
結論からいうと、同じ製品に複数の艶設定がある場合、艶に強いこだわりがなければ、市川塗装では「艶あり」を第一候補として提案します。ただし、すべての塗料で艶ありが必ず長持ちするわけではないため、製品ごとの仕様確認が必要です。
一方、黒・濃いグレー・濃紺などの濃色や、表面が平滑な外壁は光沢が強く見えます。ピカピカした仕上がりを避けたい方には5分艶、より自然に見せたい方には3分艶または艶消しが候補です。
艶の選択肢は塗料によって異なり、同じ「5分艶」でも色、外壁材、光の当たり方によって見え方は変わります。名称だけで決めず、最後は実際に使用する製品の塗り板を屋外で確認することが大切です。
希望別の選び方
光沢が気にならなければ、同じ製品内では艶ありを基準に検討します。
艶ありと見比べやすい5分艶が候補です。
3分艶または艶消しを検討します。
外壁塗装の艶の主な呼び方は5つ
外壁塗装の艶は、光沢の強い順に「艶あり・7分艶・5分艶・3分艶・艶消し」と呼ぶのが一般的です。艶消しは「艶なし」と表現されることもあります。
7分艶、5分艶、3分艶は、すべての塗料で光沢を厳密に70%、50%、30%へ下げるという意味ではありません。呼び方は比較の目安であり、実際の光沢感は製品、色、下地、塗装方法、乾燥条件などで変わります。
5種類の見え方と注意点
表は左右に動かせます。
| 艶 | 見え方の目安 | 向いている方・主な注意点 |
|---|---|---|
| 艶あり | 光をよく反射し、塗り替えた印象が出やすい | 同じ製品内で比較し、光沢への抵抗が少なく、耐久性を優先したい方。濃色、平滑面、金属面では光沢や下地の波打ちが目立ちやすい |
| 7分艶 | 艶ありに近い光沢を少し抑えた印象 | 艶ありに近い光沢感を残しつつ、わずかに落ち着かせたい方。艶ありとの差が分かりにくい場合があり、製品によっては設定がない |
| 5分艶 | 光沢と落ち着きの中間 | ピカピカ感は避けたいが、完全な艶消しまでは求めない方。塗り継ぎや後日の部分補修で艶の差が見えやすい |
| 3分艶 | わずかな光沢で、自然かつ落ち着いた印象 | 新築時のサイディングに見られるような控えめな質感や、モダンな外観にしたい方。艶ムラと補修跡を抑えるため、均一な施工が重要 |
| 艶消し | 光の反射が少なく、マットで素材感のある印象 | 和風、モルタル、左官調などの質感を保ちたい方。製品によって選択肢や施工方法が異なるため、低汚染性などの仕様確認が必要 |
選べる艶は塗料ごとに異なる
5種類すべてから自由に選べるとは限りません。たとえば、エスケー化研の「クリーンマイルドウレタン」は、公式製品仕様で艶有り・7分艶・5分艶・3分艶を設定しています。一方、アステックペイントの「シリコンREVO1000-IR」は、艶有・3分艶・艶消の設定です。
「5分艶にしたい」と考えていても、採用予定の塗料には5分艶がない場合があります。先に塗料を決め、その製品で選べる艶を確認するのが基本です。塗料の絞り込み方は、塗料選びのポイントでも解説しています。
艶の設定は、エスケー化研「クリーンマイルドウレタン」製品情報、アステックペイント「シリコンREVO1000-IR」製品情報で確認できます。
外壁塗装の艶は希望する仕上がりから選ぶ
艶選びで最初に決めたいのは、「耐久性を優先するか」「完成後の見た目を優先するか」です。どちらが正解ということではありません。毎日見る外観だからこそ、塗膜の性能だけでなく、住む方が納得できる仕上がりを選ぶ必要があります。
迷った場合、市川塗装では艶ありを最初に提案
厳密な件数集計ではありませんが、市川塗装の施工経験では、主な艶のうち最も多く選ばれているのは艶ありです。艶に特別な抵抗がなく、同じ製品の艶違いから選ぶ場合は、耐久性を優先する基準として艶ありを最初に提案します。
これは市川塗装の現場での提案方針であり、すべてのメーカー、すべての製品で「艶ありなら必ず長持ちする」と一律に断定するものではありません。最終的には、その製品の仕様、外壁材との適合性、施工条件を確認して判断します。
光沢を抑えたいなら5分艶、自然さを求めるなら3分艶・艶消し
「艶ありでは塗った直後のピカピカ感が気になりそう」という方には、5分艶が比較しやすい選択肢です。適度な光沢を残しながら、外観を落ち着かせられます。
