出典:http://niigatapaint.com/diary/1021.html
北海道などの寒冷地にお住まいの方にはよく知られていますが、その他の地方の方にはあまり知られていない外壁トラブルがあります。それが外壁サイディングの凍害です。 ここでは凍害の原因や対策法についてポイントを押さえて解説します。
水の性質を知れば凍害が起こるメカニズムもわかりやすい
水の性質について思い出してください。学校の理科の授業でも習ったはずです。 建築のお仕事をしている方なら常識かもしれません。外壁のサイディングには、いつも水や水蒸気が含まれています。こうした水分を含んだ外壁が寒冷地の寒い季節になると、氷になってしまいます。そのときの体積は水の1.1倍です。固く膨らんだ氷です。
水が凍ってしまうと、サイディングの表面を持ち上げて外に押し出されたような感じになってしまいます。日中は気温が上がりますが、何度も水が凍結と融解を繰り返すと、次第に外壁の膨らみが大きくなり、同時にひび割れも発生してしまいます。経年劣化により外壁の塗装の塗膜が剥がれたりすると、凍害も発生しやすくなります。
凍害の被害と修理方法
コンクリートの外壁でも凍害が発生し、放置すると表面剥離します。進行すると、ひび割れや薄い表面の剥離、欠片の崩落などが見られます。見た目の悪さが問題になるだけではなく、水分が建物に浸入しやすくなり、建材も腐食し、雨漏りも発生します。
こうした症状が見られたら、凍害の被害が少ないうちに補修工事を行う必要があります。部分補修工事は、パテを使って行われますが応急処置でしかありません。窓やサッシ部分、目地部にはシーリング材を打設します。
外壁材そのものが劣化していた場合は、外壁の塗り替えや外壁材の張り替えなどの工事がおすすめです。同時に凍害が進んでしまった場合の最終的な対処法になります。
凍害は予防方法が複数あって難しい
凍害は、お住まいの地域の自然環境、外壁サイディングや塗料の種類などのさまざまな原因により発生します。凍害の起こりやすい箇所も決まっていますが、必ず凍害が起こるわけではなく、いろいろな条件がそろったときだけに発生するものです。
凍害の発生箇所は、排気口周辺、窓サッシ、換気フードです。この箇所に「水切り」を設置すれば、凍害が予防できます。同時に雨筋などの汚れも防止できます。 また、定期的に外壁サイディングの点検を実施してください。
ポイントは、外壁サイディングの表面と目地部のコーキング、窓サッシ、換気フード、浴室に面した外壁部分などのひび割れや劣化症状がないかどうかを見ることです。目視でもチェックできます。
AKIHIKO ICHIKAWA