外壁の塗装工程前でも重要な下地調整材とは?
外壁塗装では、塗装する前の下地調整はもちろん、下地調整としての意味合いの強い塗装時の「下塗り」工程も重視しています。塗装工程の基本は、下塗り、中塗り、上塗りの三度塗りですが、下塗り工程で使われている「下地調整材」は、外壁塗装の塗料の密着度を高め、耐久性をアップさせる大切な働きがあります。
今回は、下塗り工程の役割や下地調整材の種類について少し詳しく解説しています。
塗装の下塗り工程の役割
外壁塗装の塗装工程といえば、下塗り、中塗り、上塗りの三度塗りが基本で、この基本を守っていないと塗料の性能や十分に発揮できない場合があります。塗料や下地の種類によっては、三度以上塗り重ねることがあります。
例えば、五度塗りなどもグレードの高い塗料で塗装する場合は、メーカーでも指定がありますので、やりすぎや特別なことではありません。最初の下塗り工程では、塗装面の密着性を高める目的を持つシーラーやプライマーと呼ばれる「下地調整材」を主に使っています。
塗膜の密着性とは、いわば「つなぎ」のようなもので、密着性が弱いと塗装面がきれいな状態であってもすぐに塗膜が剥がれ落ちてしまいます。
下塗り工程で手を抜くと、塗料の塗膜の耐久性が低くなってしまいトラブルが起こりやすくなるので、下地調整材の性能や使い方がとても重要になっていきます。こうした意味では、下塗りとは、下地調整の一種と考えてもいいでしょう。
下地調整で壁面を清掃し、クラック補修やシーリング材の再充填を実施した後に、丁寧な下塗り作業が行われています。下塗り用塗料は、外壁の材質、上塗り塗料との相性などを総合的にみて、シーラー、フィラー、プライマーなどを上手く使い分けています。
下地調整材として使われている下塗り塗料の種類
下塗り塗料をチェックする際には、見積書に記載の塗料名を確認し、上塗り塗料との最適な組み合わせなのかどうかを確認してください。塗料や製品に関する情報は、企業のサイトでも公開されていますので確認してみましょう。
また、気になる方は使用する下塗り塗料を選んだ理由も担当者に遠慮なく聞き、疑問を解消しておきましょう。
シーラー
クラック(ひび割れ)が少ない外壁に対する下塗り工程では、シーラーと呼ばれる下地強化剤が使われています。シーラーを使うと、上塗り塗料が下地に吸収されにくくなり、安定しますので後工程の塗料が塗りやすくなり、塗装後の不具合も減ります。
シーラーには、下記のような種類がありますので、参考情報としてご紹介しておきます。合成樹脂エマルション型シーラー(環境にやさしい水性のシーラーで最も普及しています。)
熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー(油性シーラー、水性よりも密着性が高く耐久性もあります。)
溶剤型熱硬化性合成樹脂シーラー(下地補強に使われるシーラーで、高い浸透性があります。)
これらのシーラーは、塗装面と上塗り塗料の相性や組み合わせを考えて、プロの職人がその都度最適なものを選びます。
他にも「浸透性シーラー」があります。浸透性シーラーは、通常のシーラーでは外壁への塗料の吸い込みが激しく塗料が定着しない場合に使用されています。
バインダー
バインダーは、吸い込みが発生しない下地に対して、上塗り塗料を定着させるために使用します。塗料が吸い込みする下地が多いので、バインダーではなく他の下地調整材を使っています。
プライマー
プライマーもシーラーとよく似た役割です。しかし、プライマーの場合は、鉄やステンレス、アルミなどの金属部分用に適しており、上塗り塗料の付着性を高めています。
フィラー
外壁にヘアークラックなどの小さなひび割れが多く、上塗り塗装に影響する場合は、フィラーを下塗りして塗装面を平らにしています。小さなひび割れ(ヘアークラック)が起こりやすいモルタルの外壁では、下地材としてフィラーが最適です。
他にも、密着性を高めるシーラーとフィラーの両方の効果を併せ持つ「微弾性フィラー」や「カチオンフィラー」などがあります。
サーフェイサー
サーフェイサーは、下塗りを微調整する働きがあり、下塗り工程の次の「中塗り」工程で使用されています。
AKIHIKO ICHIKAWA