外壁塗装の膨れ・剥がれは、施工不良だけでなく、経年劣化、下地の水分、既存塗膜や外壁構造が原因になることがあります。市川塗装では、施工後3年以内の発生を施工に起因する不具合を強く疑う一つの目安としていますが、年数だけでは断定しません。
原因を特定するには、専門業者が水分や雨漏りの有無、どの塗膜層から剥がれているか、症状の範囲などを調査します。お客様自身が塗膜を剥がしたり、細かく判定したりする必要はありません。原因を調べず、膨れた部分の上から塗り重ねると再発することがあります。
塗膜の膨れは、塗膜が下地から浮き、内部に空隙や水分がある状態です。剥がれは、塗膜が付着力を失って脱落している状態です。膨れた塗膜が破れ、剥がれへ進むこともあります。
この記事の要点
- 施工後3年以内の発生は、施工に起因する不具合を強く疑う一つの目安ですが、年数だけでは断定できません。
- 専門業者が下地の水分・雨漏り、剥離した塗膜の層、発生範囲を調べ、今回の施工、経年劣化、既存塗膜・外壁構造の3方向から原因を絞り込みます。
- 原因と周囲の塗膜の状態に応じて、部分補修、全面再塗装、旧塗膜の全面除去、外壁カバー工法、張り替え、維持補修を比較します。
専門業者が原因調査で確認する4つの判断材料
専門業者は、発生時期、ほかの劣化症状、剥離した塗膜の層、発生範囲を主な判断材料にします。これは、お客様が自分で施工不良か経年劣化かを判定するためのチェックリストではありません。現地調査で複数の手掛かりを組み合わせ、既存塗膜や外壁構造も含めて原因を絞り込みます。
表は左右に動かせます。
| 判断材料 | 今回の施工に起因する可能性 | 経年劣化に伴う可能性 | 既存塗膜・構造に起因する可能性 |
|---|---|---|---|
| 発生時期 | 市川塗装では施工後3年以内を一つの目安とする | 施工から年数が経過してから発生 | 塗り替え後に繰り返すことがある |
| ほかの症状 | 新しい塗膜の浮きや、まとまった剥離 | 色あせ、チョーキング、ひび割れなども見られる | 同じ外壁材や同じ面で膨れが繰り返す |
| 剥離した層 | 新しい塗膜が一体となって剥がれている | 古い塗膜自体が脆くなっている | 外壁材と旧塗膜の境目から剥がれている |
| 発生範囲 | 特定の施工箇所や面に出ることがある | 建物全体に複数の劣化が見られる | 同じ塗膜仕様の範囲に広がることがある |
水分や雨漏りは、施工・経年劣化・構造のどのケースにも関係します。そのため、専門業者は水分の有無を上の3分類とは別に調べます。
1.発生時期と施工履歴
市川塗装の現場経験では、施工に起因する膨れ・剥がれは、施工後3年以内に症状が現れることが多くあります。そのため、3年以内を施工不良を強く疑う目安としています。
ただし、3年以内なら必ず施工不良という意味ではありません。反対に、3年を超えてから発生した場合も、年数だけで今回の施工との関係を完全に否定することはできません。施工時期、使用塗料、過去の補修歴と現地の状態を合わせて判断します。
2.下地の水分や雨漏りの有無
塗膜の内側に水分がある場合、上から塗り直すだけでは再発する可能性があります。専門業者は、必要に応じて次の状態を調べます。
- 膨れの内部に水分が入っているか
- 室内や外壁に雨染みがあるか
- 雨漏りを伴っているか
- シーリング材が破断しているか
- 外壁やサッシ周辺にひび割れがあるか
- 水分計などの調査機器で異常が見られるか
外壁目地の状態については、外壁シーリングのひび割れ・肉やせ・剥離の判断基準、外壁のひび割れについては、外壁のひび割れは何mmから危険かで詳しく説明しています。
3.剥離している塗膜の層
外壁塗装は複数の塗膜層で構成されています。専門業者は、自然に剥がれた断面や必要最小限の試験箇所から、どの境目で剥離しているかを調べます。お客様自身が塗膜を剥がす必要はありません。
- 外壁材と旧塗膜の間で剥がれている
- 旧塗膜と今回の塗装で形成された表面塗膜の間で剥がれている
- 旧塗膜ごと剥がれている
- 表面塗膜だけがまとまって剥がれている
外壁材と旧塗膜の間で剥離している場合は、旧塗膜の付着状態、外壁材との相性、過去の下地処理などを確認します。旧塗膜と表面塗膜の間で剥離している場合は、塗り重ね時間、塗料の組み合わせ、施工時の乾燥状態などを調べます。ただし、剥離した位置だけで施工会社の責任まで断定することはできません。
