汚れにくい外壁塗料を選ぶには、商品名を先に決めるのではなく、現在の汚れの種類と、建物の形状・方角・周辺環境を確認することが出発点です。雨だれや砂ぼこりには低汚染性、藻には防藻性、カビには防カビ性を確認します。
高性能な塗料でも、汚れをゼロにできるわけではありません。軒の出、サッシからの水の流れ、外壁の凹凸、日当たり、植栽などによって、同じ塗料でも汚れ方は変わります。
この記事の要点
- 低汚染性・防藻性・防カビ性は、対象とする汚れが異なります。
- 藻やカビは、色や模様だけで断定せず、発生場所や湿気なども確認します。
- 白や淡色、軒が少ない住宅、凹凸の深い外壁では、汚れの目立ち方にも注意が必要です。
- 塗料名だけでなく、下地処理、塗布量、乾燥時間などの施工仕様も確認します。
低汚染性・防藻性・防カビ性は何が違う?
低汚染性は雨だれや砂ぼこりなどの付着を抑える性能、防藻性は藻の発生を抑える性能、防カビ性はカビの発生を抑える性能です。名称が似ていても、対象とする汚れは同じではありません。
低汚染性は雨だれや砂ぼこりなどを対象とする
低汚染性は、外壁表面へ汚れが付着・定着しにくいようにする性能です。低汚染塗料のなかには、塗膜表面に水がなじみやすい「親水性」を利用する製品があります。雨水が塗膜表面へ広がることで、付着した汚れが雨水とともに流れ落ちやすくなります。
ただし、「低汚染性」と表示されている塗料が、すべて同じ仕組み、同じ性能というわけではありません。製品ごとの特徴と適用条件を確認する必要があります。
防藻性は藻、防カビ性はカビの発生を抑える
防藻性と防カビ性は、雨だれや砂ぼこりへの対策ではなく、藻やカビの発生・繁殖を抑えるための性能です。すでに付着している藻やカビを除去する性能ではないため、塗装前には洗浄し、状態に応じて下地処理を行います。
市川塗装では、藻とカビを見た目だけで分けて塗料を選ぶのではなく、発生場所や周辺環境を確認し、防藻性・防カビ性の両方を備えた塗料や仕様を検討しています。
汚れにくい外壁塗料は3段階で選ぶ
最初に現在の汚れと住宅条件を整理し、次に必要な性能を決め、最後に製品資料と施工仕様を比較します。商品名や「低汚染」という表示だけで決めないことが大切です。
1.現在の悩みと住宅条件から必要な性能を絞る
一つの住宅に複数の汚れが発生していることもあります。最も困っている汚れだけでなく、方角や周辺環境も含めて優先順位を決めます。
| 現在の悩み・住宅条件 | 選定の方向性 |
|---|---|
| サッシ下の雨だれが目立つ | 低汚染性を重視し、水の流れも確認する |
| 軒が少ない、白や淡色で塗りたい | 低汚染性の高い製品を検討する |
| 北面に緑色の付着物が多い | 現地確認後、防藻性・防カビ性を検討する |
| 山林や植栽が近い | 防藻性・防カビ性を重視する |
| 複数の汚れが混在している | 低汚染性、防藻性、防カビ性を組み合わせて確認する |
| 美観を長く保ちたい | 低汚染性と耐候性を別々に比較する |
2.カタログは性能名ではなく根拠まで比較する
現在は、多くの外壁塗料に低汚染性や防藻・防カビ性が記載されています。同じ言葉が書かれていても、製品間の性能が同じとは限りません。次の点を確認します。
- 低汚染性が主要機能なのか、付加機能の一つなのか
- 防藻・防カビ性が標準仕様なのか、追加仕様なのか
- 試験方法、試験条件、比較対象が示されているか
- 比較する製品の試験条件がそろっているか
- 使用塗料、施工年、方角などが分かる経過事例があるか
メーカー公表の試験結果は重要ですが、条件が異なる試験結果を数字だけで単純に比較することはできません。市川塗装では、メーカー公表情報と、施工後に確認した現場見解を分けて説明します。
3.低汚染性と耐候性を分け、施工仕様まで確認する
シリコン、フッ素、無機などの呼び方は、主に樹脂や耐候性に関係する分類です。一方、低汚染性は塗膜表面への汚れの付着を抑える性能です。無機塗料だから必ず最も汚れにくい、シリコン塗料だから汚れやすいとは一律に判断できません。
ただし、塗膜表面や艶が長く維持されることは、長期的な美観にも関係します。低汚染性と耐候性を別々に評価し、予算や希望する塗り替え周期に合わせて組み合わせます。
塗料グレードの違いは、シリコン・フッ素・無機塗料の耐久年数比較、無機塗料の商品差は、無機塗料なら何でも20年持つのかを解説した記事も参考にしてください。
汚れにくさを最優先する場合の市川塗装の提案例
