屋根塗装をしても、すでに発生している雨漏りを根本的に直すことは基本的にできません。
屋根材には雨水を外へ流し、その下にある防水シート(ルーフィング)を外部から保護する役割があります。ルーフィングは、屋根材の下へ入った雨水が屋根内部へ侵入するのを防ぐ重要な防水層です。
そのため、ルーフィングに破れや不具合がある場合、屋根材の表面を塗装しても、その不具合自体を修理することはできません。
雨漏りしている場合は、まず原因を確認して必要な修理を行い、その後に屋根塗装をするのか、カバー工法や葺き替えを検討するのかを判断します。原因箇所を特定でき、部分的に根本修理できる場合は、修理後に屋根塗装を行えるケースもあります。
この記事の要点
- 屋根塗装は屋根材を保護する工事で、雨漏り修理そのものではありません。
- 屋根材の下にあるルーフィングは、屋根内部への雨水侵入を防ぐ重要な防水層です。
- 雨漏りがある場合は、屋根塗装より先に原因を確認します。
- 原因箇所を特定でき、局所的に根本修理できれば、部分修理で対応できる場合があります。
- 広範囲の劣化や複数箇所の不具合が疑われる場合は、カバー工法や葺き替えを含めて検討します。
- 塗装後に雨漏りが止まっても、塗装そのもので直ったとは限りません。
屋根塗装で雨漏りは直る?
基本的に、屋根塗装だけで雨漏りを直すことはできません。 屋根塗装と雨漏り修理では、工事の目的が異なります。
屋根塗装は屋根材を保護する工事
屋根塗装の主な役割は、スレートや金属屋根などの屋根材表面を紫外線や雨から保護し、表面劣化の進行を抑えることです。
色あせや既存塗膜の劣化など、屋根材の表面保護が必要な場合には塗装が有効ですが、雨水の侵入口や屋根材の下にある防水層の不具合そのものを直す工事ではありません。
屋根材とルーフィングにはそれぞれ役割がある
屋根は、屋根材だけで雨水を防いでいるわけではありません。
屋根材は雨水を外へ流すとともに、その下にある防水シート(ルーフィング)を紫外線や外部からの影響から保護しています。
一方、ルーフィングは、屋根材の隙間や重なり部分などから入った雨水が野地板や建物内部へ侵入するのを防ぐ重要な防水層です。
屋根表面を塗装してもルーフィングの不具合は直せない
市川塗装の現場見解
屋根材をいくらきれいに塗装しても、その下にあるルーフィングの穴や破れを塗装で塞ぐことはできません。
屋根から室内へ雨漏りしている場合は、屋根材の表面だけではなく、ルーフィングや板金、取り合い部分などを含めて原因を確認する必要があります。
雨漏りしている屋根は「原因確認→修理→塗装判断」の順
雨漏りしている場合は、最初から「屋根塗装をする」と決めず、まず雨水の侵入原因を確認します。
原因を確認しないまま表面だけを塗装すると、雨漏りが続き、後から別の屋根工事が必要になる可能性があります。
雨漏り調査や修理については、 市川塗装の雨漏り修理 でも詳しくご案内しています。
屋根からの雨漏りで確認する主な箇所と必要な修理
屋根からの雨漏りでは、屋根材だけを見るのではなく、板金・ルーフィング・取り合い部分などを含めて確認します。
屋根材に割れがあったからといって、それだけで室内まで雨漏りしているとは限りません。屋根材の下にある防水層まで含めて確認することが重要です。
表は左右に動かせます。
| 確認する箇所 | 雨漏りとの関係 | 主な対応例 |
|---|---|---|
| 屋根材 | 割れ・欠損・飛散があると、屋根材の下へ雨水が入りやすくなります。 | 屋根材の補修・交換と、その下部の状態確認 |
| 棟板金 | 浮き・破損・納まりの不具合などから、雨水が屋根材の下へ入る場合があります。 | 再固定・補修・交換と周辺の確認 |
| 谷板金 | 雨水が集まりやすい部分で、穴あきや劣化があると下部へ雨水が入る場合があります。 | 補修・交換とルーフィングの確認 |
| ルーフィング | 破れ・劣化などがあると、屋根内部へ雨水が侵入する原因になります。 | 屋根材を剥がして補修・交換など |