塗料メーカーのトラブルシューティング資料でも、剥がれはどの部分から剥がれているかが重要とされています。
4.発生範囲と再発の有無
市川塗装の現場経験では、水分が関係する水ぶくれ状の膨れは局所的に現れることがあります。一方、既存の弾性塗膜と外壁材の組み合わせが原因の場合は、同じ仕様が使われている範囲へ広がることがあります。
ただし、局所的なら水分、広範囲なら塗膜の相性と決めつけることはできません。専門業者が建物全体を確認し、補修後に別の場所で繰り返しているか、周囲の塗膜にも付着力の低下があるかを調べます。
外壁塗装が膨れる・剥がれる主な原因
膨れ・剥がれの原因は、今回の施工だけとは限りません。既存塗膜、外壁構造、水分、経年劣化を含めて確認します。
既存の弾性塗膜と外壁材の相性
市川塗装の現場で特に注意しているのが、既存の弾性塗膜と窯業系サイディングなどの外壁材との組み合わせです。住宅によっては、目地部分の防水性を補う目的などから、シーリング材の上まで柔らかい弾性塗膜で覆われていることがあります。
窯業系サイディングなど断熱性の高い外壁材は、夏場の日射によって表面温度が高くなり、外壁内部の湿気が水蒸気になりやすくなります。既存の弾性塗膜の上へ塗料を重ねると水蒸気が逃げにくくなり、熱で軟らかくなった旧塗膜が押し上げられて膨れることがあります。日本ペイントの弾性塗料に関する注意事項でも、同様の膨れについて注意喚起されています。
市川塗装の現場では、外壁材と旧塗膜の間に空隙が確認されることもあります。ただし、膨れは空気だけでなく、水分、水蒸気、熱による塗膜の軟化、付着力低下など、複数の条件が重なって発生します。
これは、弾性塗料そのものが一律に悪いという意味ではありません。外壁材、既存塗膜、新しく使用する塗料の組み合わせや、外壁内部の水分状態を確認することが必要です。
専門業者が調べる項目
- 外壁材と旧塗膜の境目から浮いているか
- 同じ塗膜仕様の範囲にも膨れがあるか
- 周囲の塗膜が外壁材へ密着しているか
- 膨れの内部に水分があるか
- 過去の補修後に別の場所で再発しているか
既存塗膜全体に問題がある場合は、単純な再塗装を避け、部分補修、旧塗膜の全面除去、外壁カバー工法、外壁材の張り替えなどを比較します。詳しくは「膨れ・剥がれの修繕方法の選び方」で説明します。
直張りサイディングなど外壁構造の影響
窯業系サイディングの中には、外壁材の裏側に十分な通気層を設けず、下地へ直接取り付ける直張り工法があります。市川塗装では、外壁内部の湿気が逃げにくい状態と塗膜の膨れ・剥がれが重なっているケースを確認しています。
塗膜の膨れが日射を受ける面に集中していたり、補修後も再発していたりする場合は、外壁構造を含めて調べます。塗り替え前に外壁材と既存塗膜の状態を把握する重要性は、日本ペイントの窯業系サイディング塗り替えに関する注意事項でも案内されています。
専門業者が調べる項目
- 水切り部分などから通気層の有無を確認できるか
- 図面や建築時の資料に外壁の施工方法が記載されているか
- 日射を受ける面へ症状が集中しているか
- 外壁内部や塗膜の内側に水分があるか
- ひび割れ、シーリング、サッシ周辺から雨水が侵入していないか
ただし、直張りサイディングだから必ず膨れるわけではなく、外観写真だけで直張り工法とは断定できません。専門業者が水切り部分の納まり、通気層、図面、外壁材の状態、雨水の侵入経路を調査し、再塗装が適切かを判断します。
ひび割れやシーリングから侵入した水分
外壁のひび割れ、シーリング材の破断、サッシ周辺などから水が入ると、塗膜の内側に水分がたまることがあります。日射で温められた水分が水蒸気となり、塗膜を内側から押し上げることもあります。
水分が原因の場合は、膨れた部分だけを補修する前に、どこから水が入ったのかを調べます。雨漏りや水の侵入経路を残したまま塗り直しても、同じ場所や周辺で再発する可能性があります。
洗浄・旧塗膜除去・下地処理の不足
塗装前の汚れ、チョーキングの粉、密着していない旧塗膜などが残っていると、新しい塗膜が下地へ十分に付着しません。
- 高圧洗浄や清掃が不十分だった
- 浮いている旧塗膜を除去していなかった
- 外壁材に適さない下塗り材を使用した
- 洗浄後や降雨後の乾燥が不十分だった
- 塗料ごとに定められた塗り重ね時間を守っていなかった
