塗料の種類と耐久性
塗料の種類と耐久性について
塗料の種類は豊富で、安いものは石油缶1缶で5千円以下、高価なものだと10万円を超えるものもあります。
耐久性は塗料の主成分である樹脂によって変わり、主に次の4つに大別できます。
樹脂の種類 |
ウレタン系塗料 |
シリコン系塗料 |
フッ素系塗料 |
無機系塗料 |
耐用年数目安 |
8~10年 |
10~15年 |
15年 |
20年 |
価格 |
安い |
やや安い |
やや高い |
高い |
塗料にはそれぞれの種類によって、必ずメリットとデメリットがありますので、性能、耐用年数、価格などの様々な要素をよく考慮して選択する必要があります。
また、ベースとなる樹脂塗料の他にも、遮熱性能を持たせた塗料や、太陽光で汚れを浮かせて雨で洗い流すことができる光触媒塗料などもあるため、機能性を重視した塗料選びなども可能です。
これらの機能性塗料は、材料代が高額になってしまいますが、予算に余裕のある方やお住まいの環境によって必要だという場合には、選択肢に入れてもよいと思います
ウレタン塗料
この塗料の耐用年数は8~10年とされており、極端に耐久性が低いわけではありませんが、シリコンやフッ素と比べると耐久性能では劣ってしまいます。
しかし、ウレタンは柔らかくて密着性が高い性質がありますので、細部の塗装に適しています。
耐候性が高く防水性能もあるのでベランダの防水工事などにもよく使われています。
シリコン塗料
シリコン系塗料の耐用年数は10~15年です。シリコンの含有量が多ければ15年ぐらい持つ場合もあります。
ただし、格安のシリコン塗料を選ぶと、シリコンの含有量が少ないことが多く、ウレタンよりも耐久性が劣ることが多いので注意しなければなりません。
「シリコン=良い」という意味ではありません。
塗装業者に見積もりを取る時は、シリコン系塗料であっても使う塗料の名前や特長などをよく確認し、希望している耐久性や性能を持っているのかどうかをよく確認してください。
フッ素塗料
フッ素系塗料の耐用年数は15年と言われています。
シリコン塗料の耐用年数が10~15年ですので、使用環境によっては1.5倍の性能差が出ることがあります。
この塗料は、以前は、商業ビルなどに大型施設に使われることが多かったようですが、近年は価格が下落傾向にあるため、一般住宅にも採用されて普及してきています。
無機系塗料
親水性に優れ、汚れが落ち易いという性質がある機能性塗料です。また、紫外線に強く、耐久性が長いという特長もあります。
耐候性能は、フッ素塗料の1.5倍もあります。シリコン塗料なら2.4倍に値する耐候性能です。
非常に硬く割れやすい無機塗料もありますので、取り扱いや使用環境には注意を要します。
遮熱・断熱塗料
遮熱塗料は、太陽光を反射し、屋根表面温度の上昇を抑え、室内温度を下げる効果があります。
断熱塗料は、太陽光による熱を室内に伝えにくくしたり、室内温度を一定に保つ効果があります。
価格や耐久性は、塗料に含まれる樹脂の種類で大きく変動しますので、各メーカーごとによく比較検討して塗料選びを行う必要があるでしょう。
光触媒塗料
光触媒塗料の耐用年数は15年程度で、フッ素と同程度の高い耐久性を持っている点が大きな魅力です。
光触媒が持つ高い親水性によって、チリやホコリが付きにくく、付いた汚れも光触媒が分解して付着力を弱めることができます。
汚れが浮いた状態になると、雨が降った時にその汚れを雨水が一緒に洗い流してくれるため、塗装面をきれいに保つセルフクリーニング機能が働きます。
耐久性の良い塗料を使った方がいいかどうか?
塗装工事の費用は、労務費(職人さんの手間賃など)や諸経費が工事金額の大半を占めるため、塗料価格が2倍になっても工事金額も同じように2倍になるということはありません。
耐久性の良い塗料は高価ですが、長持ちする塗料を使って先々の塗り替え回数を減らした方が結果的には経済性を高めることになるでしょう。
木部や鉄部への塗装はなぜ長持ちしない?
外壁付帯部に木部や鉄部が使用されているケースでは、それらの耐久性も考慮する必要があり、専用の塗料を使って塗装しています。
木部(破風板など)や鉄部(手摺など)は、どんなに良い塗料で塗装しても10年は持たないため、早期にメンテナンスが必要となります。
屋根は外壁よりも劣化速度が早い
屋根は日照時間が外壁よりも長くなるため、紫外線による劣化スピードが外壁と比べて早くなってしまいます。
シリコン塗料を外壁に塗れば、10~15年の耐久性がありますが、屋根に塗れば、5~6年の耐久性しかないので屋根面の保護効果がすぐになくなってしまいます。
同じように、フッ素なら10年、無機塗料なら15年と耐久性がかなり短くなってしまいます。
そのため、屋根に使用する塗料は、外壁で使用する塗料よりもグレードの高い塗料をお勧めしており、耐用年数や耐久性をよく見て塗料選びを行うようにしてください。
まとめ
塗料を選定する際には、屋根の塗料、外壁の塗料、付帯部などへの塗料など、部材ごとに使用する塗料の寿命を合わせてメンテナンスの計画を立てるようにしましょう。
1度の足場設置で外観のメンテナンスが一通りできるようになりますので、メンテナンスの手間や無駄、コストなどを大幅に省くことができます。
AKIHIKO ICHIKAWA