剤で、一般外壁などの洗浄に使用でき、カビなどの微生物汚染に対する洗浄用途が示されています。

ただし、一つの洗浄剤の性能を「すべてのバイオ洗浄」に当てはめることはできません。実際の施工では、使用する製品の施工仕様と外壁の状態を確認します。

汚れや付着状態によって洗浄剤の使用を検討する

通常の高圧洗浄で十分に除去できる汚れであれば、必ず洗浄剤を使用する必要はありません。一方、強く付着した汚れなどで、水洗浄だけでは十分な除去が難しい場合には、下地への影響も確認しながら薬剤処理を検討することがあります。

外壁のコケ・カビ・藻について、洗浄だけで済む場合と塗り替えを検討する場合の違いは、 外壁のコケ・カビ・藻は塗り替えのサイン?洗浄だけで済む場合も解説 で詳しく説明しています。

市川塗装の現場見解

市川塗装の施工経験では、緑色の藻など表面に付着したものは、高圧洗浄で除去できるケースが多くあります。

一方、高圧洗浄だけでは十分に除去できない付着物がある場合は、外壁材や既存塗膜の状態を確認したうえで薬剤処理を検討します。最初からすべての住宅でバイオ洗浄を行うのではなく、現在の状態に合わせて施工方法を決めます。

お客様が洗浄剤や水圧を細かく管理する必要はありません

使用する洗浄剤、希釈方法、水圧、下地との適合性などは施工業者が管理する専門事項です。施工方法について疑問がある場合は、なぜその方法を選ぶのか説明を受ける程度で十分です。

高圧洗浄は強ければ強いほどよいわけではない

高圧洗浄で重要なのは、最大の水圧をかけることではなく、外壁材や既存塗膜、劣化状態に合わせて洗浄することです。

外壁の状態に合わせて水圧や洗浄方法を調整する

高圧水洗浄の適切な圧力は、下地や既存塗膜の状態によって変わります。劣化した外壁に必要以上の強い水圧を近距離から当てれば、健全な部分まで傷める可能性があります。

逆に、十分な洗浄が必要な面を弱い水圧で短時間洗うだけでは、チョーキング粉や付着物が残る場合があります。

そのため、機械の最大圧力だけを見て施工品質を判断するのではなく、対象面に合わせて施工することが重要です。

傷んだ部分では強い水圧が適さない場合がある

既存塗膜の剥がれ、ひび割れ、シーリングの破断、脆弱になった下地などがある場合は、状態を確認したうえで洗浄方法を調整します。

すでに下地そのものが傷んでいる部分は、高圧洗浄だけで直すことはできません。必要な補修を行ってから次の塗装工程へ進みます。

高圧洗浄で落とせないものは別の下地処理を行う

高圧洗浄を行ったからといって、外壁塗装の下地処理がすべて完了するわけではありません。

  • 浮き・剥がれが残る旧塗膜:ケレンなどで除去する
  • 鉄部の錆:ワイヤーブラシや電動工具などで除錆する
  • 油分など:必要に応じて脱脂する
  • ひび割れや欠損:状態に合った補修を行う

日本ペイントの高圧洗浄に関する説明 でも、高圧洗浄で落としきれなかった劣化塗膜や赤錆には、手工具や電動工具を併用する場合があるとされています。

高圧洗浄後は十分に乾燥させてから下塗りへ進む

高圧洗浄後は、下地が十分に乾燥したことを確認してから次の工程へ進みます。

洗浄直後の外壁は表面だけでなく、凹凸や目地周辺、吸水性のある下地などに水分が残ることがあります。水分が残った状態で塗装すると、適切な施工条件を確保できない場合があります。

ただし、「洗浄後は必ず○時間乾燥させればよい」と一律には決められません。天候、気温、湿度、日当たり、外壁材、既存塗膜などによって乾き方は変わります。

塗料メーカーの塗装仕様でも、下地を乾燥した清浄な状態へ整えてから次工程へ進む考え方が示されています。例えば、 ロックペイントの塗装仕様書 でも下地調整と乾燥状態が施工条件として示されています。実際の施工では、使用する下塗り材や塗装仕様を確認したうえで、施工業者が乾燥状態を判断します。

乾燥時間は一律ではありません

必要な乾燥時間は、天候・気温・湿度・日当たり・外壁材などによって変わります。決め打ちした時間だけで判断せず、下地の乾燥状態と使用する製品仕様を確認して次工程へ進みます。

外壁塗装前の高圧洗浄についてよくある質問

高圧洗浄中は窓を開けられますか?

洗浄水がサッシ周辺などへかかるため、洗浄中は基本的に窓を閉めておきます。換気口などの扱いを含め、工事前に施工会社から案内された内容に従ってください。

雨の日でも高圧洗浄を行うことはありますか?

高圧洗浄自体が水を使う工程のため、小雨程度で作業を行う場合はあります。ただし、強風、雷、足場上での安全性、周囲への水の飛散などに問題がある場合は延期します。実施するかどうかは、当日の天候と現場条件から施工会社が判断します。

まとめ|高圧洗浄は塗料を塗るための下地づくり

外壁塗装前の高圧洗浄は、単に外壁をきれいにするための清掃ではありません。チョーキング粉やほこり、コケ・藻など、塗料の密着を妨げるものを除去し、塗装できる下地へ整えるための工程です。

  • 洗浄不足は、密着不良や剥がれ、仕上がり不良の原因になることがあります。
  • 高耐久塗料を選んでも、洗浄や下地処理が不十分なら本来の性能を十分に発揮できない可能性があります。
  • バイオ洗浄はすべての住宅に必要ではなく、汚れや外壁の状態に応じて検討します。
  • 高圧洗浄は強ければよいのではなく、下地に合わせた水圧・洗浄方法が必要です。
  • 洗浄後は十分な乾燥を確認してから下塗りへ進みます。

大切なのは、「バイオ洗浄をしたか」「何MPaの機械を使ったか」といった一つの条件だけで施工品質を判断することではありません。外壁の状態に合わせて、洗浄・補修・下塗りまでを一つの塗装工程として適切に行うことが重要です。

外壁塗装の施工方法について相談したい方へ

市川塗装では、外壁材や既存塗膜、劣化状態を確認し、洗浄・下地処理から使用する塗料まで建物に合わせてご提案します。外壁塗装をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

PROFILE
プロフィール写真
市川 明彦
AKIHIKO ICHIKAWA
1級建築塗装技能士・2級建築士|複数の職場で建築塗装・建物メンテナンスの経験を積む。雨漏り診断士・戸建住宅劣化診断士・窯業サイディングメンテナンス診断士の資格も保有。現場で得た知識や判断基準を分かりやすく公開し、誠実な情報発信に取り組んでいる。
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