このような条件では、新しい塗膜だけがまとまって剥がれたり、旧塗膜ごと剥がれたりすることがあります。必要な乾燥時間や塗り重ね時間は製品と施工条件によって異なるため、専門業者が使用塗料の仕様書と施工記録を照合します。
経年劣化による塗膜の脆化・付着力低下
日本ペイントの塗膜劣化に関する解説によると、塗膜は紫外線、熱、水などの影響を受けて徐々に劣化します。色あせ、チョーキング、ひび割れなどが進んだ後、塗膜の付着力が低下して剥がれにつながることがあります。
チョーキングの症状や塗装時期の考え方は、外壁を触ると白い粉がつくチョーキングの判断基準で詳しく説明しています。
そのため、経年劣化は「古くなったから突然膨れた」と考えるのではなく、塗膜が脆くなったところへ水分や温度変化などが加わり、膨れ・剥がれが発生しやすくなった状態として考えます。
膨れ・剥がれを見つけたら、触らずに専門業者へ相談する
膨れや剥がれを見つけても、無理に潰したり、塗膜を剥がしたりする必要はありません。その状態のまま専門業者へ相談してください。膨れの内部や剥離した塗膜の層が、原因を判断する材料になるためです。
早めの相談が必要な症状
次の状態に気付いた場合は、お客様自身で原因を調べようとせず、早めに施工会社や専門業者へ連絡してください。
- 短期間で膨れ・剥がれの範囲が広がっている
- 雨染みや雨漏りを伴っている
- 外壁材の素地が露出している
- 膨れの内部に水分が見える
- 補修後に別の場所で再発している
調査前に避けたいこと
- 膨れを針などで潰す
- 浮いた塗膜を広く剥がす
- 市販塗料で上から塗る
- 家庭用高圧洗浄機を当てる
- はしごや高所から確認する
相談時は、分かる範囲の情報だけで十分
連絡時に詳しい原因説明や大量の資料は必要ありません。次の情報を、分かる範囲で伝えてください。安全に撮影できる場合は写真があると調査を進めやすくなりますが、無理に用意する必要はありません。
- 地上から見て分かる発生場所とおおよその範囲
- 気付いた時期
- 手元にあれば、保証書・契約書・使用塗料が分かる資料
- 安全に撮影できる場合のみ、建物全体と症状部分の写真
自然に剥がれ落ちた塗膜が手元にあれば保管すると参考になる場合がありますが、拾うために危険な場所へ入ったり、塗膜を自分で剥がしたりしないでください。
施工後3年以内なら、まず施工した会社へ連絡する
施工後3年以内に症状が出た場合は、まず施工した会社へ連絡し、「なぜ膨れ・剥がれが発生したのかを調査してほしい」と依頼してください。原因を確認せず、すぐに上から塗り直す方法は再発につながることがあります。
施工会社と原因について見解が分かれた場合は、症状を残した状態で、施工会社とは別の塗装会社や建物診断の専門家へ現地調査を依頼できます。保証の対象になるかは、発生年数だけでなく、保証内容と原因調査の結果によって変わります。詳しくは、外壁塗装の保証年数と保証範囲・免責事項をご覧ください。
膨れ・剥がれの修繕方法はどう選ぶ?
修繕方法は、膨れ・剥がれの面積だけでは決められません。専門業者が、原因を取り除けるか、周囲の塗膜が密着しているか、既存塗膜全体に問題があるかを調べて判断します。
部分補修で対応できる条件
市川塗装では、次の3つを満たしていることを部分補修の主な条件としています。
- 原因が一部分に限定されている
- 周囲の塗膜がしっかり密着している
- 症状が広がっていない
水分の侵入など、膨れを発生させた原因がある場合は、その原因を先に解消します。浮いた塗膜だけを除去して塗り直しても、原因が残っていれば再発する可能性があります。
全面再塗装を検討できる条件
全面再塗装を検討できるのは、既存塗膜が全体として密着し、膨れ・剥がれの原因を取り除ける場合です。新しく使用する下塗り材や上塗り材が、外壁材と既存塗膜に適合することも確認します。
必要に応じて専門業者が一部を試験塗装し、乾燥後の付着状態を確認してから仕様を決めます。
再塗装だけでは根本解決しにくいケース
次の状態では、上から塗り重ねる工事を根本修繕としておすすめできない場合があります。
- 既存塗膜全体と外壁材の相性が悪い
- 柔らかい旧塗膜が外壁全体に残っている
- 複数箇所で膨れが繰り返している
- 直張り構造など、外壁内部の湿気が影響している
- 旧塗膜を残す限り再発する可能性が高い
根本的な対応としては、旧塗膜の全面除去後に再塗装する方法、外壁カバー工法、外壁材の張り替えがあります。
根本修繕が難しい場合は維持補修も検討する