雨だれや黒ずみに困っていて、汚れにくさと耐久性を特に重視する場合、市川塗装ではアステックペイントの「超低汚染リファイン1000MF-IR」を有力な候補として提案しています。
メーカーは同製品について、緻密性、親水性、防カビ・防藻性を特徴として公表し、期待耐用年数を20~24年としています。ただし、これはメーカー公表の目安です。実際の耐久性や汚れ方は、建物形状、立地条件、色、下地の状態、施工仕様などによって変わります。
メーカー公表情報:アステックペイント「超低汚染リファイン1000MF-IR」製品情報(確認日:2026年9月11日。製品仕様は変更される場合があるため、見積時にも最新情報をご確認ください)
藻・カビが多い環境では防藻・防カビ性能を優先する
塗装前から藻・カビと思われる付着物が広範囲にあり、樹木・山林・植栽が近い場合は、低汚染性だけでなく、防藻・防カビ性能を重視します。追加剤などを使う場合は、対応製品、添加条件、施工仕様をメーカー資料で確認します。
高機能塗料ほど施工仕様も確認する
高機能塗料を選んでも、必要な塗膜が形成されなければ、本来の性能を十分に発揮できない可能性があります。見積書では商品名だけでなく、次の施工内容も確認してください。
- 外壁材と既存塗膜に適合する下塗り材
- メーカーが定める塗布量と塗り回数
- 工程間の乾燥時間
- 塗装前の洗浄と下地処理
- 気温、湿度などの施工条件
塗料を選ぶ前に現在の汚れと原因を確認する
外壁の汚れは、色だけでなく、付着している場所、形状、水の流れ、方角、周辺環境から判断します。塗料だけでは解決できない症状もあるため、施工前の現地調査が必要です。
窓やサッシの下に伸びる黒ずみは雨だれの可能性がある
サッシの両端や窓の下から縦方向へ伸びる黒ずみは、雨だれ汚れの可能性があります。入隅・出隅など、水の流れが集中する部分にも黒い筋が発生します。外壁に付いた砂ぼこりなどが雨水に混ざり、同じ場所を繰り返し流れることで目立つようになります。
道路沿いでは、粉じんなど複数の汚れが混在することもあります。ただし、見た目だけで「排気ガスが原因」と判断することは難しいため、外壁の位置や水の流れまで確認します。
緑色や点状の付着物は藻・カビの可能性を確認する
緑色や点状・斑点状の付着物があれば、藻やカビの可能性を確認します。特に北面、建物の陰、植栽の近くなどは、日照が少なく湿気が残りやすい場所です。同じ住宅でも、日照の少ない北面では藻・カビと思われる付着物が、雨がよく当たる面ではサッシ下の雨だれが目立つことがあります。
塗装だけでは解決できない症状もある
汚れて見えても、原因が漏水、金属の腐食、白華現象、結露などであれば、低汚染塗料を塗るだけでは解決できません。先に原因を調べ、必要な補修を行います。
表は左右に動かせます。
| 症状 | 考えられる原因 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 雨漏りに伴う染み | 屋根、目地、開口部などからの浸水 | 漏水箇所の調査と補修 |
| 錆汁 | 金属部分や内部金物の腐食 | 錆の発生源まで確認して処理 |
| 白華現象 | 水分によって成分が表面へ析出 | 水の侵入原因と下地の確認 |
| 結露による汚れ | 温度差、湿度、断熱など | 結露原因に応じた対策 |
| 下地内部から出る染み | 内部の水分や下地の劣化 | 下地調査と補修 |
塗装前に既存の付着物を除去する
市川塗装の施工経験では、緑色の藻など表面の付着物は、高圧洗浄で除去できるケースが多くあります。ただし、赤色の付着物や付着が強い場合、高圧洗浄だけで十分に除去できない場合は、外壁材や既存塗膜の状態を確認したうえで薬剤処理を検討します。
洗浄は、これから形成する塗膜の下地を整える工程です。洗浄したから将来の藻・カビまで発生しなくなるわけではないため、周辺環境に応じて上塗り塗料の防藻・防カビ性能も確認します。
外壁のコケ・カビ・藻が洗浄だけで済む条件と、塗り替えを検討する目安は、外壁のコケ・カビ・藻は塗り替えのサイン?で詳しく解説しています。
建物の形状・外壁の凹凸・色・艶でも汚れ方が変わる
同じ塗料を使用しても、軒の有無、水の流れ、外壁の凹凸、方角、周辺環境、色、艶によって、汚れの付き方や目立ち方は変わります。
- 軒が少ない住宅:外壁へ雨が直接当たりやすく、サッシ周辺などに水の流れが集中すると雨だれが発生しやすくなります。
- 凹凸の深い外壁:溝やへこみに砂ぼこりが残りやすく、平滑な外壁より洗浄しにくい場合があります。