できるだけ光沢を抑えたい場合や、新築時に近い自然な質感を重視する場合は、3分艶または艶消しを検討します。ただし、塗料によっては3分艶だけ、または艶消しだけが用意されていることがあります。名称にこだわるより、実物の見え方が希望に合うかを確認しましょう。
7分艶は「艶ありを少しだけ抑えたい」ときの選択肢
7分艶は、艶ありに近い印象を保ちながら、光沢を少し弱めたい場合に向きます。ただし、建物全体で見ると艶ありとの違いを判断しにくいことがあります。市川塗装では7分艶を積極的な第一候補にはせず、艶ありと5分艶を見比べたうえで、必要に応じて検討します。
色・外壁材・住宅デザインによって艶の見え方は変わる
同じ塗料、同じ艶でも、外壁の色と表面形状が変われば光の反射は変わります。「5分艶だからこの程度に見える」と、艶の名称だけで完成形を決めつけないことが重要です。
白・ベージュより、黒・濃紺・濃いグレーのほうが艶が目立ちやすい
市川塗装の施工経験では、白やベージュなどの淡い色は光沢が比較的目立ちにくく、艶ありでも外観になじみやすい傾向があります。反対に、黒、濃いグレー、濃紺、焦げ茶、赤などの濃色・鮮やかな色は、光の反射と色のコントラストが強くなり、艶が目立ちやすくなります。
濃色で艶ありを選んではいけないわけではありません。強い光沢を好む方には選択肢になりますが、少しでも不安がある場合は、5分艶や3分艶も並べて慎重に比較することをおすすめします。
平滑な外壁は艶が強く、凹凸の深い外壁は弱く見えやすい
表面が平らで滑らかな外壁は、光が一定方向へ反射しやすいため、艶を強く感じます。金属板や平滑なサイディングで光沢を強く感じやすいのは、このためです。
一方、リシンのようにざらざらした壁や、凹凸模様の深いサイディングは、光がさまざまな方向へ分散します。そのため、同じ艶ありを塗っても、平滑面より光沢が弱く見える傾向があります。凹凸部の陰影が残るので、見る角度によって印象も変わります。
モルタル・リシン・ジョリパットは既存の質感を基準にする
モルタル、リシン、ジョリパットなど、もともと艶の少ない仕上げは、既存の質感を残すなら艶消しを第一候補にします。和風住宅や左官仕上げの落ち着いた雰囲気にも、艶消しはなじみやすい選択です。
ただし、表面の凹凸には砂ぼこりや雨筋汚れが残りやすいことがあります。質感より汚れにくさを優先し、艶ありを選ぶ方もいます。既存の意匠、使う塗料の低汚染性、周辺環境を合わせて判断しましょう。
金属サイディングは継ぎ目や波打ちが見えやすくなる
金属サイディングやガルバリウム鋼板では、強い艶によって継ぎ目、わずかな波打ち、下地の不陸が目立つことがあります。塗膜が原因で新たな凹凸ができたのではなく、光の反射によって既存の状態が見えやすくなる場合もあります。
平滑な金属外壁で艶を迷うときは、小さな色見本だけでなく、大きめの塗り板を実際の外壁に近い角度で当てて確認することが大切です。
艶で汚れにくさ・耐久性は変わる?
艶だけで、塗料の汚れにくさや耐久性が決まるわけではありません。樹脂の種類、塗膜の設計、低汚染性、防かび・防藻性、外壁の凹凸、立地条件、施工品質なども影響します。艶を比べるときは、必ず同じ製品内の違いなのか、別製品同士の違いなのかを分けて考えましょう。
塗料の種類そのものを比較したい方は、シリコン・フッ素・無機塗料の違いもご覧ください。
耐久性は同じ製品・同じ仕様条件で比較する
艶による性能差を確認するときは、同じ製品シリーズにメーカーが設定している艶違いを比較します。別製品同士では、樹脂、顔料、塗膜設計、低汚染性などの条件も変わるため、耐久性の差を艶だけの影響とは判断できません。
また、最初から艶消しでの耐久性や施工性を含めて設計された塗料もあります。そのため、「艶消しは艶ありより必ず耐用年数が短い」と一律にはいえません。カタログの耐候性や期待耐用年数を見る場合も、試験条件と対象仕様をそろえて比較します。
雨筋汚れは艶の有無だけでは防げない
施工後の経過を見ると、表面が滑らかな艶ありは、艶消しよりも砂ぼこりや汚れが引っかかりにくいと感じる場面があります。一方で、窓下、サッシの角、換気フードの下など、水の通り道が決まる部分には、艶ありでも艶消しでも雨筋汚れが付くことがあります。
