塗料の下塗り材の中でも重要な役割を担っているのが、シーラーやフィラーです。同じような役割ですが、この2つは、用途が異なり、使い方を間違うと期待している機能や性能が発揮できないことがありますので、使い方や用途には十分に注意しなければなりません。
「シーラー」と「フィラー」の違い
シーラーは、モルタルやコンクリート外壁で使用されることが多く、吸い込みの多い素地に対して使用されています。吸い込みがあると、上塗り塗料の塗膜が接着しにくくなります。上塗り塗料には密着性がありません。そのため、間に入るシーラーには、下地との密着性を高め、接着剤のような役割があります。
フィラーは、主にモルタル外壁のクラック補修や下地を平滑にするために使われています。凸凹した下地を調整せずに上塗り塗料を使用すると、塗膜も同じようように凸凹した感じになってしまうからです。
フィラーには顔料や骨材、セメントなどの無機成分が多く使われてており、粘度の高い下地調整材です。フィラーは、サイディング外壁には使用されていません。
シーラーの注意点
吸い込みムラが出ないように、シーラーは2回以上塗布することがあります。シーラーを使い、必ず吸い込みが止まるまで下塗り材を塗布します。
下塗りでシーラーをしっかりと塗っていないと、塗料の密着性が低下し、塗膜の耐久性も低下します。塗膜に艶が出ないこともありますので、丁寧に塗っていきます。
油性と水性のシーラーがあります。表面が劣化していない時は、臭いの少ない水性タイプを使います。浸透性が低く吸い込みが少ないタイプです。油性タイプは、逆に劣化が激しい時に使用します。浸透性が高くよく吸い込みます。水性よりも乾燥時間が短いという特徴があります。
フィラーの注意点
フィラーは、モルタル外壁に使用し、サイディングには使用しません。ヘアクラックが生じたモルタル外壁や凹凸の多い下地材に使用されています。フィラーでヘアクラックや段差を埋めて平滑にするため、厚塗りになります。シーラーよりも塗布量が増えます。
フィラーは水性タイプのみです。シーラーとフィラーの機能を合わせた「微弾性フィラー」もよく使用されています。微弾性フィラーは、ヘアクラックの多いモルタル外壁での使用例が最も多くなっています。
微弾性フィラーの使用例が多いのも、下地が劣化してフィラーが使えない場合があるからです。下地の劣化が激しく、別々に使用する場合は、シーラーを吸い込ませた後にフィラーを使用するようになっています。
AKIHIKO ICHIKAWA