| 屋根と外壁などの取り合い | 板金や納まりの不具合が雨水の侵入口になる場合があります。 | 原因となる部分の補修 |
| 貫通部など | 配管や設備まわりなどの防水処理・納まりに不具合があると、雨水が入る場合があります。 | 原因部分の補修 |
原因箇所が明確なら部分修理できる場合がある
例えば、屋根材が飛んでルーフィングが露出し、その部分に明らかな損傷が確認できるなど、原因箇所が目視で分かる場合があります。
このように「ここから雨水が入っている」と判断でき、その場所までアクセスして根本的に補修できるのであれば、部分修理で対応できる可能性があります。
外から異常が見えない雨漏りは原因特定が難しい
一方、屋根に目立った異常がなく、室内で雨漏りしている位置の直上にも異常が見つからない場合があります。
このようなケースでは、屋根材の下にあるルーフィングのどこに不具合があるのか、外から見ただけでは分からないことがあります。必要に応じて屋根材を外し、内部を確認することもあります。
室内の雨漏りが必ず屋根からとは限らない
室内に水が出ているからといって、必ずしも屋根が原因とは限りません。
市川塗装の雨漏り調査では、屋根からの雨漏りと思われていたものが、実際にはサッシまわりや外壁、ベランダ・屋上防水などからの浸水だったケースもあります。
特に壁際に雨漏りしている場合は、屋根だけでなく、外壁やサッシから入った水が壁内部を伝っている可能性も考えます。
室内で水が出ている場所=雨水の侵入口とは限りません
雨水は屋根内部や壁内部を伝って移動するため、室内で水が出ている位置と、雨水が建物へ入った位置が離れていることがあります。
そのため、室内の雨漏り位置だけで原因を決めつけず、建物全体の納まりを見ながら原因を絞り込みます。
雨漏りの原因はどのように調べる?
雨漏り調査では、まず建物の構造や雨漏りの発生状況から原因になりそうな箇所を絞り、必要に応じて散水調査などで確認していきます。
建物の構造と雨漏りの状況から原因候補を絞る
最初に確認するのは、室内で雨漏りしている位置だけではありません。
屋根や外壁の形状、サッシや取り合いの位置、雨水が流れる方向などを確認し、過去の雨漏り調査の経験も踏まえて、雨水が入りそうな箇所を複数想定します。
必要に応じて散水調査を行う
雨漏りを再現できる可能性がある場合は、散水調査を行うことがあります。
市川塗装では、怪しい箇所をいくつか絞り、基本的には低い位置から一か所ずつ散水して、室内で雨漏りが再現するかを確認していきます。
調査内容によっては、一か所に20~30分程度散水する場合もあります。いきなり広い範囲へ水をかけると、どこから入った水なのか判断しにくくなるため、順番に確認します。
一度の調査で原因を特定できないこともある
雨漏りは、散水調査をすれば必ず再現できるものではありません。
例えば、特定の風向きや強風を伴う雨のときだけ発生する場合や、年に数回しか雨漏りしない場合があります。
散水調査では雨漏りが出ず、外から見ても異常が確認できない場合は、屋根材や外壁を部分的に開けて内部を確認しなければ分からないこともあります。
市川塗装の現場見解
雨漏りは、散水調査をすれば必ず原因が分かるものではありません。
屋根が原因だと思って調査を進めても、実際にはサッシから雨水が入っていたケースもあります。雨漏りの回数が少ない場合や、特定の風向きでしか発生しない場合は、原因の特定に時間がかかることがあります。
雨漏りしたときは状況を記録しておく
雨漏りが発生したときは、可能な範囲でそのときの状況を記録しておくと、調査時の大きな手掛かりになります。
より詳しく記録できる場合は、次の内容も残しておくと調査の参考になります。
- 雨漏りした日
- 雨漏りした時間
- そのときの天気
- 雨の強さ
- 風向き
- 風の強さ
- 雨が降り始めてから漏るまでの時間
- 雨が強くなってから漏るまでの時間
- 雨が降っている最中か、止んでから漏ったのか
- 漏れた水の量
- 雨漏りが続いた時間
- 水が出た正確な位置
- 水がどこを伝ってきたように見えるか
- 写真や動画
