外壁塗装は、「自社施工」と書かれているだけで安心できるとは限りません。自社職人でも経験や技術には差があり、反対に、会社と長く仕事をしている専属職人や協力業者が高い技術を持っていることもあります。
確認したいのは雇用形態だけではなく、実際に誰が施工するのか、建物ごとの注意点がどう伝えられるのか、誰が工程と仕上がりを確認するのか、不具合が起きたときに契約会社が対応するのかという点です。
外壁塗装は自社施工というだけで安心できますか?
自社施工というだけでは、安心できる会社とは判断できません。自社職人を雇用している会社でも、職人ごとに経験年数や得意な作業が異なるためです。経験2年の職人と20年の職人では、細部の処理や下地の見方に差が生じることがあります。
その差は、完成直後の見た目だけでは分からないこともあります。塗装した直後は同じように見えても、下地処理や塗料の扱い方の違いが、数年後の剥がれや耐久性に影響する可能性があります。
また、一定の技術を身につけた社員職人が独立し、その後も元の会社の現場を専属的に担当する場合があります。この場合、雇用上は社外の職人でも、自社職人より経験が長く、会社の施工方法にも慣れていることがあります。
社員職人・専属職人・協力業者・下請けは何が違いますか?
これらは同じ基準で分けた呼称ではなく、一人の職人や一つの会社に複数の呼び方が当てはまることがあります。広告で使われる「自社施工」にも、消費者向けに統一された使い方はありません。
呼称を理解する3つの分類軸
- 雇用・事業形態:社員職人、一人親方
- 会社との取引関係:専属職人、協力業者
- 工事契約上の立場:元請け、下請け
たとえば、一人親方が特定会社の専属職人であり、その工事では下請けにあたることもあります。
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| 呼称 | 一般的な関係 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 社員職人 | 塗装会社が直接雇用している職人です。 | 経験年数、現場の責任者、教育と確認の方法。 |
| 親族職人 | 経営者の家族や親族にあたる職人です。社員の場合と、独立事業者の場合があります。 | 親族かどうかではなく、実際の雇用関係と担当する役割。 |
| 専属職人 | 本記事では、年間を通じて特定会社の現場を継続的に担当し、その会社の施工基準や報告方法を共有している職人を指します。 | 担当頻度、継続年数、施工基準への理解、施工実績。 |
| 一人親方 | 労働者を常時雇用せず、自ら事業を行う職人です。特定会社の専属の場合と、複数社の現場を担当する場合があります。 | 名称だけでなく、実際の働き方、技術、契約、保険、施工後の対応。 |
| 協力業者 | 専属職人、繁忙期の応援、足場・防水・板金などの専門業者を含む広い呼び方です。 | 普段から取引している業者か、元請け会社がどう指示・確認するか。 |
| 下請け業者 | 元請け会社から工事の全部または一部を請け負う事業者です。 | 専属か単発か、発注金額と工期、元請け会社の管理責任。 |
社会保険の種類だけで、施工技術や品質は判断できません。また、社員か一人親方かは呼び方だけではなく、指揮命令や仕事の請け方など、働き方の実態を踏まえて判断されます。施主は制度を細かく調べるより、「実際に誰が施工し、その人と御社はどのような関係ですか」と確認する方が実態を把握しやすくなります。
施工品質を左右する3つの要素は何ですか?
