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クリヤー塗装ができる外壁・できない外壁|外壁材と劣化状態の判断基準

公開日:2021年03月10日 カテゴリー:塗料選び・施工品質

最終更新日:

クリヤー塗装ができるかは、築年数だけでは決まりません。主な対象は、タイル調などの模様を残したい窯業系サイディングです。ただし、色あせ・チョーキング・表面剥離が進んでいると、透明な塗膜が傷みや補修跡をそのまま見せるため、施工できても仕上がりの面でおすすめできないことがあります。

先に結論

クリヤー塗装の可否は「外壁材・劣化・下地」の3点で判断します

  • 適しやすいのは、意匠性の高い窯業系サイディングで、模様と表面の状態が良好な外壁です。
  • 最初にチョーキングの有無と外壁の傷みを確認し、特に紫外線を受けやすい南面を重視します。
  • 築10年は一つの目安ですが、10年未満でも劣化が進んでいれば不向きで、10年を超えても状態が良ければ検討できます。
  • 難付着サイディングや直張り工法は、一律に不可とせず、表面仕様や湿気の影響まで調べます。

クリヤー塗装ができる外壁・できない外壁の早見表

クリヤー塗装に最も適しているのは、模様を残す価値があり、表面の劣化が少ない窯業系サイディングです。次の表は現地調査前の目安であり、一つの項目だけで最終判定はしません。

クリヤー塗装の主な判断基準
確認項目 検討しやすい状態 慎重な確認・別工法を検討する状態
模様 検討しやすい状態タイル調・石目調など、複数色で意匠性が高い 慎重な確認・別工法を検討単色で、透明仕上げにする意匠上の利点が少ない
外壁材 検討しやすい状態窯業系サイディングで、表面が健全 慎重な確認・別工法を検討モルタル・ALC・タイル・木部・金属など。素材専用仕様の確認が必要
色あせ 検討しやすい状態わずかに薄く見える程度で、色むらが目立たない 慎重な確認・別工法を検討退色が強い、または面ごとの色むらが目立つ
チョーキング 検討しやすい状態白い粉が付かない。ごく軽微なら洗浄後に再判定 慎重な確認・別工法を検討手に明確な粉が付く、洗浄で外壁の色まで落ちる
損傷 検討しやすい状態小さなひび割れなど、目立ちにくく補修できる範囲 慎重な確認・別工法を検討表面剥離・反り・欠損・層間剥離(表層が層状に剥がれる症状)がある
表面加工 検討しやすい状態商品と仕様が確認でき、適合する塗装仕様がある 慎重な確認・別工法を検討光触媒・無機・フッ素などの高耐候コーティングが不明、または難付着面
施工方法・湿気 検討しやすい状態通気層があり、雨水や内部結露による異常が見られない 慎重な確認・別工法を検討直張りで、凍害・膨れ・剥がれ・局所的な水分影響が疑われる

クリヤー塗装は外壁の模様を残す塗装です

クリヤー塗装は、顔料で外壁を塗りつぶすのではなく、透明な塗膜で表面を保護する塗装です。一般に「クリア塗装」とも呼ばれます。タイル調や石目調の窯業系サイディングに使うと、目地と表面の色分けや細かな模様を残せます。

一方、クリヤー塗料には、下地を隠す力がありません。色あせ、洗浄後のまだら、補修材の色、ひび割れの補修跡、表面の剥がれは、基本的に塗装後も見えます。塗ると濡れたように色が濃く見え、艶が出るため、施工前より傷みが目につく場合もあります。

クリヤー塗装では外壁の模様とともに色あせや補修跡も見えることを示す図
説明図:クリヤー塗装は既存模様を残す一方、色あせや補修跡も隠しません。

クリヤー塗装の艶を選ぶときは、外壁塗装の艶あり・5分艶・3分艶・艶消しの違いもあわせてご覧ください。

向いている目的:気に入っている既存の模様を残しながら、外壁表面を保護したい。

向いていない目的:色あせや汚れた印象、補修跡を塗料で隠して均一に見せたい。

外壁材・模様・表面加工で施工可否が変わります

住宅外壁のクリヤー塗装で中心となるのは、窯業系サイディングです。ただし、同じ窯業系でも、模様、表面コーティング、過去の塗装歴によって適性が変わります。

クリヤー塗装を検討しやすい多色の窯業系サイディング
説明用イメージ:模様が残り、チョーキングや剥離が少ない状態はクリヤー塗装を検討しやすい例です。実際の施工事例写真ではありません。

