一長一短だから用途に応じて選ぶ「ウレタン塗料」と「シリコン塗料」
屋根や外壁に使う塗料にはグレードがあって、耐久年数に対応した価格設定になっています。
主なグレードといえば、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機などが挙げられますが、ウレタンやシリコンになると、よく使われている塗料の中でも中位のグレードにあたります。
今回は「ウレタン塗料」と「シリコン塗料」に絞り、メリット・デメリットの紹介の他、迷った時の選び方のポイントなどについて解説していきます。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、塗装後の塗膜が柔らかくて硬化しにくいため、ひび割れしにくい性質を持つ塗料です。
例えば、木材や木部に塗装する場合は、ウレタン塗料を選んだほうがいいでしょう。
屋根や外壁用の塗料の中でいえば、ウレタン塗料よりもシリコン塗料のほうがグレードが高い設定になっています。
実際に価格相場、耐用年数などを比較しても、多くのケースでシリコン塗料のほうが性能が高いという結果になっています。
ただし、同じ塗料の中でも、付加機能が追加された塗料や特殊な機能を持つ塗料であれば、価格差が生まれますし、用途によってはウレタン塗料を使ったほうがいい場合もあります。
用途によっては、ウレタンであってもシリコンより耐久性が高くて、価格も高い製品がありますので、選ぶ際には塗料を提案した業者や専門家の意見をよく参考にするようにしましょう。
全ての塗装面をシリコン塗料で塗装するわけではなく、シリコン塗料で塗装しない箇所もありますが、その際はウレタン塗料で塗ることができることがあります。
ウレタンとシリコンの各塗料の性能を比較すると、密着性の高さならウレタン、色あせしにくいほうはシリコン、塗りやすいのがウレタン、などといった、それぞれの細かい特長を見るとはっきりとした違いがあり、何を重視するかで塗料選びも変わってしまうことがあるでしょう。
屋外にあって耐久性が重視される屋根や外壁用として使用する塗料は、上記のような使用環境なども含めて慎重に塗料選びをする必要があるでしょう。
ウレタン塗料に関していえば、外壁塗装でもシリコン塗料が登場する前から使われてきたこともあり、性能が悪いということはなく、今でも用途を絞って使われている重要な存在です。
シリコン塗料やフッ素塗料は、高い性能を持ちますが、後から登場した比較的新しい塗料であるため、施工実績が出ると多くの方に選ばれるようになっています。
一般的には、新製品ほど改良が進み機能性や耐久性が高くなるため、それに応じて値段も高くなると考えてください。
シリコン塗料
シリコン塗料は、ウレタン塗料よりも後になって登場した塗料ですが、外壁塗装ではシリコン塗料が主流となっています。
今現在、屋根や外壁の塗装工事では、ウレタン塗料よりもシリコン塗料を使っているところが増えており、すでに多くの施工実績がありますので、多くの塗装業者でも取り扱いが可能で安心感があります。
シリコン塗料のメリットとしては、塗料の持ちの良さが安定した施工実績や施工後の高い評価につながっており、当初はウレタンより価格が高かったようですが、5年ぐらい前から手頃な価格に落ち着いており、価格面でのデメリットを感じなくなってきています。
同じシリコン塗料であっても、大量に取り扱うところでは低価格で提供できる場合もあり、ウレタン塗料よりも施工価格が安くなることがあります。
シリコン塗料は、主成分がシリコン樹脂になっていて、安定した塗膜を形成し長期間耐候性や耐久性を維持できる優れた性質を持つ塗料です。
また、塗装面に汚れがつきにくく、色あせも少ないという特長があり、長期間きれいな外観を保ちます。
塗料の持ちがいいとは主にシリコンの性質によるものです。
シリコン塗料の耐久性は、耐用年数にすると8~15年程度あり、塗料の中でも長期間使える部類に入ります。
ウレタン塗料とシリコン塗料の選び方のコツ
ウレタン塗料とシリコン塗料のメリットやデメリットを比較しても、甲乙つけがたい場合は、どちらを選んだらよいのかわからないことがあります。
ウレタン塗料とシリコン塗料を比較した場合、価格面での差があまりなく、塗料が持つ性能によっては価格が逆転し、ウレタン塗料が高くなることもあります。
そのため、単価や価格だけで塗料選びをするのではなく、他のポイントも調査し、ウレタンとシリコンの各性質を比較検討したうえで、塗装箇所に合った塗料を選びましょう。
シリコン塗料のほうがいい、シリコン塗料だけでも問題ない、という塗装業者もいますが、実際にはシリコン塗料もウレタン塗料も一長一短で、各塗料の内容や性能をよく比較してみなければ間違った選択をしてしまうことがあります。
屋根と外壁では同じシリコン、ウレタンの塗料であっても、太陽光を直接浴びるため、耐久性が要求される屋根用塗料のほうが耐用年数が短くなってしまいます。
屋根や外壁の再塗装工事では、同時に行うとコストダウンになることが多いため、塗装が必要な屋根材の場合は忘れずに打ち合わせを行ってください。
屋根と外壁の同時塗装工事の注意点としては、同じ塗料を使うと耐用年数にズレが生じる点です。
そのため、屋根に使用する塗料は、外壁塗装で使用した塗料よりも高いグレードを選択し、耐用年数が同じぐらいの塗料を選んで、再塗装のタイミングを合わせるといいでしょう。
このような、将来の塗装メンテナンスをしっかりと考えた塗料選びも、優良な塗装専門業者ならベストの組み合わせを提案できます。
AKIHIKO ICHIKAWA