モルタル外壁のひび割れは、すべてを大きく補修する必要があるわけではありません。 髪の毛ほどの細いヘアクラックで、発生位置や周囲の状態に問題がなければ、 微弾性フィラーなどの下塗り材を使い、塗装工程の中で対応できる場合があります。
一方、ひび割れが深い、長い、横方向へ大きく伸びている、 同じ場所で繰り返している、周囲に段差や浮きがある場合は、 塗装だけで済ませず補修や原因確認が必要です。
また、モルタル外壁にひび割れがあるからといって、 直ちに雨漏りするとは限りません。 すでに雨染みや雨漏りがある場合は、 外壁塗装より先に雨水の浸入箇所を確認します。
この記事の要点
- ヘアクラックなら、下地処理を含む塗装工程で対応できる場合があります。
- 「塗装工程で対応」とは、上塗り塗料だけでひび割れを隠すことではありません。
- 補修方法は、幅だけでなく深さ・長さ・発生位置・方向・再発・浮きなどから判断します。
- 雨漏りがある場合は、塗装より先に雨水の浸入箇所を確認します。
- 部分補修か全面塗装かは、外壁全体の劣化状態も合わせて判断します。
モルタル外壁のひび割れは塗装だけで直る?
細かなヘアクラックであれば、 別に大きな補修工事を行わず、 塗装工程の中で対応できる場合があります。
ただし、ここでいう「塗装だけ」とは、 上塗り塗料を塗ってひび割れを隠すことではありません。 必要な下地処理を行い、 ひび割れの状態に合った下塗り材を使用したうえで 中塗り・上塗りへ進むことを含めて 「塗装工程の中で対応する」と考えます。
ヘアクラックなら塗装工程で対応できることがある
市川塗装では、おおむね0.3mm程度までの細かなヘアクラックで、 発生位置や周囲の状態に問題がなければ、 微弾性フィラーを擦り込むなどして、 塗装工程の中で対応することがあります。
微弾性フィラーは、 モルタル外壁の下地を整えるために使用する、 厚みと弾力性のある下塗り材です。 細かなひび割れへ材料を入れながら下地を整えられるため、 状態によっては別途大きく削らずに対応できます。
塗装だけでは済ませない方がよいひび割れ
細く見えるひび割れでも、 すべてをヘアクラックとして扱うわけではありません。
次のような状態では、 塗装工程だけで済ませず、 別途補修や原因確認を検討します。
- ひび割れが比較的大きく開いている
- 表面だけでなく、モルタルの奥まで達している
- 細くても長い範囲へ伸びている
- 通常とは違う場所に発生している
- 一度補修した場所が再び割れている
- ひび割れ周辺に段差やモルタルの浮きがある
塗装とひび割れ補修は同じではありません
塗料でひび割れを見えにくくすることと、 ひび割れそのものを適切に補修することは同じではありません。 表面だけを覆っても、 内部まで割れていれば再び同じ場所にひび割れが現れることがあります。
補修が必要かは「ひび割れの幅だけ」で決まらない
ひび割れの幅は重要な判断材料ですが、 それだけで補修方法を決めることはできません。
同じ幅でも、 表面だけに生じたひび割れと、 モルタルの奥まで達したひび割れでは対応が異なります。
幅だけでなく深さ・長さも見る
市川塗装では施工上の一つの目安として、 おおむね0.3mm程度までの細かなひび割れは、 微弾性フィラーなどで対応することがあります。
0.3mmを超えるひび割れでは、 幅だけでなく深さや動きも確認します。 そのうえで、 0.4mm前後以上でモルタルの奥まで達している場合などは、 カット補修を検討することがあります。
0.3mm・0.4mmは「危険度」の境界ではありません
これらの数値は、 「0.3mmなら安全」「0.4mmなら危険」という意味ではありません。 市川塗装が補修方法を考えるときの施工上の一つの目安です。 実際には、深さ・長さ・発生位置・周囲の状態などを合わせて判断します。
また、細くても長く伸びている場合は、 単純なヘアクラックとして扱わず、 なぜその場所に長いひび割れが生じたのかも確認します。
ひび割れの幅や深さを正確に確認し、 補修方法を決めることは施工会社が行う専門事項です。 お客様ご自身が細かく測定して、 工法まで判断する必要はありません。
発生している場所と方向を見る
モルタル外壁では、 窓や玄関など開口部の角から 斜め方向へひび割れが伸びることがあります。
開口部周辺は、 建物が動いたときの影響が現れやすい部分です。 そのため、窓の角から斜めに入ったひび割れであれば、 「なぜこの位置にひび割れが出たのか」を 比較的説明しやすい場合があります。
一方で、市川塗装では、 横方向へ大きく長く伸びているひび割れは注意して確認します。 特に高い位置にある大きな横ひび割れでは、 雨水が入った場合に、 その下側へ影響が広がる可能性も考えます。