例えば「雨が降り始めて2時間後に漏った」「南風が強いときだけ漏る」「雨が止んで30分後に水が出てきた」といった情報があると、原因候補を絞りやすくなります。
雨漏りが発生するたびに記録を残しておけば、調査にかかる時間を短縮でき、結果として調査費用を抑えられる可能性もあります。
屋根へ上がって確認する必要はありません
お客様自身が屋根へ上がったり、高所から原因を確認したりする必要はありません。室内など、安全な場所から確認できる範囲を記録してください。
部分修理で済む場合と屋根全体の工事が必要な場合
雨漏りしたからといって、必ず屋根全体をカバー工法や葺き替えにする必要があるわけではありません。
原因箇所が特定でき、局所的に根本修理できる場合は、部分補修で対応できることがあります。一方、屋根全体の劣化が進んでいる場合や、複数箇所の不具合が疑われる場合は、屋根全体の工事を検討します。
部分修理で対応できる可能性があるケース
- 雨漏り原因を特定できる
- 不具合が局所的である
- 原因箇所までアクセスできる
- 原因部分を根本的に修理できる
- 屋根全体の状態が比較的良い
例えば、屋根材の割れが数か所程度で、屋根材そのものに大きな問題がなく、雨漏り原因も特定できているのであれば、部分補修で対応できる場合があります。
部分補修を繰り返すのが適さないケース
一方で、屋根材のひび割れが多数発生していたり、屋根材そのものが非常に割れやすくなっていたりする場合は、部分補修だけでは対応しにくくなります。
市川塗装の現場見解
屋根の上で作業している間にも別の屋根材が次々と割れてしまうような状態では、「直している間に別の場所が壊れていく」ことになります。
このような場合は、部分補修を繰り返すより、屋根全体の改修を検討した方がよいと判断することがあります。
原因を特定できない場合は、必要な範囲を開けて確認する
外から雨漏り原因を特定できないからといって、すぐに屋根全体をカバー工法や葺き替えにするとは限りません。
必要に応じて屋根材をある程度の範囲で外し、ルーフィングや下地を確認します。
その結果、原因箇所を特定でき、部分的に根本修理できるのであれば部分修理を行います。反対に、広い範囲に劣化や不具合があり、部分修理では対応しにくいことが分かった場合は、屋根全体の改修を検討します。
根本修理できれば、その後に屋根塗装できる場合もある
雨漏りしたことがある屋根でも、原因箇所を明確に特定し、その部分を根本的に修理できれば、その後に屋根塗装を行える場合があります。
判断するときは、雨漏り箇所だけでなく、屋根材の種類や強度、既存塗膜、屋根全体の劣化状態なども確認します。
カバー工法・葺き替えを検討するケース
次のような場合は、部分修理や塗装だけではなく、屋根全体の改修を検討します。
- 雨漏り箇所が複数ある
- ルーフィングの広い範囲に劣化が疑われる
- 屋根材全体の劣化が進んでいる
- 屋根材が塗装による維持に適さない状態
- 部分修理では再発する可能性が高いと判断される
- 屋根全体を改修した方が合理的な状態
カバー工法と葺き替えの考え方
カバー工法が施工可能な屋根で、現在の状態にも適している場合は、既存屋根材を原則として撤去する葺き替えよりも、撤去工程や廃材を抑えやすく、費用や工期を抑えられる場合があります。
一方、瓦などカバー工法に適さない屋根や、下地の状態などからカバー工法が適さない場合は、葺き替えを検討します。
それぞれの工法の違いは、 屋根塗装・カバー工法・葺き替えの違い|費用・耐久性を比較 で詳しく解説しています。
屋根材そのものが塗装によるメンテナンスに適しているかについては、 塗装できない屋根材とは?パミール・コロニアルNEOの見分け方 も参考にしてください。
雨漏り原因を確認せず、先に屋根塗装をしない
雨漏りしている屋根を先に塗装し、その後も雨漏りが続いてカバー工法などが必要になれば、先に行った屋根塗装の費用が無駄になる可能性があります。
雨漏りがある場合は、まず必要な修理を判断したうえで、屋根塗装が必要かを決める方が経済的です。
塗装後に雨漏りが止まっても「塗装で直った」とは限らない
