塗装前の下地処理でプロが重視する高圧洗浄のポイント
屋根塗装や外壁塗装を塗装業者に依頼するときに、誰でも見積書を確認するとは思いますが、洗浄作業についてはあまり気に留めない方が多いようです。しかし、「高圧洗浄」作業は、見積書や作業スケジュールにも必ず記載されており、下地処理では大変重要な項目になっています。
今回は、塗装前に必ず行われる高圧洗浄について、その必要性やよくある注意点について解説していきます。
高圧洗浄の必要性を知ろう
高圧洗浄で使われる高圧洗浄機は家庭用ではなく業務用です。業務用の高圧洗浄機は、耐久性も出力も家庭用よりも高いものが多く、塗装業者でも壊れにくく、作業の効率が上がるものを使用しています。
しかし、機械を使って洗浄作業を行っていますが、短時間で作業を行い、手を抜いて楽をしているわけではありません。塗装前の塗装面の洗浄作業は当然行うものであって、塗装面をキレイにすると、塗料のつきもよくなるからです。
古い塗料や汚れが残ったままですと、上から新しい塗料で塗装しても塗料がうまく付着できないことがあります。新しい塗料での塗装後も性能や耐久性が十分に発揮できないため、短期間が塗料が剥がれてしまう恐れがあります。
高圧洗浄作業は、下地調整の中でも丁寧に行われている作業です。汚れはもちろんのこと、カビや苔などもしっかり洗い落とす必要があり、高圧洗浄作業と併用してバイオ洗浄が行うとあらゆる汚れや付着物を落とすことができ、塗装品質の向上につながります。
このように塗装の下地調整で行われている洗浄作業は重要で、屋根や外壁の素材や状態によって、水による高圧洗浄や薬剤によるバイオ洗浄などを使い分けなければならないということです。
洗浄後の後処理にも注意を払っています!
高圧洗浄機は、150~200kgf/cm2程度の高圧力の水で屋根や外壁の表面を洗浄していきます。高圧洗浄機から出る水を直接手で触ると、手や指が吹き飛んでしまいケガをする恐れがありますので、水道水を使う場合であっても取り扱いには注意を要します。
水をかけてゴシゴシとブラシで洗う方法では時間もかかってなかなか落とせない汚れもありますが、高圧洗浄機を使って強力な圧力で表面に付着した埃や汚れを粉砕除去するような洗浄方法は、汚れを徹底的に除去できるというメリットがあります。
また、洗浄後の後処理についても重要なポイントがあります。
作業後は、十分に表面を乾燥させてください。塗装作業を開始する前の塗装面は、塗れているとNGとなってしまいます。塗装する表面を十分に乾燥させることにことにより、塗装の剥がれや密着度を高め、長寿命の塗装面に仕上げることができます。
その他、脱脂作業を行う場合があります。この作業は、塗料用シンナーや中性洗剤を用いて、外壁の表面を磨き、塗料を弾いてしまう油分を除去する作業のことです。
高圧洗浄作業時のポイント
屋根や外壁の塗装前の下地処理にも一連の流れがあり、一般的には最初にケレン作業を行い、次に高圧洗浄、その後、クラック補修といった形で下地補修が実施されています。
高圧洗浄は、下地処理の中ほどで行われる作業ですが、塗装品質にも大きな影響を与える重要な作業工程です。
屋根や外壁の塗装面を洗浄していくときには、上から下へと汚れを落としていくと、後から汚水で汚すことがありません。逆にすると、せっかく洗浄した下の部分をまた汚してしまうことがありますので注意しなければなりません。
高圧洗浄作業は、半日以上の時間をかけて作業を行います。さらに洗浄後は、十分な乾燥時間が必要です。最低でも24時間以上は必要で、冬場や一時的に雨が降った時など、気候条件によっては48時間の乾燥時間を取ることがあります。
雨の日でも高圧洗浄を行うことがありますが、塗料の飛散トラブルを避けるためにも、飛散防止シートなどでしっかりとお住まいの周囲を養生することが重要です。トラブル防止のため、ご近所の方にも高圧洗浄作業時には洗濯物を外に干さないように、事前の近隣へのご挨拶やご連絡を徹底しておきましょう。
AKIHIKO ICHIKAWA