汚れにくさを重視するなら、艶だけでなく、塗料の低汚染性、外壁の凹凸、軒の出、交通量、周囲の土や樹木なども確認します。「艶ありだから絶対に汚れない」「艶消しだから必ず汚れる」という選び方は避けましょう。色との関係は、汚れが目立たない色・目立つ色でも確認できます。
艶調整はメーカー設定の仕様から選ぶ
艶を調整するときは、注文時に希望する艶を指定し、メーカーが定めた艶仕様の製品を使うのが基本です。施工業者が現場判断で艶消し材を任意に追加するという意味ではありません。使用量、希釈、塗装方法を含め、メーカーの施工仕様を守ります。
艶がなくなっただけで塗り替え時期とは判断しない
塗膜は紫外線や雨風の影響を受け、時間とともに光沢が落ち着きます。しかし、艶が弱くなったことだけで、すぐに塗り替えが必要とは判断しません。
点検では、手で触れたときに白い粉が付くチョーキング、ひび割れ、膨れ、剥がれ、色あせ、シーリングの破断や隙間などを総合的に確認します。塗り替え時期は、塗料名や築年数だけでなく、実際の劣化状態から判断することが大切です。
5分艶・3分艶・艶消しは艶ムラと部分補修に注意する
艶ムラは艶ありでも起こり得ますが、市川塗装の施工経験では、5分艶、3分艶、艶消しのほうが塗り継ぎや部分補修による差を感じやすく、手直しも難しくなります。そのため、艶を抑えるほど、施工前の段取りと均一な塗装が重要です。
艶ムラの主な原因と防止策
艶ムラの主な原因には、ローラーの塗り継ぎ、塗膜の厚い部分と薄い部分、希釈量のばらつき、乾燥時間の不足、作業間隔の空きすぎ、ローラーの動かし方、下地の吸い込みや凹凸の差などがあります。
特にリシン壁では、足場の段や支柱付近で何度も塗り重なると、砂粒の間が塗料で埋まり、その部分だけ表面が滑らかになることがあります。滑らかになった部分は光を反射しやすく、同じ塗料でも艶が強いように見えます。もともとの砂の付き方に差がある場合も、光沢差の原因になります。
防止するため、市川塗装では次の点を重視します。
- メーカー指定の塗布量、希釈量、乾燥時間を守る
- 作業者ごとの塗り方と塗膜の厚さをそろえる
- 外壁の区切りがよい位置まで、できるだけ連続して塗る
- 不自然な位置で作業を止めず、塗り継ぎを減らす
- 面積や気象条件に応じて作業人数と工程を調整する
5分艶・3分艶・艶消しは部分補修の跡が出やすい
同じ色、同じ塗料を使っても、数か月後や数年後に一部分だけ塗ると、乾燥状態、既存塗膜の汚れや退色、塗布量、ローラーの肌によって色と艶の差が出ることがあります。
艶ありは比較的合わせやすい傾向がありますが、まったく同じに戻せるとは限りません。5分艶、3分艶、艶消しは補修部だけ艶が違って見えやすいため、目立たなくするには一部分のタッチアップではなく、目地から目地まで、または壁一面など、広い範囲を塗り直す必要が生じます。
だからこそ、最初の施工で塗り残しや艶ムラをつくらないことが大切です。引き渡し前には、外壁塗装の完了検査で仕上がりを確認します。
ローラー・刷毛・吹き付けは製品の施工仕様を優先する
施工方法によって塗膜表面の肌が変われば、同じ色と艶でも見え方に差が出る場合があります。ただし、どの方法が常に優れているとは一概にいえません。下地、周辺環境、製品の指定に合う方法を選びます。
たとえば「クリーンマイルドウレタン」の公式仕様には、吹き付け・ローラー・刷毛が塗装方法として記載されています。一方、「シリコンREVO1000-IR」は、艶消しの場合にエアレス施工不可という注意があります。採用製品の施工仕様を確認し、指定外の方法を選ばないことが重要です。
艶選びで失敗しないための確認方法
艶選びの失敗を減らす基本は、実際に使う塗料に近い条件の塗り板を屋外で見ることです。スマートフォンやパソコンの画像だけで最終決定をしないようにしましょう。
可能な限り同じ製品・同じ色のA4塗り板で比較する
市川塗装では、小さな色票だけでなく、A4サイズ程度の塗り板での確認をおすすめしています。面積が大きいほど光の反射や色の広がりをつかみやすくなるためです。
比較するときは、可能な限り同じ製品、同じ色で、艶だけが異なる塗り板を用意します。艶あり、5分艶、3分艶など、実際にその製品で選べる2~3種類を並べると判断しやすくなります。別の塗料や別の色の見本では、艶以外の条件も変わるため、正確な比較にはなりません。
屋外で日向・日陰・角度を変えて見る
