外壁塗装の見積もりで、「自社開発のオリジナル塗料なので長持ちします」「遮熱や断熱の性能に優れています」と説明されることがあります。しかし、聞いたことのない商品名では、一般流通品との違いや価格に見合う性能なのかを判断しにくいものです。
最初に結論
オリジナル塗料だから高性能とも、低品質とも限りません。お客様は、正式な製品名、工事範囲と総額、保証の発行元、なぜ自宅に適しているのかを理解できれば十分です。外壁材との適合性、下塗り材、塗布量、耐候性試験の細かな比較は、施工業者が確認・管理します。
市川塗装にも、「他社でオリジナル塗料を勧められたが契約してよいか」という相談があります。実際に確認すると、問題なく使用できる製品もあれば、性能に対して価格が高いと考えられる製品や、比較的早く劣化している事例もあります。名称だけで良し悪しを決めず、製品ごとの根拠と施工内容から判断することが大切です。
お客様が理解できれば十分な4点
- 正式な製品名と、品質・技術対応に責任を持つ会社
- 自宅にその塗料を選ぶ理由
- 工事範囲、塗り回数、税込総額
- 保証の発行元、期間、主な対象範囲
オリジナル塗料は本当に高性能ですか?
オリジナル塗料の品質は一律ではありません。十分な試験と品質管理を行っている製品もあれば、一般流通品と同程度の内容を独自の商品名で販売している製品もあります。性能差を確認できないまま、一般的なメーカー塗料より高い価格で提案されているケースもあります。
一方で、OEM塗料であること自体は品質上の問題ではありません。重要なのは、誰が品質に責任を持ち、どのような仕様で施工し、問題が起きた場合に誰が対応するのかが明確になっていることです。
オリジナル塗料で塗装された住宅を後年に点検すると、良い状態を保っているものも、早めに劣化しているものもあります。「オリジナル」「自社開発」という呼び方は、塗料の性能等級ではありません。
「無機塗料だから30年持つ」とは限りません
シリコン・フッ素・無機などの樹脂分類は、おおまかな比較材料です。同じ分類でも配合、顔料、添加剤、塗膜形成、施工仕様が異なるため、耐久性は製品ごとに違います。
オリジナル塗料・OEM塗料とはどのような製品ですか?
「オリジナル塗料」は、JISなどで定められた性能等級ではなく、塗装会社や販売会社が独自に使用している販売上の呼び方です。その名称だけでは、品質や耐久性を判断できません。
塗装会社や販売会社が「自社ブランド」として販売していても、原料の調達から製造まで自社で行っているとは限りません。実際には、塗料メーカーなどへ製造を依頼し、発注元のブランド名で販売するOEMやプライベートブランドの形が多く見られます。
表は左右に動かせます。
| 主な形態 | 内容 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| プライベートブランド型 | 一般流通品と同じ、または近い仕様の製品を独自の商品名で販売する | 一般流通品との違いと、品質対応の責任主体が説明されているか |
| 一部仕様変更型 | 既存製品を基に、配合や仕様の一部を変更する | 変更した理由と、得られる性能が説明されているか |
| 専用仕様型 | 特定の住宅や外壁材に合わせた仕様として製造する | 専用品が必要な理由が説明されているか |
「自社開発」が何を指すのかは会社によって異なります
自社開発という言葉が、配合の研究開発までを指す場合もあれば、商品の企画、仕様設定、名称やカタログの作成を指す場合もあります。お客様は、次の内容を理解できれば十分です。
- 正式な製品名と、販売・保証を行う会社
- その製品を自宅へ提案する理由
- 不具合が起きた場合の相談先
製造会社が非公表でも、直ちに低品質とは限りません
OEM契約上、製造会社を公表できない場合があります。その場合でも、品質・技術対応に責任を持つ会社、正式な製品仕様、保証主体が明確であれば、製品を比較するための情報になります。
ハウスメーカー専用品は一般的なOEMと事情が異なる場合があります
ハウスメーカーの専用塗料には、特定の外壁材や住宅仕様に合わせて、配合や施工仕様を調整している製品があります。そのため、一般流通品とまったく同じとは限りません。
一方で、同じ目的や近い性能を持つ一般流通品が存在する場合もあります。「専用品だからほかの塗料では施工できない」という説明を受けた場合は、施工会社が専用品を選ぶ理由を分かりやすく説明できるかが判断材料になります。
オリジナル塗料はなぜ一般流通品と比較しにくいのですか?
