「ベランダの床の塗料がはがれている」「ひび割れから雨水入りそうだ」ご自宅のベランダの状態に不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか?万が一雨漏りが起きてしまうと内部が腐り、大掛かりな工事で思わぬ出費につながることもあります。今回は戸建て住宅のベランダ防水工事についてご紹介します。
現在のベランダ防水工事の種類
一般的な戸建て住宅では、新築時に下記3種類で施工されていることが多いです。
・FRP防水
・塩ビシート防水
・アスファルト防水
それぞれの防水工事の特徴
FRP防水の特徴
最近の新築では、このFRP防水が大半を占めます。繊維強化プラスチック(FRP)を使った防水工事で、浴槽なんかもFRPが使われています。耐久性が高く、防水性、耐熱性にも優れています。
FRP防水の耐久性とメンテナンス
新築からの耐久年数は10~15年程度です。10年毎に表面のトップコートを塗りなおし、素材(FRP)を保護するのが一般的なメンテナンス方法です。点検の際に状態を確認し、FRPが劣化しているのか、保護しているトップコートだけが劣化しているかの見極めが必要になります。FRP自体の劣化が進んでいる場合は、再度上からFRP防水の施工を行います。
メンテナンスの費用
・トップコートの施工は約3~5万円
・FRPの再施工では約10~15万円
塩ビシート防水の特徴
塩ビシート防水は、塩化ビニル樹脂で作られたシートを接着剤で貼り付ける工法です。施工性がよく複雑な形状の場所でもシート同士を熱風で溶かして一体化させることができます。シート自体が着色されており、保護塗装が不要なことも特徴です。
塩ビシートの耐久性とメンテナンス
塩ビシート防水の耐久性は、15~20年程度です。基本的にはメンテナンスをせずに、寿命が来たら貼り直すのが一般的でした。最近では、塩ビシート用の保護塗料も開発され、塗装して延命することも可能です。10年毎に点検し、古くなったシーリングの打ち直しと保護塗装がおすすめのメンテナンス方法です。
メンテナンス費用
・トップコートの施工は約3~5万円
・塩ビシートの張り替え約10~15万円
アスファルト防水の特徴
防水工事用アスファルトとルーフィング(アスファルトを含浸させた紙や布をシート状に加工したもの)を現場で張り重ねた防水です。熱くなると柔らかくなり、冷えると硬くなる性質で、下地コンクリートのひび割れにも追従するなどの特徴があります。住宅では、防水層の上に押えのコンクリートやモルタルを打設する「保護工法」がよく採用されています。
アスファルト防水の耐久性とメンテナンス
アスファルト防水の耐久性は、露出工法で13年、保護工法で17年程度です。表面がモルタルやコンクリートの保護工法では、ウレタン通気緩衝工法などで現状の上から新たな防水層を作るのが一般的なメンテナンス方法です。
メンテナンス費用
・簡易的な保護塗装 約3~5万円
・ウレタン通気緩衝工法 約10~15万円
ベランダは常に紫外線や雨水にさらされています。劣化を放置して雨漏りが起きてしまうと家の寿命を縮めてしまいます。1年に1度はご自身の目でチェックして、異常に気付いたら早めにメンテナンスをおこなうようにしましょう。
AKIHIKO ICHIKAWA