- 北面・植栽の近く:日照が少なく湿気が残りやすいため、藻・カビと思われる付着物に注意します。
- 窓・サッシの下:水が同じ経路を繰り返し流れやすく、縦方向の黒い雨だれが目立つことがあります。
軒が少ないから必ず汚れる、北面だから必ず藻が発生するという意味ではありません。風向き、隣家との距離、外壁材の種類なども含めて判断します。
白系の外壁は汚れが付く量より目立ち方に注意する
白や淡色を選んだから、外壁へ汚れが多く付着するとは限りません。しかし、黒い雨だれや緑色の付着物との明度差が大きいため、同じ量の汚れでも目立ちやすくなります。
白系の外壁にしたい場合は、色を諦めるのではなく、低汚染性を重視して塗料を選ぶ方法があります。色による汚れの目立ち方は、外壁の汚れが目立たない色・目立つ色で解説しています。
艶の有無でも汚れ方が変わる場合がある
市川塗装の施工経験では、同じ製品の艶違いで比較した場合、表面が滑らかな艶ありは、艶消しより砂ぼこりや汚れが引っかかりにくいと感じることがあります。ただし、艶だけで汚れにくさが決まるわけではなく、製品の設計や外壁の凹凸も影響します。
「艶ありなら汚れない」「艶消しなら必ず汚れる」とは判断せず、採用する製品の仕様を確認してください。詳しくは、外壁塗装の艶あり・5分艶・3分艶・艶消しの比較をご覧ください。
低汚染塗料や防藻・防カビ塗料にも限界がある
超低汚染塗料や防藻・防カビ塗料にも、抑えられる範囲には限界があります。建物形状や周辺環境によっては、塗装後に雨だれや藻・カビが再び発生することがあります。
雨には汚れを流す面と雨だれを作る面がある
- 雨が汚れを流しやすい状態:親水性を持つ製品では、塗膜表面に雨水が広がり、付着した汚れが雨水とともに流れ落ちやすくなります。
- 雨だれを作りやすい状態:サッシの端など一部へ水が集中すると、汚れを巻き込んだ水が同じ場所を繰り返し流れ、黒い筋が残ることがあります。
雨が当たりにくい軒下では、雨水によって汚れが流れる効果を同じように期待できるとは限りません。一方で、雨が当たる場所でも、水の流れが一点に集中すれば雨だれが発生します。
超低汚染塗料でも雨だれを防ぎきれない場所がある
高性能な塗料を選んでも、サッシの両端など、水と汚れが同じ場所を繰り返し流れる部分には雨だれが付く可能性があります。車の塗装も高品質ですが、ドアミラーの下には雨だれができます。外壁も同様に、水の流れが集中する場所では黒い筋が残ることがあります。
防藻・防カビ塗料でも再発することがある
防藻・防カビ性能にも限界があります。樹木や山林が近い、日照が少ない、風通しが悪いといった環境では、塗装後に再び付着物が発生する可能性があります。
また、塗膜の期待耐用年数と、防藻・防カビ効果の持続期間は同じではありません。長寿命の塗料だから、その期間中ずっと藻やカビが発生しないという意味ではないため、年数だけで判断しないことが大切です。
軽い付着物は早めにやさしく手入れする
塗装後に軽い藻や汚れが付いた場合は、柔らかい布やスポンジなどでやさしく落とせることがあります。強くこする、高圧洗浄機を近距離から当てる、製品に適合するか分からない薬剤を使うと塗膜を傷める可能性があるため、塗料メーカーまたは施工会社へ確認してください。
まとめ
汚れにくい外壁にするには、現在の汚れと発生原因を確認し、その住宅に必要な性能を選ぶことが重要です。
- 低汚染性、防藻性、防カビ性は、対象とする汚れが異なります。
- 汚れは色だけでなく、場所、形状、水の流れ、周辺環境から判断します。
- 軒、外壁の凹凸、方角、色、艶によっても、汚れ方や目立ち方は変わります。
- 超低汚染塗料にも限界があり、建物条件によっては汚れが再発します。
- 必要な性能を選び、メーカー指定の施工仕様を守ることが重要です。
現在すでに外壁の汚れに強く困っている場合は、その建物に汚れが発生しやすい理由があります。現地調査では、塗料の性能だけでなく、サッシからの水の流れ、軒の出、外壁の凹凸、方角、植栽なども確認しましょう。
参考資料
- アステックペイント「超低汚染リファイン1000MF-IR」製品情報(確認日:2026年9月11日)
外壁の雨だれや藻・カビでお困りですか?
現在の汚れだけでなく、建物の形状や周辺環境まで確認したうえで、必要な塗料と施工方法をご提案します。
外壁の状態について相談する














































AKIHIKO ICHIKAWA