ガルバリウム鋼板製の外壁材って大丈夫?メリットやデメリットの解説
ガルバリウム鋼板といえば、軽量の金属製の屋根材として業界ではもちろん、一般にもある程度の知名度が出てきています。
そして、屋根材以外にも外壁材として使用するケースもあるため、用途が広くて耐久性も十分に持ち合わせた素材として注目されています。
ここでは、ガルバリウム鋼板を外壁材として使用する場合のメリットやデメリットについて解説し、検討の際の参考材料にしていただけるようにしました。
外壁材として使うガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、耐久性の高いアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板のことです。日本ではなくアメリカで開発されて普及した後、日本にも導入され、すでに多数の採用実績数があります。
日本では、「ガルバ」と短く省略して呼ぶことがあります。ガルバリウム鋼板は金属製の鋼板ですが、トタンなどの素材と大きく異なる点は、亜鉛や錆びに強いアルミニウムを使用している点です。
亜鉛メッキ鋼板(トタン)と合金すれば、防錆性が通常の4倍も高まります。ガルバリウム鋼板なら錆びにくくなりますので、適切なメンテナンスを実施すれば耐久年数が25年程度にまで延びます。
しかし、ノーメンテナンスであったり、半永久的に使えたりするわけではありません。表面の保護や耐久性を高めるために塗り替えメンテナンスが必要ですが、15~20年に一回の頻度で済むため、一度施工した後はそれほど手間がかからないでしょう。
ガルバリウム鋼板は、錆びに強いだけではなく、防水性も高く、通常使用する限りでは雨漏りしにくい素材です。ガルバリウム鋼板の独特の質感が好まれる方が多く、外壁材として使うと、シャープでモダンな印象になり、注文住宅などのおしゃれな建物によく似合います。
ガルバリウム鋼板のメリット
一番のメリットは、金属製にも関わらず「錆びにくい」という点です。これは亜鉛の犠牲防食作用が、下地になっている鉄の酸化を防いでいるからです。
しかし、酸性雨の多い地域やもらい錆びなどで、気づかないうちに錆びが発生していることがありますので、定期点検はしっかり行いましょう。
次のメリットは、耐久年数の長さです。
適切な塗装メンテナンスを行うと、20~30年程度は使用できるため、金属製の外壁材の中では高寿命の部類に入ります。
また、トタンと同様に軽量の外壁材ですので、建物躯体にも負担をかけませんし、耐震性が向上するため、重ね張りにも対応しています。
屋根材と外壁材に重量のある素材を使っていた場合は、全てをガルバリウム鋼板素材に変更するだけで、大幅に軽量化され耐震性が向上します。
ガルバリウム鋼板を使うと、多くのケースでは地震に強くなるため、耐震性リフォームとしても多数の施工実績があります。
ガルバリウム鋼板のデメリット
最大のデメリットといえば、初期施工コストが通常よりも高額であることです。しかし、ガルバリウム鋼板素材も年々改良が加えられ、施工コストや素材の単価も下がっています。
長寿命であることを考えると、初期施工コストが高くても気にする必要はなく、コスパに見合った選択になるでしょう。
また、メンテナンスフリーではなく、施工後15~20年経過後に塗装メンテナンスを行い、一定の耐久性をキープすればもっと長持ちします。
注意点としては、ガルバリウム鋼板は、金属の薄い板ですので、そのまま施工すると断熱性能が低い状態です。
このようなデメリットを補うために、最初から断熱構造を持つ住宅ではない場合は、断熱施工を必要とします。
各種必要な断熱施工を同時に行うと、ガルバリウム鋼板外壁材の施工コストが高くなることがあります。
ガルバリウム鋼板の外観に関しては、金属の独特の特徴を持つため好き嫌いが分かれることがあります。
金属製の外壁材は、悪く言えば、安っぽく、工場や倉庫の外壁のようなイメージを持つ方がいます。
あくまでも個々人の主観的な問題ではありますが、金属製のガルバリウム鋼板は、木の温もりを求める方には、敬遠される外壁材です。
ガルバリウム鋼板外壁の施工やメンテナンスについての注意点
ガルバリウム鋼板は、錆びにくい外壁材ですが、日々のメンテナンスも必要です。大雨の後や台風の通過後などには、外壁についた汚れを落としたほうがいいでしょう。
ガルバリウム鋼板の場合は水洗いしても大丈夫です。特に、海や湿気の多い地域や酸性雨の多い地域では、数か月に一度は水洗いを実施してください。水洗いの際には、高圧洗浄機を使用する必要はありません。
ガルバリウム鋼板は、他の素材とは異なる特徴を持ち、丈夫な素材ですがデリケートな部分もありますので慎重に取り扱ってください。表面に傷がついたり、他の金属が触れたりすると錆びが発生しやすくなるからです。
塗装に関しては、ガルバリウム鋼板外壁材についての知識や塗装実績のある塗装業者に相談してください。
ガルバリウム鋼板外壁材に塗料を接着させることは通常の塗装とは異なるので、プロ以外の方がDIYで塗装して失敗すると塗膜がすぐに剥がれてしまうことがあるからです。
AKIHIKO ICHIKAWA