品質差が表れやすいのは、職人の技術、同じ会社の現場を担当してきた継続性、施工内容を伝えて確認する管理体制です。自社職人か外部の職人かという区分だけで、仕上がりは決まりません。
社員職人と専属職人は、会社の基準を共有しやすい
社員職人は、日頃から同じ会社で働いているため、標準的な塗装工程、使用材料、報告方法を共有しやすい点が利点です。ただし、若手や修行中の職人が担当することもあるため、誰を職長として配置し、経験の浅い職人の作業を誰が確認するかが重要です。
専属職人は社外の事業者でも、同じ会社の工事を繰り返し担当することで、仕様、報告方法、仕上がり基準を理解しやすくなります。独立前から関係が続く経験豊富な職人もいるため、「専属」という表示だけでなく、継続年数と施工実績を確認します。
現場ごとの協力業者には詳しい指示と確認が必要
繁忙期などに現場ごとに依頼する協力業者には、必要な時期に経験者を確保できる利点があります。一方、その会社の仕事を初めて担当する職人には、標準仕様や施主の要望が十分に伝わっていない可能性があります。
こうした現場では、仕様書や写真を使った事前説明を詳しくし、施工中の確認頻度も調整します。問題は外部の職人であることではなく、職人の経験を確認せず、必要な情報も渡さずに現場を任せることです。
専門工事を専門業者へ依頼するのは自然な施工体制
足場、防水、板金、シーリングなどは、それぞれ専門的な技術や設備が必要です。塗装会社が専門業者へ依頼することは、品質が低い理由にはなりません。むしろ、塗装職人が専門外の工事まですべて行う方が不安な場合があります。
ただし、専門業者へ依頼した後も、契約会社には工事範囲を伝え、工程を調整し、完了を確認する役割があります。専門工事を分担することと、同じ工事が複数の仲介会社を経由する多重下請けは分けて考えましょう。
施主が職人や専門業者を個別に管理するのではなく、契約会社が施工チームへ指示し、仕上がりと施工後の対応に責任を持つ体制が基本です。
なお、中間業者を挟まないことと、工事価格が必ず安くなることは同じではありません。施工体制を含む価格差は、「同じ家なのに外壁塗装の見積額が50万円以上違うのはなぜ?」で説明しています。
品質を安定させるには、どのような管理が必要ですか?
施工前に仕様と必要な時間・材料を確保し、施工中は記録と要所確認を行い、完了時は足場解体前に仕上がりを検査することが必要です。これは協力業者だけでなく、自社職人が施工する場合にも共通します。
施工前|建物固有の劣化・仕様・作業条件を共有する
現地調査で確認した劣化状態、下地補修、使用材料、塗装回数、施工範囲は、見積もりを作成した担当者から施工管理者へ伝え、施工管理者が職人へ指示するのが基本です。
会社の通常仕様を理解している職人でも、ひび割れの原因、下地の傷み、雨漏りとの関係、施主の要望など、その建物に固有の注意点は別です。発注書や仕様書に加え、写真と現場説明を組み合わせ、後から確認できる形で共有します。
適切な工期は、建物の大きさ、施工範囲、劣化状態、天候によって変わるため、一律に何日とは決められません。注意したいのは、発注金額が低すぎる場合や、天候で遅れても完了期限だけが変わらない場合です。必要な作業が増えたときに、追加の人工や材料を認めて品質を優先できる発注体制があるかを確認します。
ただし、これは契約会社と施工者の発注体制の話であり、施主へ説明せず追加費用を請求してよいという意味ではありません。契約範囲を超える工事は、内容と金額の説明を受け、承認してから進めます。安価な見積もりと工程省略の関係は、「安すぎる外壁塗装は危険?価格を下げるために省かれやすい工程」もご確認ください。
施工中|工程記録と要所の現場確認を組み合わせる
下地処理、下塗り、中塗り、上塗りの施工写真に加え、使用材料、使用缶数、空缶写真、作業日報を記録します。塗り重ねについては、塗料メーカーが指定する乾燥時間も確認します。
職人側にも「工程を撮影する」「上司や施主が記録を見る」という意識が働くため、手順を守るうえで一定の効果があります。ただし、写真や書類だけですべての作業が適切だったと証明できるわけではありません。
会社の施工方法を理解し、現場を任せられる職長や専属職人であれば、管理者が毎日訪問しなければ品質を保てないとは限りません。重要なのは訪問回数ではなく、下塗り後、塗り重ねの途中、上部の施工後など、後から確認しにくくなるタイミングで、責任者が記録と現場を確認することです。経験の浅い職人や初めて依頼する協力業者の場合は、確認頻度を増やします。
完了時|足場を解体する前に検査と手直しを行う
施工管理者が塗り残し、汚れ、補修が必要な部分を確認し、職人へ手直しを指示します。補修後の状態まで確認してから、足場を解体します。特に高所は、足場解体後では補修が難しくなるため、足場があるうちの確認が重要です。
施主は地上など安全に見られる範囲を確認し、気になる部分を伝えます。高所は施工管理者の検査と写真による説明を基本とし、施主が足場へ上がる方法を一般的には勧めません。
施工後の不具合は誰に連絡し、誰が対応しますか?
