ラジカル塗料の優れた性能とは?今までの塗料との違いを解説
ラジカル塗料の名前を聞くことが増えています。言葉だけではわかりにくい新しい塗料は、悪徳業者の営業に使われてしまうことがありますので、塗料選びでは、その性能や塗料の効果などをしっかりと理解したうえで選ぶようにしましょう。
ラジカルを制御するラジカル塗料!
ラジカル塗料には、酸化チタンが配合されています。この酸化チタンの働きが、ラジカルを制御するもので、その効果といえば、耐候性の向上になります。そして、ラジカルとは、樹脂や顔料などの有機物を劣化させるエネルギーといったものです。
太陽光の紫外線は、顔料である酸化チタンに当たると、ラジカルを発生させ、そのラジカルが各種塗料に含まれる樹脂や有機顔料を劣化させてしまうのです。
例えば、チョーキング現象は、ラジカル発生による塗膜の劣化症状の一つと考えられます。ラジカル塗料は、ラジカルを抑制・制御できる酸化チタンを開発して使用しており、従来の酸化チタンよりも塗料の耐候性を高めることに成功しました。
ラジカル塗料の優れた点とは?
ラジカル塗料は、樹脂の劣化現象を防いでくれます。例えば、チョーキング現象などによる白い粉が外壁面に付着するのを防ぎます。「耐候性が高い」とも言えますが、ラジカル塗料は塗膜は、従来の塗料よりも長寿命になります。
同じシリコン塗料であっても、ラジカル制御型のシリコン塗料になると、耐久年数・寿命は3年ほど延びます。塗り替えにかかる費用に関しては、シリコン塗料よりも高くなり、フッ素塗料などと同じ価格帯となります。
また、酸化チタンは白色顔料ですので、調色をするときでも、濃色を作ることが難しくなります。このように、ラジカル塗料は、淡彩色から中彩色の色を使うときに、ラジカル制御の効果が最も期待できると考えておきましょう。
樹脂がベースとなるラジカル塗料
ラジカル塗料は、グレードでいえば、シリコン塗料とフッ素塗料の中間に位置するグレードとして分類されていますが、その理由は、主にシリコン樹脂がベースになっているラジカル塗料が多いからです。
しかし、日本ペイントの「パーフェクトトップアクリル」は、アクリル樹脂をベースにしたラジカル塗料です。シリコン塗料よりも施工単価は上がりますが、低汚染性、防カビ・防藻性などに優れており、フッ素塗料や無機塗料などの高額な高機能塗料を使うよりも、コストを抑えられます。
多くの性能を求めるコスパ重視の方なら、シリコン樹脂ベースのラジカル塗料がおすすめです。
ラジカル塗料は、2012年頃より登場し、大手企業が販売を開始していますが、まだ知名度がなく、採用実績が少ないのがデメリットになるのかもしれません。日本ペイント以外では、エスケー化研、関西ペイント、菊水化学工業、ロックペイントなども数年前に各社オリジナルのラジカル塗料の販売を開始しています。
AKIHIKO ICHIKAWA