日本瓦は、破損したときの修理が必要ですが、陶器製であるため高い耐久性を持ち、塗装のメンテナンスは不要です。しかし、同じ瓦でもセメント瓦やモニエル瓦は、塗装による塗膜の保護が必要です。
塗装すべき瓦の見分け方
外観からは同じような形をしている瓦ですが、塗装が必要な瓦と塗装が不要な瓦があります。粘土系の瓦には、陶器瓦や無釉瓦、いぶし瓦がありますが、いずれも粘土を瓦の形に成形し、高温で焼き上げており、陶器のような高い耐久性を持っています。台風や突風の飛来物により破損したり、地震によるひび割れやズレが発生し修理が必要になることがありますが、通常の瓦のメンテナンスは不要です。しかし、漆喰の経年劣化による補修が必要になることがあります。また、瓦の色を一新したいときに専用の塗料で塗り替えを行うことがあります。
塗装の必要な瓦は、セメント系の瓦やモニエル瓦です。セメント瓦は、セメントと砂を水に混ぜて、化学反応により硬化させた瓦です。焼き上げたものではありませんので、色やツヤもなく、防水性能もありませんので塗装が必要です。塗膜剥がれが多く、最近では使用されなくなったモニエル瓦は、ヨーロッパが発祥です。表面にセメントの層を吹き付け、クリア塗装が施されています。小口部分にスラリー層が付着しているのはモニエル瓦で、セメント瓦と区別されています。
瓦の塗装メンテナンスは費用も安く理にかなっている
セメント瓦やモニエル瓦は、塗膜が劣化し、美観が損なわれます。ひび割れが発生すると、雨漏りや瓦の破損・落下につながります。塗装面が傷む前に塗装工事が行われます。
瓦の塗装メンテナンスは、葺き替え工事よりも費用が安くなります。既存屋根の葺き替え工事費用は、140~200万円程度かかりますが、塗装なら30~50万円の費用で済みます。その代わり、塗装面の耐久年数は10~15年程度となり、再び塗り替え工事が行われることがありますが、最終的には屋根の葺き替え工事が実施されます。そして、建物全体が古くなっていたら、建物の建て替え工事が必要です。
瓦塗装は専門の塗装業者の仕事
塗装が必要な瓦の場合は、下地処理をしっかりと行う必要があります。下地処理とは、ケレンや高圧洗浄のことです。汚れや苔、カビの他、塗料がしっかりと付着し剥がれないようにする下準備です。面倒な作業ですが、丁寧に行う必要があります。
下地処理の後は、下塗り塗料を塗布します。下塗り塗料が不足しないように、吸い込みが止まるまで十分な量の塗料を塗布する必要があります。
瓦の塗装は、DIYよりも、塗装作業に慣れた専門職人のほうが効率もよく、きれいに塗装できます。瓦の上を歩くのは危険です。安全面からも専門の塗装業者に仕事を依頼するべきです。
AKIHIKO ICHIKAWA