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旭化成へーベルハウスの屋根材と防水材を徹底解説
旭化成へーベルハウスの最大の特徴である「ロングライフ住宅」を支える重要な要素が、独自の屋根構造と防水システムです。
本記事では、へーベルハウスの心臓部ともいえるALCパネル(へーベル)を用いた屋根材と、高い耐久性を誇る**防水材(シート防水)**の仕組みについて、技術的な側面から詳細に解説します。
1. 屋根の基盤:ALCコンクリートパネル「へーベル」

へーベルハウスの屋根構造の核となるのが、ALC(軽量気泡コンクリート)パネルです。
これは「高温高圧蒸気養生(Autoclaved)」されたコンクリートで、壁や床だけでなく屋根の基盤となる屋根材としても使用されています。
屋根材としての技術的特性
屋根材としてのALCには、以下の大きなメリットがあります。
軽量性: 非常に軽量であるため、建物全体の重心を低く抑えることができ、地震時の建物への負担を軽減します。これは耐震性においても有利に働きます。
耐久性と無機質性: 主成分がセメントや石灰などの無機質な原料であるため、腐食やシロアリの被害の心配がほとんどなく、長期間安定した性能を維持します。
断熱・遮音性: パネル内部に無数の微細な気泡を含んでいるため、外気の影響を直接受けやすい屋根において、熱や音を遮断する役割を果たします。
耐火性: ALCパネル自体が不燃材料であり、熱を伝えにくい性質を持つため、万が一の火災時にも構造体である鉄骨を温度上昇から守り、建物の倒壊を防ぎます。
鉄骨構造との一体化
屋根のALCパネルは、頑丈な軽量鉄骨または重量鉄骨の梁の上に敷設されます。
パネルは専用の取付け金具である「フックボルト」「丸座金」「スラブプレート」「マルカン」などを用いて、目地鉄筋(9φまたはD10)と共に強固に固定されます。
この敷設筋構法により、地震や台風などの外部からの力に対しても、パネルのズレや飛散を防ぐ強固な構造を実現しています。
2. 主流の屋根形状:陸屋根(フラットルーフ)

へーベルハウスで最も象徴的な形状が、水平で平らな**陸屋根(フラットルーフ)**です。
陸屋根の設計思想と機能
空間の有効活用: 屋上が平らであるため、ガーデニングやアウトドアリビング、子供の遊び場として活用できる「屋上空間」を創出できます。特に土地が限られる都市部において、庭の代わりとして機能します。
点検の安全性: 一般的な勾配屋根(三角屋根)と比較して足場が安定しているため、清掃や目視点検、将来の改修作業が安全かつ容易に行えるというメリットがあります。
モダンな外観: シンプルな立方体(キューブ状)のフォルムを構成し、洗練された都市型住宅のデザインに適合します。
ただし、陸屋根は勾配が非常に緩やかであるため、雨水が屋根面に滞留しやすいという特性があります。
そのため、後述する高度な防水材と排水設計が不可欠となります。
3. 屋根の断熱システム:ネオマフォーム
へーベルハウスの屋根は、ALCパネル自体の断熱性に加え、高性能断熱材**「ネオマフォーム」を組み合わせた外断熱工法**を採用しています。
ネオマフォームの卓越した性能
ネオマフォームはフェノール樹脂を用いた断熱材で、トップクラスの低い熱伝導率を誇ります。
外断熱の効果: 構造体である鉄骨やALCパネルの外側を断熱材で包み込むことで、室内の温度環境を安定させます。
結露抑制: 建物を外側からすっぽり覆うことで、壁内や屋根裏での結露発生を抑制し、カビやダニの発生を防ぐとともに、建物の耐久性向上に寄与します。
難燃性: 炎に当たっても炭化し、有毒ガスが発生しにくい性質を持っており、耐火性に優れたALCパネルとの相乗効果で安全性を高めています。
4. 徹底解説:へーベルハウスの防水材(シート防水)

