マンションなどの集合住宅でも塗装工事は頻繁に行われています。大規模修繕工事は、計画して行われる工事ですが、そこでも塗装工事は重要な工事内容の一つとして入っていることがほとんどです。大規模修繕工事で行われる塗装工事にはどのような意味があるのでしょうか?
建物保護と美観目的で実施する外壁塗装工事
建物は、コンクリート造りの建物であっても、経年劣化し次第に古くなっていきます。塗装の塗膜も次第に色あせ、変色し汚れがついていきます。
塗装工事は、美観の向上が主な目的で行われるだけと思われがちですが、それよりもコンクリートの中性化を予防し、鉄筋の腐食なども防ぐために行われるといってもいいでしょう。
建物の躯体を守り、コンクリート造りの建物を長期間維持するためには、屋根や外壁の塗装工事がとても重要なものとなっています。
10~12年周期で行う大規模修繕工事
外壁塗膜も10~15年で劣化し、艶がなくなり、色あせしていきます。それ以上の年月が経過すると、ひび割れや塗膜の剥がれ症状が起きます。大規模修繕工事で塗装工事がポイントとなる理由は、塗膜の経年劣化に合わせる形で実施されているからです。
マンションンなどの規模の大きな建物は、遠くからでもその存在を確認することができます。目立つので建物をいつもきれいにしていなければ、資産価値も下落してしまうでしょう。塗装により、美観を向上させることが一つの目的です。
そして、塗装の塗膜には建物を保護する働きがあります。コンクリートの中性化を防ぎ、鉄筋の腐食を予防します。コンクリートは水分に弱く、塗膜のひび割れ箇所や塗膜が剥がれた箇所から簡単に雨水が浸入してコンクリート内部を劣化させてしまいます。
内側から腐食するとコンクリートは脆いので、必ず塗装により建物を保護しなければならないわけです。
耐用年数の長いシリコン系やフッ素系の塗料
塗料の性能を長持ちさせるには、耐用年数が15年近くあるシリコン系以上のグレードの塗料をおすすめします。塗り替えサイクルが短いと、次回の大規模修繕工事と合わなくなってしまいます。
コストパフォーマンスを重視するなら、シリコン系塗料です。1平米あたりの単価は、2200~3000円です。
また、耐汚染性が高く、防カビ・防藻効果の高いフッ素系塗料は、耐用年数が15~20年もあり、機能性や耐久性の高さも評価して、高価なフッ素塗料が選ばれることがあります。
フッ素塗料の1平米あたり単価は3600~4600円です。大規模修繕工事に合わせて工事を行う場合は、計画的に実施する必要がありますが、機能性なども重視するならフッ素系も選択肢に入ることになるでしょう。
AKIHIKO ICHIKAWA