同じ商品名で相見積もりを取れないため
特定の会社だけが扱う商品名では、ほかの塗装会社へ同じ製品の見積もりを依頼できません。そのため、塗料単価や工事価格を商品名だけで比較することが難しくなります。
製造元や一般流通品との関係が分からないため
製造元や一般流通品との関係が公表されていないと、比較対象を探しにくくなります。カタログの文章や仕様が別製品と似ていても、正式な裏付けがなければ「中身が同じ」と断定することはできません。
性能試験の条件がそろっていないため
「促進耐候性試験を1万時間実施」などの数字が示されても、試験方式、照射条件、温湿度、水分サイクル、試験片、判定基準が異なれば、別の塗料と時間だけを比べることはできません。
塗料価格と工事内容を切り分けにくいため
外壁塗装の金額は、上塗り塗料だけで決まりません。足場、洗浄、下地補修、下塗り、シーリング、付帯部、施工管理、保証などを含むため、総額差が塗料だけによるものとは限りません。
独自の商品名や専売方式は、結果として他社との価格比較を難しくします。ただし、すべてのオリジナル塗料が価格比較を避ける目的で作られているとは限りません。商品名ではなく、住宅への適合性と工事全体で判断します。
性能より先に建物との相性を確認するのはなぜですか?
高耐候の上塗り塗料でも、外壁材や既存塗膜に適合しなければ、膨れや剥がれなどの不具合につながります。塗料を選ぶ前に、施工業者が次の状態を診断します。
- 窯業系サイディング、ALC、モルタル、金属などの外壁材
- 水性・溶剤、硬質・弾性などの既存塗膜の性質
- 難付着サイディングなど、密着に注意が必要な外壁か
- チョーキング、ひび割れ、反り、錆、剥がれなどの劣化状態
- 塗装では直せない外壁材の不具合がないか
下塗り材が合わなければ、上塗り塗料の性能を生かせません
下塗り材には、外壁材と上塗り塗料を密着させる役割があります。選定を誤ると、上塗り塗料の耐候性が高くても、塗膜が下地から剥がれる可能性があります。
適合性の判断は施工業者が行います
お客様がメーカー資料を細部まで照合したり、塗布量や希釈率を計算したりする必要はありません。施工業者が選定理由と工事内容を分かりやすく説明し、専門事項を適切に管理できることが重要です。
| 管理項目 | 管理する内容 |
|---|---|
| 適用下地 | 外壁材と既存塗膜に使用できる製品かを確認する |
| 下塗り材 | 下地と上塗り材に適合する正式な製品を選定する |
| 標準使用量 | 必要な塗膜厚を確保できる使用量を計画する |
| 使用予定量 | 施工面積に対して必要な缶数・容量を用意する |
| 希釈・塗装間隔 | メーカーの標準施工仕様に従って施工する |
下塗り材の役割は、外壁塗装の下塗りはなぜ重要?シーラー・プライマー・フィラーの違いと選び方、見積書全体の考え方は、外壁塗装の見積もり内訳で詳しく解説しています。
「高性能」という説明の根拠は、どのように見ればよいですか?