陸屋根構造において、雨水の浸入を確実にブロックするのが防水材です。
へーベルハウスでは、標準的に**「塩ビシート防水」**が採用されています。
高分子系塩ビシート防水の特徴
へーベルハウス独自の「高分子系防水シート」は、一般的な防水材と比較して高い強度と耐久性を備えています。
30年の高耐久: 紫外線や温度変化による伸縮に強く、長期間柔軟性を保ちます。
熱溶着による一体化: シート同士の接合部を熱風や専用溶剤で溶かして一体化(熱溶着)させるため、継ぎ目のない強固な防水層を形成します。
追従性: 地震による建物の揺れや熱膨張によるわずかな動きにも柔軟に追従し、ひび割れや破断が起こりにくい特性があります。
通気緩衝工法の仕組みと重要性
特に改修時や高度な仕様で推奨されるのが、通気緩衝工法です。
これは下地(ALC)と防水シートの間に通気層を設ける工法です。
膨れ(フクレ)の防止: ALCパネル内部に残っている湿気や、夏の熱で発生する水蒸気が、防水シートを押し上げて膨らませる「フクレ現象」を、通気層を通じて逃がすことで防止します。
脱気筒(装置)の役割: 集まった水蒸気は、屋上に設置された「脱気筒」から外部へ排出されます。これにより、防水層の剥離や劣化を抑え、安定した品質を保ちます。
機械固定工法の技術
防水シートの固定には、機械固定工法が用いられることがあります。
IHディスクの活用: 下地に固定した「IHディスク」を誘導加熱装置で加熱し、上から被せた塩ビシートと接合させる技術があります。
これにより、下地の状態に左右されず、風圧に対しても高い耐久性を示す固定が可能となります。
5. 勾配屋根の選択肢:屋根材と下葺材
へーベルハウスでは、陸屋根以外にも切妻や寄棟などの勾配屋根を選択することができます。
30年耐久の屋根材「コロニアルグラッサ」
勾配屋根に使用される主要な屋根材は、コロニアルグラッサです。
高耐候性: 紫外線に強く色あせしにくい特性を持ち、30年程度の耐久性を有します。
デザイン性: 横一文字葺きで、和風からモダンまで多様な外観に調和します。
高性能下葺材(ルーフィング)
屋根材の下に敷かれ、最終的な止水を担うのが**ルーフィング(下葺材)**です。
改質アスファルトルーフィング: 一般的な住宅で使用されるルーフィングよりも強度の高い「改質アスファルトルーフィング」を採用しています。
止水性の確保: 釘穴周りの密着力が高く、経年変化による釘穴からの水浸入を防ぐ高い止水性能を備えています。
6. 排水システムと細部の防水処理
防水シート自体の性能に加え、雨水を滞留させずに排出する「排水設計」が陸屋根の寿命を左右します。
ドレン(排水口): 屋上にはドレンが適切に配置され、わずかな勾配を利用して雨水をスムーズに排出します。
ドレン周りは漏水リスクが高いため、特に入念な防水処理が施されます。
笠木(かさぎ)と立ち上がり: 屋上の端部(パラペット)にある笠木や、壁との接合部(立ち上がり)には、専用の金物(塩ビ鋼板など)やシーリング材を併用し、雨水の浸入を多重にブロックします。
改修用ドレン: メンテナンス時には、既存の排水口に差し込んで一体化させる「改修用ドレン」を用いることで、排水機能の信頼性を再構築します。
7. 太陽光パネル設置時の防水配慮
へーベルハウスのフラットルーフは太陽光パネルの設置に適していますが、防水層を保護するための特殊な工法が必要です。
防水アンカー工法: 防水層を適切に貫通処理しつつ、気密・防水を確保した上でアンカーを打つ工法です。
軽量で高強度な架台を確実に固定でき、メーカーの防水保証を守りやすいメリットがあります。
置き型(バラスト)工法: 防水層に穴を開けず、コンクリートの重りなどでパネルを固定する工法です。
防水層への直接的な損傷リスクは低いですが、屋根への総荷重が増加するため、ALCパネルの許容荷重を確認する必要があります。
まとめ:へーベルハウスの屋根を支える技術の集大成
旭化成へーベルハウスの屋根は、ALCパネル「へーベル」の堅牢さ、ネオマフォームによる高い断熱・結露防止性能、そして30年耐久の高分子系塩ビシート防水という3つの要素が組み合わさることで、過酷な自然環境から家を守り続けています。
特に陸屋根において避けられない「水蒸気による膨れ」の問題を、通気緩衝工法や独自のシート防水システムによって解決している点は、技術的な大きな特徴です。
これらの素材と工法が一体となることで、都市型住宅としての利便性と、世代を超えて住み続けるための高い耐久性を両立させています。













