塗り板は室内照明ではなく、実際の外壁に近い屋外環境で確認します。晴れた日の直射日光だけでなく、日陰でも見ましょう。塗り板を正面から見るだけでなく、斜めに傾けると、光沢の強さが分かりやすくなります。
可能であれば、朝と午後、晴天と曇天など、光が異なる条件でも確認します。外壁の方角によって日当たりが違うため、北面では落ち着いて見えた艶が、西日の当たる面では強く見えることがあります。
カラーシミュレーションだけでは艶を正確に再現できない
カラーシミュレーションは、建物全体の配色やツートンの位置を検討するのに役立ちます。ただし、画面の明るさ、撮影時の光、カメラ、印刷環境の影響を受けるため、実際の色と艶を正確に再現するものではありません。
表は左右に動かせます。
| 確認方法 | 分かること | 分かりにくいこと |
|---|---|---|
| 色見本帳 | 候補色を幅広く絞り込める | 大面積での色、外壁全体の光沢 |
| A4塗り板 | 実際に近い色と艶を屋外で比較できる | 建物全体になったときの配色バランス |
| カラーシミュレーション | 全体配色、ツートン、付帯部との組み合わせ | 実物どおりの色、艶、外壁の凹凸による反射 |
外壁色の決め方については、外壁塗装の色選びに関する解説も参考にしてください。
発注前に外壁と付帯部の艶を決め、記録を残す
外壁を5分艶や3分艶にしても、雨どい、破風、水切りなどの付帯部は艶ありで仕上げることがあります。付帯部は外壁より面積が小さく、光沢が外観全体へ与える影響が比較的少ないためです。一方、建物全体の艶を抑えたい場合は、対応できる塗料を確認したうえで付帯部も低い艶にそろえられます。
艶調整品は、材料価格が少し上がることがあります。市川塗装の通常の取り扱いでは納期が大きく変わらないケースが多いものの、製品、色、在庫、時期によって異なります。見積りの段階で、追加費用と納期を確認してください。
見積書には塗料名までを記載し、色番号と艶は契約後の打ち合わせで決める場合があります。最終決定後は、外壁・付帯部ごとの塗料名、色番号、艶を、色決め確認書、仕様書、メールなど後から確認できる形で残しておくと安心です。
実際の施工事例で艶と濃色外壁の見え方を確認
艶は小さな色見本だけでなく、住宅全体になったときの見え方も確認しておくことが大切です。ここでは、黒や濃いブラウンを使用した市川塗装の施工事例を紹介します。
裾野市岩波|艶ありの黒とブラウンを組み合わせた外壁
黒に近いN-20と、明るめのブラウン19-30Dを組み合わせた艶ありの施工例です。濃色部分は淡色より光の反射が分かりやすく、日向・日陰や見る角度によって明るさと光沢感が変わります。
- 外壁塗料
- KFワールドセラグランツ
- 外壁色・艶
- N-20・19-30D・艶あり
- 見どころ
- 濃色2色の反射と陰影
沼津市大岡|3分艶で重厚感を残した外壁
積水ハウス住宅の外壁を、黒系の19-30A・3分艶で仕上げた施工例です。黒の重厚感を生かしながら光沢を抑え、落ち着きのある外観に仕上げています。
- 外壁塗料
- KFワールドセラグランツ
- 外壁色・艶
- 19-30A・3分艶
- 見どころ
- 濃色でも光沢を抑えた質感
まとめ|市川塗装では艶ありを基準に、色・外壁材・好みで調整します
- 艶に強いこだわりがなく耐久性を優先する方には、市川塗装では艶ありを最初に提案します。
- 光沢を少し抑えたいなら5分艶、自然な質感なら3分艶または艶消しが候補です。
- 濃色・平滑面・金属外壁は艶が強く見えやすく、低い艶ほど艶ムラと部分補修に注意が必要です。
- 施工事例は住宅全体の印象を確認する参考にし、写真だけで艶を決めないことが大切です。
- 最終的には、採用する製品と色をそろえたA4塗り板を屋外で確認して決めます。
艶は、塗料の性能と住まいの印象をつなぐ大切な選択です。市川塗装では、外壁材の状態、色、住宅デザイン、周辺環境、将来の補修まで確認し、お客様が完成後をイメージできるように説明します。
参考資料
- エスケー化研「クリーンマイルドウレタン」製品情報(確認日:2026年9月10日)
- アステックペイント「シリコンREVO1000-IR」製品情報(確認日:2026年9月10日)















































AKIHIKO ICHIKAWA