耐久性、低汚染性、遮熱性、断熱性、防カビ・防藻性、ひび割れ追従性など、塗料にはさまざまな性能表示があります。お客様が試験条件を一つずつ検証する必要はありませんが、施工業者が根拠を確認し、製品を選んだ理由を説明できることが重要です。
| 項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 試験方式 | キセノンランプ式、メタルハライドランプ式など |
| 試験条件 | 準拠規格、放射照度、温湿度、水分サイクル、試験片 |
| 試験時間 | 何時間照射し、どの時点で評価したか |
| 判定結果 | 光沢保持率、色差、白亜化、割れ、膨れ、剥がれ |
| 試験実施者 | 製造会社、自社試験、第三者試験機関など |
| 経年施工実績 | 発売時期、施工年月、経過年数、現在の状態 |
試験時間だけでなく、光沢保持率の推移を見ます
「1万時間試験した」という説明だけでは、耐候性を判断できません。長時間試験していても、途中で光沢保持率が大きく低下していれば、その試験時間まで同じ状態を保ったとはいえないからです。
光沢保持率80%は「耐久性が80%残っている」という意味ではありません
光沢保持率80%とは、試験前の鏡面光沢度を100とした場合に、試験後も80%の光沢度を保っていることを示します。塗料の耐久性全体が80%残っているという意味ではありません。
外壁用塗料の製品規格ではありませんが、試験結果の読み方を理解する例として、日本塗料工業会の「JPMS 27 耐候性屋根用塗料」では、JIS K 5600-7-7による促進耐候性試験を採用し、光沢保持率だけでなく、色差、白亜化、割れ、剥がれ、膨れなども合わせて判定しています。日本塗料工業会「JPMS 27 耐候性屋根用塗料」
キセノンランプ式とスーパーUV式の時間は直接比較しません
キセノンランプ式は、太陽光に近似した分光エネルギー分布を持つ光源を使用し、JISやISOなどで標準的な耐候性試験方法として採用されています。岩崎電気のキセノンテスターに関する解説
一般にスーパーUV試験と呼ばれるメタルハライドランプ方式は、高い紫外線照度で劣化を早く進める試験です。短期間で製品を比較できますが、キセノンランプ式とは光源や負荷条件が異なります。岩崎電気のスーパーUVテスターに関する解説
比較のポイント
「キセノン5,000時間」と「スーパーUV5,000時間」を同じ耐久性として並べることはできません。施工業者が試験方式と条件の違いを踏まえて比較し、お客様には製品を選ぶ理由を分かりやすく説明します。
20年・30年という説明は、実際の保証年数とは異なります
発売から数年しか経過していない製品には、20年後、30年後の実際の施工結果はまだありません。期待耐用年数は、促進耐候性試験、屋外暴露試験、製品設計などを基に示される目安です。
実際の劣化は、日射、雨、温度、湿度、結露、方角、色、下地、施工品質などにも左右されます。試験時間をそのまま実際の年数へ置き換えず、経年施工例も含めて判断します。スガ試験機「ウェザリングを知る」
耐久性以外の機能も、機能ごとに根拠が異なります
| 説明された機能 | 施工業者が確認する主な内容 |
|---|---|
| 長期間持つ | 耐候性試験、判定基準、期待耐用年数、経年施工実績 |
| 色あせしにくい | 色差、光沢保持率、白亜化、試験色と選ぶ色 |
| 汚れにくい | 低汚染性の試験方法、対象となる汚れ、経年後の状態 |
| 遮熱・断熱 | 評価方法、色による差、必要な膜厚や施工条件 |
| ひび割れ追従性 | 伸び性能、塗装仕様、適用できる下地と範囲 |
| 防カビ・防藻性 | 試験方法、対象となるカビ・藻、効果を期待できる条件 |
耐候性試験と期待耐用年数の詳しい見方は、シリコン・フッ素・無機塗料の価格差は回収できる?年あたり費用で比較をご覧ください。
オリジナル塗料は一般流通品とどのように比較すればよいですか?
お客様が専門的な試験資料を比較する必要はありません。次の順序で、契約内容として重要な部分を比較します。
- 正式な製品名と責任主体を確認する
販売、品質対応、保証を行う会社が分かる状態にします。 - 自宅に適している理由の説明を受ける
施工業者が外壁材と劣化状態を診断し、選定理由を説明します。 - 同じ工事範囲で総額を比べる
下地補修、塗装範囲、塗り回数、シーリング、付帯部をそろえて比較します。 - 保証の発行元と範囲を比べる
保証年数だけでなく、誰が何を保証するのかを確認します。
シリコン・フッ素・無機、水性・溶剤、1液・2液といった分類から、おおまかな特徴は比較できます。ただし、「2液だから必ず上」「溶剤だから必ず長持ち」とは決めず、施工業者が製品ごとの試験結果と施工条件を確認します。
塗料グレードの違いは、外壁塗装はシリコン・フッ素・無機塗料のどれを選ぶ?耐久年数を比較で解説しています。
表は左右に動かせます。
| 比較項目 | お客様が理解する内容 | 施工業者が確認・管理する内容 |
|---|---|---|
| 製品情報 | 正式な製品名と責任主体 | 製品仕様書、問い合わせ先、技術対応 |
| 適用性 | 自宅に選ぶ理由 | 外壁材、既存塗膜、指定下塗り材との適合 |
| 施工内容 | 工事範囲と塗り回数 | 下地処理、塗布量、希釈率、乾燥時間 |
| 性能 | 期待できる効果と限界 | 試験方式、条件、判定基準、経年実績 |
| 保証 | 発行元、期間、主な対象範囲 | 製品保証と施工保証、免責事項の整合 |
| 価格 | 同じ工事範囲での税込総額 | 施工面積、材料量、補修内容、付帯工事 |
一般流通品による代替案も比較できます
オリジナル塗料を提案した会社へ、同じ建物に使用できる一般流通品の代替案を相談する方法があります。別の会社へ相見積もりを依頼する場合も、塗料の単価だけではなく、工事範囲と総額をそろえて比較します。
見積書の工事項目は、外壁塗装の見積もり内訳|足場・洗浄・塗装・付帯工事の適正価格で確認できます。
製品資料がそろわない場合はどう判断すればよいですか?