過去の塗装時期や修繕履歴によっては、2回目以降の塗り替えを検討する頃に築40年前後となっている住宅もあります。今後の使用予定や建物の維持計画によっては、大きな費用がかかる外壁カバーや全面張り替えが、必ずしもお客様の希望に合うとは限りません。
その場合は、再発する可能性と補修の限界について専門業者から説明を受けたうえで、発生箇所を補修しながら維持する方法もあります。これは完全に直す工事ではなく、専門業者による定期点検と早期補修を続けながら、将来の大規模修繕まで劣化の進行を管理する選択肢です。
表は左右に動かせます。
| 現場の状態 | 主な選択肢 | 注意点 |
|---|---|---|
| 原因が局所的で、周囲の塗膜が密着している | 部分補修 | 原因を先に解消する |
| 原因を解消でき、既存塗膜が全体として健全 | 全面再塗装 | 下地と塗装仕様の適合を確認する |
| 既存塗膜全体が外壁材から浮いている | 全面除去後の再塗装 | 工事費が高額になりやすい |
| 外壁全体の塗膜仕様・外壁材・構造に問題がある | 外壁カバーまたは張り替え | 重量、納まり、外壁下地も確認する |
| 根本修繕が予算や今後の使用予定・維持計画に合わない | 再発を前提とした維持補修 | 根本修繕ではないことを理解する |
部分補修と全面塗装の費用面を含む一般的な比較は、外壁の部分補修と全面塗装はどちらが得かで詳しく説明しています。
外壁塗装の膨れ・剥がれについてよくある質問
外壁塗装の膨れ・剥がれは放置しても大丈夫ですか?
短期間で広がっている、雨染み・雨漏りを伴う、外壁材の素地が露出している、内部に水分が見える場合は、早めに専門業者へ相談してください。症状が小さく見えても、ご自身で潰したり上から塗ったりする必要はありません。
施工後3年以内なら、必ず保証の対象になりますか?
施工後3年以内でも、必ず保証の対象になるわけではありません。市川塗装では施工に起因する不具合を強く疑う現場上の目安としていますが、保証範囲、免責事項、既存下地、雨漏りなどの原因によって判断が変わります。
施工した会社が原因を認めない場合はどうすればよいですか?
症状を残したまま、施工会社とは別の塗装会社や建物診断の専門家へ現地調査を依頼できます。分かる範囲の施工時期や症状を伝えればよく、ご自身で原因を判定したり、すべての資料を集めたりする必要はありません。
塗装会社へ相談すれば、その場で原因が分かりますか?
目視だけでは原因を確定できない場合があります。膨れの内部、剥離した層、周囲の付着状態、下地の水分、雨漏り、外壁構造などを調査したうえで判断します。
まとめ|全面塗装をする前に膨れ・剥がれの原因を調べる
外壁塗装の膨れ・剥がれは、施工不良と経年劣化だけでなく、既存塗膜と外壁材の相性、外壁構造、水分などが関係している場合があります。
- 専門業者が下地の水分・雨漏り、剥離した層、発生範囲を調べる
- 発生原因と施工会社の責任は分けて考える
- 既存塗膜全体に問題がある場合、全面塗装でも再発することがある
- 部分補修、全面再塗装、旧塗膜の全面除去、外壁カバー工法、張り替え、維持補修から建物に合う方法を選ぶ
お客様が無理に触ったり原因を判断したりする必要はありません。症状をそのまま残して専門業者へ相談し、原因を確認してから修繕方法を決めることが、再発を減らす第一歩です。
外壁の膨れ・剥がれの原因を確認したい方へ
市川塗装では、剥離した塗膜の層、周囲の付着状態、水分、外壁構造を調査したうえで、部分補修、再塗装、外壁カバー、張り替えなどから、建物の状態と今後の維持計画に合う方法をご案内します。静岡県東部で判断にお困りの場合は、症状を剥がさず、そのままご相談ください。
外壁の状態について相談する参考資料
- 日本ペイント「弾性塗料とサイディングの塗り替え」(確認日:2026年9月13日)
- 日本ペイント「窯業系サイディング塗り替え時の注意」(確認日:2026年9月13日)
- 日本ペイント「塗膜の劣化」(確認日:2026年9月13日)
- 大信ペイント「トラブルシューティング」(確認日:2026年9月13日)
施工後3年以内という目安、部分補修の条件、既存の弾性塗膜や直張りサイディングに関する判断は、市川塗装が現場で得た知見に基づいています。















































AKIHIKO ICHIKAWA