塗装前に行われている重要なクラック補修の内容
塗装前に行う重要な下地処理の中でも、必ずといっていいほど行われているのが、クラック(ひび割れ)補修です。
クラックとは外壁面にできるひび割れのことを指しており、経年劣化や振動などでも塗膜や外壁材などにクラックが生じることがあり、塗装前には必ず修復しなければなりません。
屋根や外壁の塗装でひび割れしている状態のまま塗装を行えば、割れ目から水分が入り込み、塗膜の品質にも影響します。
大きくて溝の深いクラックをそのままにしていると、雨漏りが発生する確率も高くなってしまいます。
このような理由から、クラック補修は塗装前に行うべきとても重要な下地処理作業として考えることができます。
今回は、クラック補修の内容について少し詳しく解説しています。
クラック(ひび割れ)補修の重要性について
屋根塗装や特に外壁塗装においては、塗装前の下地処理はとても重要な作業工程として捉えていいでしょう。
下地処理で行われている具体的な作業について順に並べてみると、高圧洗浄作業、ケレンや清掃、クラック(ひび割れ)補修、シーリングの打ち付け、樹脂モルタルなどを使った穴埋め作業といった作業が必ず実施されています。
もちろん、下地処理にも順番がありますので作業工程を間違えないようにし、古くなった外壁ほどひび割れ・クラックが発生していますので、作業内容もクラックの程度に応じた適切な補修作業が行われています。
小さなクラックであっても、見逃したまま塗装してしまえば、後工程となる塗装作業で塗料を塗布しても塗膜がうまく作れない場合もあるからです。
クラック補修を行った後に塗る塗料は、使用できない外壁材もありますが、ゴムのように伸びる性質を持ち柔軟性の高い弾性塗料を使うと、ひび割れの再発を予防できます。
主なクラックの種類とその影響
外壁できるクラックを例にとると、大きく分けて2つの種類があると言われています。
2つのクラックは、ひび割れの大きさによって分類できます。
それらは、表面に発生する小さな「ヘアークラック」とひび割れが大きくて外壁の内部にまで達している溝の深い「構造クラック」です。
ヘアークラックは、まるで髪の毛のようなひび割れで、あまり目立たないので細長いのでよく観察しないとわからないことがあります。
ヘアークラックは、大きさも0.2ミリ以下になっていて、見逃してしまってもすぐに建物に大きな影響を与えることはないでしょう。
外壁表面をよく観察してみないとわかりにくいような小さなクラックですが、経年劣化すると必然的に発生するようなクラックとして知られ、塗装した塗膜ではよく見かけます。
ヘアークラックは、塗料や外壁材が乾燥収縮を繰り返すために発生することから、古くなると数も増えていきますので、目立つようなら補修や再塗装を検討してください。
一方の構造クラックの場合は、大きさが0.3ミリ以上、深さも5ミリ以上あるため、遠くからでも目立つような深刻な状態のクラックです。
傷が外壁材にまで届いている可能性が高く、ひび割れた部分から雨水が浸入して外壁の内部に湿気が溜まるなどの悪い影響を与えます。
構造クラックは、塗装そのものが問題なのではなく、建物の構造や基礎、地盤などが問題となっていることが多いので、原因をはっきりさせてから、完全に補修するようにしましょう。
構造クラックが発生するさまざまな原因といえば、例えば、地震の発生、強風や車の通行による揺れ、地盤沈下、基礎の劣化、補強不足などのさまざまな深刻な原因によって、建物の躯体が大きく傾いてしまっている恐れもあります。
構造クラックの拡大して壁の状態がひどい場合は、外壁の補修だけではクラックや雨漏りなどが解決できないことがあります。
そのまま放置すると、クラックが拡大していき、モルタルやコンクリートの表面が剥がれ出し、構造体の腐食などへと被害が発展していきますので、早期にクラックの補修を検討してください。
塗装前に行われているクラックの補修方法
クラック補修は、単独でも行われることがありますが、外壁塗装前などの塗装工事の前にも必ず行われています。
本格的なクラックの補修は、原因や症状別に行われていますが、実際に施工することがなくてもいろいろな方法があることを知っておきましょう。
単純に穴を埋めるだけの修理ではないため、作業に不慣れな方はDIY補修などは避け、できる限り専門業者や職人に任せるようにしてください。
クラックの補修でよく実施されている工法としては、シール工法、Uカットシール材充填工法、低圧注入工法などが行われています。
小さなひび割れに対しては、シール工法で対応しています。
この工法では、表面のひび割れをシーリング材や微弾性フィラーと呼ばれる材料で埋めて補修しています。
溝が深く幅の広い大きなひび割れに対しては、Uカット(U字やV字)シール材充填工法が主流です。
この工法では、シーリング材がしっかりと定着し補修しやすいように外壁にU字やV時などの溝を掘った後、内部にシーリング材を充填して外壁を元の状態に戻して補修を完了させます。
また、耐力壁といった構造上重要となる壁のひび割れを補修する場合にも有効で、エポキシ樹脂を注入した後、しっかりと密着させて補修を完了させています。
AKIHIKO ICHIKAWA