多色のタイル調・石目調はクリヤー塗装の利点が大きい

目地の色と表面の色が異なるものや、複数色が混ざったサイディングは、単色で塗り替えると新築時の意匠が隠れます。外壁の状態が良く、その模様をお客様が気に入っているなら、クリヤー塗装を検討する価値があります。

反対に、もともと単色のサイディングは、クリヤー塗装にしても外観上の変化が限られます。市川塗装では、単色外壁へクリヤー塗装を積極的に提案することは通常ありません。色付き塗料で同系色に整えたほうが、色むらや補修跡を隠しやすいためです。

モルタル・ALC・タイル・木部・金属は同じ仕様では塗れない

モルタルやALCの一般的な外壁塗装では、窯業系サイディングの模様を残すためのクリヤー塗装を基本仕様にはしません。タイル、木部、金属サイディングには、それぞれの素材に使える透明保護材がありますが、下地処理も目的も異なります。素材に合う専用製品の適用範囲を確認する必要があります。

光触媒・無機・フッ素加工は「一律不可」ではなく仕様を照合する

新築時に光触媒、無機、フッ素などの高耐候コーティングが施されたサイディングは、一般的な塗料が密着しにくい「難付着サイディング」の可能性があります。この場合は、難付着面に対応するクリヤー用下塗り材を入れる仕様や、下塗り不要で適合する専用システムを選びます。

商品名が分からないときは、図面・仕様書、築年、ハウスメーカー、当時使われていた建材、表面の艶や手触りから情報を集めます。分かる範囲で候補を絞り、塗料メーカーの最新仕様と照合してから決めます。

色付き塗料で塗り替えた外壁には原則提案しない

すでに単色の色付き塗料で塗り替えた外壁へクリヤー塗装をしても、新築時の模様は戻りません。既存塗膜の状態や色むらが透けるため、模様を残す目的のクリヤー塗装としては原則提案しません。多彩仕上げの保護として透明塗料を使える場合はありますが、既存塗膜と製品仕様の確認が前提です。

色あせ・チョーキング・築年数はセットで判断します

クリヤー塗装の可否を左右するのは、築年数そのものより、外壁表面にどこまで劣化が出ているかです。市川塗装では、まず壁を触ってチョーキングが出るかを確かめ、色あせ、表面剥離、ひび割れ、反り、欠損を見ます。

築10年は目安であり、期限ではない

クリヤー塗装は「築10年程度まで」が一つの目安として案内されることがあります。しかし、築10年未満でも表面が剥がれ、強い色あせがあれば見送ります。反対に、耐候性の高い外壁材で表面の状態が良ければ、築10年を超えても検討できます。

市川塗装では、築15年ほどでも劣化が少なく、クリヤー塗装を行った経験があります。ただし、これはすべての築15年の住宅に当てはまる基準ではありません。年数は調査のきっかけにし、最終判断は現況で行います。

南面を最優先し、次に西面を確認する

同じ住宅でも、紫外線や雨の当たり方によって劣化は均一ではありません。一般に市川塗装の現地調査では南面が最も厳しく、次に西面を注意して確認します。北面は苔が付いていても、洗浄後に表面が比較的良好な場合があります。

南面が良好なら、他の面もクリヤー塗装を検討しやすくなります。南面だけ強く退色している場合は、その面だけ透明塗装にすると外観の差が残るため、建物全体として別の仕上げを選ぶことがあります。外壁の区切りやデザインが明確なら、面ごとに仕上げを変えられるかも検討します。

軽微なチョーキングは洗浄後に再判定する

チョーキングとは、塗膜が劣化して表面に白い粉が出る現象です。手に明確な粉が付く状態では、クリヤー塗装は慎重に考えます。ごく軽微で、南面の一部に少し出る程度なら、目立たない範囲で洗浄後の状態を確認し、施工を続けられるか再判定することがあります。

高圧洗浄で汚れや苔だけが落ちるなら、外壁本来の模様を残せる可能性があります。しかし、洗浄で外壁の色まで落ち、落ちた箇所と残った箇所がまだらになるなら、透明塗膜では隠せません。水圧をむやみに上げず、外壁の状態に合わせて洗うことが必要です。

クリヤー塗装に不向きなチョーキングと色あせが進んだ外壁
説明用イメージ:チョーキングや退色が強い場合は、洗浄後の色むらや補修跡を透明塗膜で隠せません。実際の劣化診断写真ではありません。

直張り工法は、塗装前に水分の影響を確認します

直張り工法だからクリヤー塗装が必ずできない、ということではありません。ただし、外壁の裏側に十分な通気層がない構造では、水分が抜けにくく、凍害(外壁材に含まれた水分が凍結・膨張して表面を傷める現象)や、塗膜の膨れ・剥がれにつながることがあります。すでに症状が出ているなら、クリヤーか色付きかにかかわらず、塗装だけで解決しようとしないことが大切です。

