外壁塗装では、「吹き付け塗装」と呼ばれる工法があります。さまざまな塗装工法がありますが、用途に応じて上手く使い分ける必要があります。ここでは、吹き付け塗装について知っておくべきことをご紹介します。
モルタル外壁には吹き付け塗装が向いている
吹き付け塗装は、スプレーガンを使用し、霧状の塗料を壁面に吹き付けながら塗装を行う工法です。スプレーガンで一気に霧状の塗料を噴射して吹き付けていきますので、施工時間が早いというメリットがあります。モルタル外壁の吹き付け塗装では、エアスプレーやエアレススプレーを使用します。
エアスプレーのほうが、微調整が可能で塗装面の仕上りが美しくきれいです。塗膜が薄くなりますが、上手に調整できれば、石材やタイルの模様、スタッコやリシンなどの繊細な仕上げにおいて職人の実力が発揮できます。塗料の飛散量は、エアスプレーのほうが多くなりますので、飛散防止ネットや養生をしっかりと行う必要があります。吹き付け塗装以外では、ローラー塗装や刷毛などによる塗装が行われます。
吹き付け塗装のメリット・デメリット
・メリット
スプレーガンによる塗料の噴射により、短時間での施工が可能です。面積が広い工場や倉庫の外壁で活躍します。人件費も節約でき、コストも比較的安くなります。複雑な模様やダイナミックなデザインを表現したい場合は、スプレーガンを使用してください。丁寧に養生すれば、狭い場所での施工も可能です。
・デメリット
塗料の飛散が多く、無駄に使用する塗料の量が増えます。3割程度の無駄が出てしまうことを覚悟しておきましょう。養生も広い範囲で行い、強風時は作業を中断したほうがいいでしょう。エアスプレーのコンプレッサーの騒音がうるさいので、近隣からクレームをもらうことがあります。
吹き付け塗装でできる仕上げ方法
吹き付け塗装では、リシン仕上げ、スタッコ仕上げ、吹き付けタイル仕上げなどの職人の高い技術力が要求される仕上げが可能です。
・リシン仕上げ
モルタルで採用されている一般的な仕上げ工法です。塗膜は薄く、施工時間が短いので低コストで施工できます。砂壁状の骨材を混合した塗料をリシンガンで吹き付けて塗装します。
・スタッコ仕上げ
厚みがあり、意匠性の高い仕上りを希望されるなら、スタッコ仕上げです。モルタルを塗った後、セメント・骨材・塗料を混ぜた仕上げ材を吹き付けていきます。厚みのある仕上げが人気です。そのままの状態で仕上げる場合もありますが、ローラーで押さえる仕上げ方法もあります。
・吹き付けタイル仕上げ
下地調整材や仕上げ材を使って吹き付け、4~5工程の複層仕上げによりタイル状に仕上げます。玉状の模様ができますので、厚みのある塗膜が大きな特徴です。ひび割れやクラックに強く、耐久性も高めです。塗装工程が多いので、塗膜の仕上り具合は職人の技術力に大きく左右されるでしょう。
AKIHIKO ICHIKAWA