ただし、 横向きだから危険、 縦向きだから問題ないという単純な判断はしません。 方向も、幅・深さ・長さ・発生位置などと合わせて見る 判断材料の一つです。
なぜ割れたのか、再発や浮きがないかを見る
市川塗装がひび割れを見るときに重視しているのが、 「なぜその場所にひび割れが発生したのか」 という点です。
窓の角など、 建物の動きの影響が現れやすい場所であれば、 ひび割れが生じた理由をある程度推測できる場合があります。
反対に、 開口部とは関係のない位置に大きなひび割れがある、 建物全体にひび割れが非常に多い、 以前補修した場所が繰り返し割れているといった場合は、 表面を補修する前に原因をもう少し詳しく確認します。
また、ひび割れ周辺にモルタルの浮きや段差がある場合は、 見えている線だけではなく、 その周囲の下地まで確認します。
市川塗装の現場見解
市川塗装では、 ひび割れの幅だけで補修方法を決めていません。 幅・深さ・長さ・発生位置・方向・再発の有無・周囲の浮きなどを確認し、 「なぜその場所にひび割れが出たのか」まで考えて判断します。
雨染み・雨漏りがある場合は塗装より原因確認を先にする
モルタル外壁にひび割れがあると、 「ここから雨が入って、すぐ雨漏りするのではないか」 と心配される方もいます。
しかし、細かなひび割れが一本あるだけで、 直ちに室内まで雨漏りするとは限りません。
ひび割れがあるだけで雨漏りするとは限らない
一般的な木造住宅のモルタル外壁では、 仕上げの内側に防水紙など、 雨水の浸入を防ぐための層が設けられています。
そのため、 外壁表面の細かなひび割れだけで、 そのまま室内まで水が入るとは限りません。
ただし、建物の工法や施工年代、既存の納まりによって状態は異なります。 また、窓まわりの雨仕舞いや内部の防水に不具合がある場合には、 外壁のひび割れが雨水の浸入口の一つになることがあります。
すでに雨漏りしている場合は浸入箇所を確認する
室内に雨漏りがある場合や、 外壁に明らかな雨染みが見られる場合は、 ひび割れをとりあえず塞いで外壁塗装を始めるのではなく、 先に雨水がどこから入っているのかを確認します。
窓まわりの雨仕舞い、 外壁内部の防水、 その他の雨水浸入口などを確認し、 雨漏りの原因を推測したうえで必要な修理方法を検討します。
雨漏り修理と外壁塗装は別に考えます
外壁を先にきれいに塗装してから雨漏り修理を行うと、 補修のために新しい塗膜へ手を加えなければならない場合があります。
市川塗装では、 雨漏りがある場合は原因確認と必要な修理を先に検討し、 その後に外壁塗装へ進むことを基本にしています。
原因が分からない場合は散水調査を行うこともある
目視だけでは雨水の浸入箇所を特定できない場合や、 原因になりそうな場所が複数ある場合は、 必要に応じて散水調査を行うことがあります。
雨漏り箇所をできるだけ絞り込んでから、 どこをどの範囲まで直すのかを決めます。
ひび割れの状態によって補修方法は変わる
細かなヘアクラックについては前述のとおり、 塗装工程の中で対応できる場合があります。
一方、 ひび割れがモルタルの奥まで達している、 周囲のモルタルまで浮いている、 同じ場所で繰り返している場合などは、 別の補修方法を検討します。
深いひび割れや浮きがある場合は補修方法を変える
幅が大きく、 ひび割れがモルタルの奥まで達している場合には、 必要に応じてカット補修などを検討します。
カットする目的は、 単にひび割れの幅を大きくすることではありません。 細い入口のまま表面だけを埋めるのではなく、 奥まで補修材を入れられる状態にするためです。
また、 ひび割れ周辺のモルタルが浮き、 内部に空洞があるような場合は、 見えているひび割れだけを埋めて終わりにはしません。
浮きの程度によっては、 浮いている部分を撤去し、 奥のひび割れや下地を補修してからモルタルを復旧し、 表面を整えて塗装します。
補修方法は施工会社が現地で決めます
補修範囲や使用する材料などは、 ひび割れの深さ、 下地の状態、 周囲の浮きなどを確認して決める専門事項です。 お客様が施工方法まで判断する必要はありません。
補修しても再発することがある
窓などの開口部周辺は、 建物が動いたときの影響が現れやすい部分です。
そのため、 ひび割れを適切に補修しても、 建物そのものの動きや、 その場所へかかる負担までなくなるわけではありません。
同じ位置が将来的に再び割れる場合もあります。 特に、一度補修した場所が繰り返し割れている場合は、 同じ補修を繰り返すだけでなく、 なぜその位置が動いているのかも含めて考えます。
補修跡を目立ちにくくするため表面模様も整える
モルタル外壁には、 リシンやスタッコなど、 表面に凹凸のある仕上げが使われていることがあります。
大きなひび割れをしっかり補修すると、 補修した部分だけ既存の模様がなくなり、 平らに見えることがあります。