窯業系サイディングの通気工法と直張り工法における水分の逃げ方の違い
説明図:図のような横張りサイディングの通気工法では、防水シートの上に縦胴縁を施工し、サイディングとの間に通気層を確保します。直張り工法では、水分の影響を慎重に確認します。

通気工法は外壁裏側の水分を排出しやすい

通気工法では、サイディングと防水層の間に通気層を設け、入り込んだ雨水や湿気を排出・乾燥しやすくします。直張り工法との違いは、単に施工年代だけではなく、この水分の逃げ道があるかどうかです。

水回り周辺だけの剥がれは内部結露も疑う

外からの明らかな水の侵入口がないのに、北面の一部や、浴室・洗面所・台所・トイレの外側だけに剥がれが集中している場合は、内部結露や湿気の影響も調べます。ただし、場所だけで原因を断定はできません。シーリング、窓回り、笠木、配管貫通部など、外から雨水が入る経路も同時に確認します。

原因が特定でき、補修と塗装で当面の再発を抑えられるなら塗装を検討できます。一方、構造的に水が集まり続ける、外壁材の反りで固定できない、表層が層状に剥がれる層間剥離や欠損が広がっている場合は、部分張り替えやカバー工法など、原因に合う改修を優先します。

専門業者は現地調査で何を確認するのか

現地調査では、外壁の見た目だけでなく、方角ごとの差、密着性、表面加工、補修後の見え方まで確認します。市川塗装では、おおむね次の順番で調査します。

  1. 遠目で建物全体を見る:面ごとの色差、苔、雨だれ、反りなど、広い範囲の異常を把握します。
  2. 東西南北を順に見る:南面と西面の退色、北面の苔や水回り周辺の局所劣化を比べます。
  3. 近くで外壁と目地を見る:シーリングの破断、ひび割れ、表面剥離、欠損、補修跡を確認します。
  4. 触れて確認する:手の届く範囲でチョーキング、艶、表面の硬さや手触りを確かめます。
  5. 資料と仕様を照合する:図面、築年、ハウスメーカー、外壁材や塗料の仕様から適合する工法を絞ります。

必要な場合だけ密着確認や試験塗りを行う

既存表面の密着性に疑問があるときは、お客様の了承を得たうえで、目立たない場所に小さな切り込みを入れ、粘着テープを貼って剥がれ方を見る簡易確認を行うことがあります。これは専門業者が条件を管理して行う確認であり、ご自身で試す方法ではありません。また、簡易確認だけで長期の耐久性を保証できるものでもありません。

試験塗りは毎回行うものではありませんが、濡れ色や艶、補修跡の見え方を事前に確認したい場合に有効です。例えば、劣化が強く、かつ目立ちにくい場所へ10cm角ほど試し塗りし、模様の戻り方、色むら、補修箇所の透け方をお客様と確認します。

クリヤー塗装の濡れ色と艶を確認する試験塗り
説明用イメージ:試験塗りで濡れ色、艶、補修跡の見え方を確認します。実際の施工事例写真ではありません。

塗装回数とシーリングは外壁・製品仕様に合わせます

クリヤー塗装は、どの外壁でも同じ工程ではありません。一般的な窯業系サイディング用クリヤーには、透明塗料を2回塗る仕様があります。一方、難付着サイディングでは専用下塗り材の後にクリヤーを塗る仕様や、難付着面へ直接2回塗りできる製品があります。

市川塗装では、商品名だけで塗装回数を決めず、適用下地、下塗りの要否、標準塗付量、塗り重ね乾燥時間など、採用時点のメーカー仕様を確認します。シリコン系・フッ素系・無機系にはそれぞれ製品がありますが、樹脂名だけでなく、外壁材との相性と必要な耐久計画から選びます。

現行製品の例では、菊水化学工業の「ロイヤル無機αクリヤー」は、高耐候性コーティングのサイディングにも適用できることを公表しています。塗装回数や適合下地は、製品ページだけでなく、採用時点の最新カタログ・施工仕様書まで確認します。一つの製品仕様をほかのクリヤー塗料へそのまま当てはめることはできません。塗料グレードの違いは、シリコン・フッ素・無機塗料の比較も参考にしてください。

目地シーリングは後打ちを基本とする

クリヤー塗装では、市川塗装は目地シーリングの後打ちを基本としています。先に外壁をクリヤー塗装し、その後に既存シーリングを撤去して新しいシーリングを充填する流れです。ただし、使用するシーリング材と塗装システム、目地の構造によって適切な順番は変わるため、メーカー仕様を優先します。