施主が最初に連絡する相手は、実際に塗った職人ではなく、工事を契約した会社です。契約会社または施工管理者が状態を確認し、原因と手直しの必要性を判断します。
剥がれや膨れなどが見つかった場合は、電話、メール、LINEなど記録が残る方法で契約会社へ連絡します。契約会社は、施工不良なのか、下地の劣化、建物の動き、雨漏り、自然災害など別の原因なのかを確認します。
施工したのが協力業者であっても、「その職人へ直接連絡してください」と施主へ対応を任せる体制は適切ではありません。施主が契約した会社が窓口となり、施工者への連絡、補修の判断、補修後の確認まで行うのが基本です。
施工後の保証については、「外壁塗装工事完了後の保証書は?」で詳しく説明しています。
市川塗装は品質と施工後の責任をどう管理していますか?
市川塗装では、社員か外部の職人かという呼び方ではなく、必要な材料と作業時間を確保し、施工内容を伝え、要所を確認し、施工後まで当社が窓口になることで品質を管理しています。
使用する材料は市川塗装から支給する
塗装面積と塗料メーカーが示す標準使用量をもとに必要量を算出し、使用する塗料は市川塗装から施工者へ支給します。不足が見込まれる場合は追加手配し、手元の材料が足りないことを理由に必要な工程を終わらせない体制にしています。
想定以上の手間は追加申請できる発注体制にする
足場を組んだ後や下地処理を始めた後に、地上からは分からなかった傷みが見つかることがあります。当初の想定より人工が必要になった場合は、施工者が市川塗装へ追加分を申請できる発注体制とし、最初の発注金額だけを理由に必要な作業を省かないようにしています。
施主との契約範囲を超える追加工事が必要な場合は、状態、工事内容、金額を説明し、承認を得てから進めます。
施工管理・完了検査・施工後の窓口を市川塗装が担当する
現地調査の内容と施工仕様を職人へ伝え、施工中は必要なタイミングで現場を確認します。仕上がりに問題があれば施工管理者が手直しを指示し、足場解体前に完了を確認します。
施工後は市川塗装が保証書を発行し、不具合や気になる部分の連絡窓口になります。原因を確認したうえで、必要な場合は担当した施工者と補修を行い、市川塗装が補修後の状態まで確認します。
まとめ|契約前に確認したい4つのこと
外壁塗装は、「自社施工か下請け施工か」という一つの条件だけで選ばないことが大切です。契約前には、次の4点を確認してください。
- 実際に誰が施工するか
社員職人、専属職人、現場ごとの協力業者のどれにあたり、その会社の工事を継続して担当しているか。 - 現地調査の内容を誰が職人へ伝えるか
施工仕様、下地補修、建物固有の注意点、施主の要望が、書面・写真・現場説明で共有されるか。 - 誰が工程と仕上がりを確認するか
施工中の要所確認と、足場解体前の完了検査を行う責任者が決まっているか。 - 施工後は誰が窓口になるか
不具合が起きた場合に、契約会社が状態確認、補修手配、完了確認まで対応するか。
この4点が明確で実際に機能していれば、自社職人、専属職人、協力業者のいずれが担当しても、適切な施工につながります。















































AKIHIKO ICHIKAWA