その場合は、 必要に応じて既存外壁に近い表面模様を整えてから塗装します。
軽微なひび割れについては、 必要以上に大きく補修すると、 かえって補修跡が増えて仕上がりが目立つ場合があります。 そのため、状態に応じて、 既存の模様をできるだけ壊さない補修方法を選びます。
既存の模様や補修範囲によって仕上がりの合わせやすさは異なり、 完全に元と同じ模様にならない場合もあります。
補修前
ひび割れ補修
表面模様の復元
市川塗装の現場見解
ひび割れ補修は、 大きく削れば削るほどよいわけではありません。 軽微なひび割れは既存の模様をできるだけ壊さず補修し、 奥まで達した大きなひび割れは必要な範囲をしっかり補修します。 耐久性と完成後の見え方の両方を考えて補修範囲を決めています。
モルタル外壁のひび割れはいつ直す?部分補修と全面塗装の判断
ひび割れを見つけても、 すべてをすぐ単独で補修する必要があるわけではありません。
部分補修だけを行うのか、 次回の外壁塗装まで待てるのか、 外壁全体を一緒に塗装した方がよいのかは、 ひび割れと外壁全体の状態を合わせて判断します。
次回の塗装まで待てることがあるケース
ヘアクラック程度で状態が安定しており、 周囲に浮き・段差・雨染みなどがなく、 短期間で大きく悪化する可能性が低いと判断できる場合は、 次回の外壁塗装時にまとめて対応できることがあります。
小さなひび割れを見つけたからといって、 必ずその時点で単独の補修工事が必要とは限りません。
部分補修だけを行うケース
外壁全体はまだ塗り替え時期ではないものの、 補修が必要なひび割れが1~2か所など限定的にある場合は、 必要な場所だけを部分補修することがあります。
築年数が浅く、 外壁全体の塗膜状態が良好な住宅などでは、 全面塗装まで行わず部分補修を選択する場合もあります。
ひび割れ補修と全面塗装を同時に行うケース
外壁全体にチョーキングが出ている、 色あせなどの劣化が進んでいる、 塗膜の保護機能が低下しているといった場合は、 すでに外壁全体が塗り替え時期に近づいている可能性があります。
このような状態でひび割れも複数発生しているのであれば、 部分補修だけを先行させるより、 ひび割れを補修してから外壁全体を塗装した方が 合理的な場合があります。
塗装より原因確認を優先するケース
次のような状態では、 「塗装するか、部分補修だけにするか」を決める前に 原因確認を優先します。
- 短期間で同じ場所が繰り返し割れている
- 横方向へ大きく長く伸びたひび割れがある
- 大きな段差やモルタルの浮きを伴っている
- 雨染みや雨漏りがある
- 建物全体に通常より多くのひび割れが発生している
市川塗装の現場見解|工事時期の考え方
市川塗装では、 現在の見た目だけではなく、 その状態をこのまま1~2年置いた場合に、 どの程度変化しそうかも考えて工事時期を判断します。
ヘアクラック程度なら次回の塗装まで待てる場合もあれば、 同じように細いひび割れでも、 発生位置や周囲の状態によって早めの対応を勧めることがあります。
まとめ|モルタルのひび割れは幅だけでなく状態と原因から判断する
モルタル外壁は、 建物の動きなどによって細かなひび割れが生じること自体は珍しくありません。
小さなヘアクラックが一本あるだけで、 直ちに建物が危険になったり、 雨漏りしたりするとは限りません。
一方で、 すべてのひび割れを 「モルタルだから仕方がない」と考えてよいわけでもありません。
- ヘアクラックなら、下地処理を含む塗装工程で対応できる場合があります。
- 0.3mm・0.4mmといった幅は、補修方法を考えるための施工上の一つの目安です。
- 幅だけでなく、深さ・長さ・位置・方向・再発・浮きなども確認します。
- なぜその場所にひび割れが出たのかも重要な判断材料です。
- 雨漏りがある場合は、外壁塗装より先に原因確認を行います。
- 部分補修か全面塗装かは、ひび割れだけでなく外壁全体の劣化状態も合わせて判断します。
モルタル外壁の細かなひび割れを見つけただけで、 必要以上に心配する必要はありません。
ただし、 大きく長いひび割れ、 繰り返すひび割れ、 浮きや雨漏りを伴う場合は、 塗装だけで隠さず、 原因を確認したうえで工事方法を決めることが大切です。
参考資料
※本文中の0.3mm・0.4mm前後という数値は、 メーカーの一律基準ではなく、 市川塗装が実際の補修方法を検討する際の施工上の目安です。 ひび割れの深さ・長さ・位置・周囲の状態などを合わせて判断します。
モルタル外壁のひび割れが気になる方へ
ひび割れの状態だけでなく、 外壁全体の劣化や雨水の影響も確認し、 部分補修・外壁塗装・原因確認のどれが適しているかをご案内します。















































AKIHIKO ICHIKAWA