シーリング色は、退色した既存シーリングだけを基準にしません。撤去後に見えるサイディングの目地色や、柄の溝部分の色に合わせて選びます。小さなひび割れの補修は、補修材の見え方を考え、クリヤー塗装の前に行う場合と後に行う場合があります。

クリヤー塗装ができない場合は、残したい外観と傷み方で選びます

クリヤー塗装を見送っても、外壁を直す方法がなくなるわけではありません。傷みを隠して整えるのか、複数色の表情を再現するのか、外壁材自体を直すのかで選択肢が変わります。

表は左右に動かせます。

クリヤー塗装が不向きな場合の主な選択肢
選択肢 向いている状態・希望 注意点
単色塗装 色あせや補修跡を隠し、全体を均一に整えたい 既存の多色模様は塗りつぶされる
多彩模様仕上げ 単色にはしたくなく、複数色の立体感を残したい 新築時と全く同じ柄の再現ではない。見本で確認する
2色塗り 凹凸を利用して目地と表面を塗り分けたい 形状によって仕上がり差が出るため、すべての柄に向くわけではない
部分張り替え 剥離・反り・欠損が局所的で、原因を直せる 同じ外壁材が廃番の場合、色や柄を完全には合わせにくい
張り替え・カバー工法 塗装では復旧できない傷みがある、外観を大きく変えたい 下地、建物重量、通気・防水計画まで含めた検討が必要

市川塗装では、まず単色塗装を基本案として比較し、「単色ではなく模様を残したい」という希望があれば多彩模様塗装を検討します。2色塗りは外壁の凹凸や仕上がりの相性があるため、常に優先する提案ではありません。塗装で直せない劣化には、外壁の張り替え・カバー工法を含めて比較します。

市川塗装の判断を3つの例で整理

次は、今回の判断基準を分かりやすくするための典型例です。特定のお客様宅の施工事例ではなく、実際の現地調査で重視している考え方を整理したものです。

例1:模様が良好ならクリヤーを検討

状態:タイル調の窯業系サイディング。南面を含めて色あせが軽微で、チョーキングがほとんどない。

判断:表面加工と適合塗料を確認し、模様を残すクリヤー塗装を候補にします。

例2:南面の退色が強ければ見送る

状態:北面は良好だが、南面は色落ちとチョーキングが目立ち、洗浄後のまだらが予想される。

判断:透明塗膜では隠せないため、単色または多彩模様仕上げを比較します。色の異なる補修跡が広い場合も同じ考え方です。

例3:局所的な剥がれは原因を先に調べる

状態:水回りの外側や開口部周辺だけに剥がれ・反りがある。外壁材内部の水分影響も疑われる。

判断:雨水の侵入経路、内部結露、直張りの状態を調べ、必要なら部分交換や排水・通気の改善を優先します。

クリヤー塗装後も模様が残った窯業系サイディングの仕上がりイメージ
仕上がりイメージ:クリヤー塗装では既存の多色模様を残しながら表面を保護します。実際の施工事例写真ではありません。

まとめ|模様を残せるかは、最も傷んだ面で判断します

クリヤー塗装は、気に入っている窯業系サイディングの模様を残せる工法です。ただし、透明だからこそ、色あせ、洗浄後のまだら、補修跡、剥離を隠せません。判断では、築年数だけでなく、南面の状態、チョーキング、表面加工、過去の塗装歴、外壁内部の水分影響まで確認します。

状態が良ければ築10年を超えても検討でき、反対に築10年未満でも見送る場合があります。クリヤー塗装にこだわるより、完成後に外壁がどう見えるか、劣化原因を直せるかを優先して選ぶことが大切です。

クリヤー塗装ができる状態か、まず確認します

市川塗装では、外壁材、南面の劣化、チョーキング、表面加工、施工方法を現地で確認します。模様を残したい方も、色付き塗装と迷っている方も、現在の状態から比較できます。

参考資料

市川塗装の施工可否・現地調査・代替工法に関する記述は、市川明彦への専門家ヒアリングをもとに編集しています。

PROFILE
プロフィール写真
市川 明彦
AKIHIKO ICHIKAWA
1級建築塗装技能士・2級建築士|複数の職場で建築塗装・建物メンテナンスの経験を積む。雨漏り診断士・戸建住宅劣化診断士・窯業サイディングメンテナンス診断士の資格も保有。現場で得た知識や判断基準を分かりやすく公開し、誠実な情報発信に取り組んでいる。
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