すべての技術資料をお客様が読み込む必要はありません。契約に必要な情報が説明され、専門的な内容を施工業者が確認できているかを見ます。
| 説明や資料の状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 製品名、選定理由、工事範囲、保証主体が明確 | 一般流通品との違いと総額を比べて検討する |
| 製造会社は非公表だが、品質対応と正式な仕様が明確 | 製造会社の非公表だけを理由に除外する必要はない |
| 樹脂名と「20年・30年持つ」という説明だけ | 期待耐用年数の根拠と保証内容について説明を受ける |
| 正式な製品名、工事範囲、保証主体が分からない | 契約を急がず、書面での説明がそろってから判断する |
期待耐用年数と保証年数は同じではありません
期待耐用年数は、一定の条件で使用した場合に想定される耐久期間の目安です。保証年数は、定められた条件と範囲で不具合への対応を約束する期間です。保証期間が期待耐用年数より短いことはありますが、一律に半分になるという決まりはありません。
詳しくは、外壁塗装の保証は何年あれば安心?保証範囲・免責事項を解説をご覧ください。
会社の継続性は、塗料性能とは分けて考えます
地域で長く営業し、施工後の点検や保証対応を続けている会社は、工事を任せるうえでの判断材料になります。ただし、会社の営業年数が長いこと自体は、塗料の高性能を証明するものではありません。
製品の性能と、販売・施工会社の信頼性を分けて判断します。会社選びは、外壁塗装業者の選び方|見積もり・契約前の10項目で解説しています。
市川塗装へ相談があった場合の確認手順
- 見積書・製品名・カタログを確認する
販売会社、製品仕様、説明された性能を整理します。 - 製品情報と試験資料を調べる
公開資料、経年施工例、類似する一般流通品を確認します。 - 確認済み情報と推測を分ける
正式な裏付けがない内容は、同じ製品と断定しません。 - 建物との適合性と代替案を説明する
追加確認が必要か、別の塗料が適切かを分かりやすくお伝えします。
資料を見る時間を与えず、契約を急かされた場合
塗料の性能をその場で判断する必要はありません。見積書と製品資料を受け取り、説明を整理してから決めましょう。訪問販売で「今すぐ工事が必要」と言われた場合は、外壁塗装の訪問販売で「今すぐ必要」と言われたら?確認方法も参考にしてください。
まとめ|名称より、建物との相性と説明の分かりやすさが重要です
- オリジナル塗料やOEM塗料の品質は一律ではありません
- 正式な製品名、工事範囲、総額、保証主体を理解できれば十分です
- 適合性、下塗り材、塗布量、試験条件は施工業者が確認・管理します
- 施工業者が選定理由と性能の限界を分かりやすく説明できるかを重視します
判断基準は「オリジナル塗料かどうか」ではなく、その住宅に適合し、工事内容と性能の根拠を説明できるかどうかです。お客様が技術資料の細部まで確認するのではなく、専門事項を適切に管理し、記録と根拠を示せる業者を選ぶことが大切です。
見積書や塗料資料の見方で迷ったときは
提案された塗料が外壁材に合うか、一般流通品とどこが違うのかを確認したい場合は、市川塗装へご相談ください。資料で確認できる内容と推測を分けてご説明します。
お問い合わせはこちら参考資料
- 一般社団法人日本塗料工業会「JPMS 27 耐候性屋根用塗料」(確認日:2026年9月14日)
- 岩崎電気「アイ スーパーキセノンテスター」(確認日:2026年9月14日)
- 岩崎電気「アイ スーパーUVテスター」(確認日:2026年9月14日)
- スガ試験機「ウェザリングを知る」(確認日:2026年9月14日)















































AKIHIKO ICHIKAWA