屋根塗装工事のあとに雨漏りが止まることはありますが、塗料そのものが雨漏り原因を修理したとは限りません。
塗装と一緒に行った補修が効いている場合がある
屋根塗装では、塗装前にひび割れを補修したり、必要に応じてシーリングや板金まわりの補修を行ったりすることがあります。
塗装工事後に雨漏りが止まった場合でも、塗料による効果ではなく、こうした補修によって雨水の侵入が止まった可能性があります。
雨漏りは特定の気象条件でしか発生しない場合がある
雨漏りは、雨が降れば毎回同じように発生するとは限りません。
例えば、特定の方向から強い風が吹いたときや、横殴りの雨になったときだけ発生することがあります。
そのため、塗装後にしばらく雨漏りしていないというだけでは、「塗装によって直った」と判断できない場合があります。
数か月再発しないだけでは根本修理できたとは限らない
市川塗装の現場見解
年に1回、数回しか発生しない雨漏りの場合、塗装後に数か月雨漏りしていなくても、単に同じ雨量・風向き・風の強さの条件がまだ発生していない可能性があります。
「塗装してから漏らなくなった」という結果だけではなく、雨漏りの原因そのものを修理できているかを見ることが重要です。
スレート屋根の塗装では雨水の排出経路を塞がない
スレート屋根を塗装する場合は、屋根材の重なり部分にある雨水の排出経路を確保することが重要です。
スレート屋根の重なり部には排水のための隙間がある
スレート屋根では、屋根材の重なり部分に、屋根材の下へ入った雨水を排出するための隙間があります。
塗装によってこの隙間が塞がれている場合は、水の排出を妨げない状態にする必要があります。
過去の塗膜で塞がっている場合は縁切り等を検討する
市川塗装では、「初回塗装だから不要」「2回目だから必ず必要」と塗装回数だけで決めるのではなく、現地調査でスレートの重なり部分に適切な隙間が確保されているかを確認して判断します。
過去の塗膜によって重なり部分が塞がれている場合は、必要に応じて縁切りやタスペーサーなどで排水経路を確保します。
タスペーサー未使用=必ず雨漏り、ではありません
タスペーサーを使用しなかったから必ず雨漏りする、という意味ではありません。重要なのは、屋根材の重なり部分に必要な排水経路が確保されているかどうかです。
縁切りやタスペーサーが必要になる条件については、 タスペーサーは必要?スレート屋根の縁切りが必要・不要なケース で詳しく解説しています。
スレート屋根全体の塗装工程については、 スレート屋根の塗装方法|高圧洗浄・下塗り・縁切り・ひび割れ補修 をご覧ください。
まとめ
屋根塗装は屋根材を保護する工事であり、すでに発生している雨漏りを根本的に修理する工事ではありません。
雨漏りがある場合は、まず原因を確認して必要な修理を行います。原因箇所を根本的に修理でき、屋根全体の状態が良ければ、その後に屋根塗装を行える場合もあります。部分修理では対応しにくい場合は、屋根の状態に応じてカバー工法や葺き替えを検討します。
また、雨漏りが発生したときの天気・風向き・風の強さ・発生時間・水量などを記録しておくと、原因を絞り込む手掛かりになります。
参考資料
- ケイミュー株式会社「COLORBEST|まもる」 ― 屋根材の重なりと下葺材による防水について
- 株式会社セイム「縁切りとは」 ― 平板スレート屋根の隙間と雨水の排出について
- 株式会社セイム「タスペーサー工法とは」 ― タスペーサーによる隙間確保と施工方法について
参考資料最終確認日:2026年9月20日。実際の施工では、屋根材・屋根形状・勾配・既存塗膜・下地・使用製品の施工基準などを確認して判断します。
雨漏りや屋根の状態が気になる方へ
雨漏りは、室内に水が出ている場所だけでは原因を判断できないことがあります。市川塗装では、雨漏りの発生状況や建物の状態を確認し、部分修理で対応できるのか、屋根全体の工事まで必要なのかを検討します。















































AKIHIKO ICHIKAWA