低価格の「アクリル塗料」はデメリットも!でも最新の技術はスゴイ!
外壁塗装に使われる「アクリル塗料」は、ウレタン系やシリコン系の塗料に比べると耐久年数が短いことから低価格でグレードの低い塗料として認識されています。
しかし、歴史のある塗料で使用実績も豊富です。最新では、デメリットを解消した「アクリルシリコン塗料」も登場していますので、簡単に候補から外すことのないようにしましょう。
アクリル塗料のメリットを再確認
アクリル塗料は、低いグレードとして認識されていますが、性能が悪いわけではなく、正しい使い方をすれば、間違いなくよい塗料として考えることができます。
すでに30年以上の使用実績があることから、価格も安くなっており、塗料の種類が豊富で1液型の使いやすい塗料タイプが多くなっています。1液型の塗料とは、混合の手間が不要で、余ってもまた使える塗料で、無駄がなく初心者でも取り扱いやすくなっています。
シリコン系に勝るメリットとしては、ツヤや発色の良さがあります。鮮やかな色合いをお求めの方には、アクリル塗料がいいということで選ばれることが多くなります。
付着力の高さにより、重ね塗りとなる塗り替え作業も短期間で済み、塗装作業期間が短くなり工期が短縮できます。アクリル塗料は、シリコン系塗料の7割程度の価格で塗装工事が可能ですが、耐久年数は5~7年と短いので、塗り替えを頻繁に行う予定のある方なら、間違いなくアクリル塗料をおすすめします。
アクリル塗料は使い方に工夫が必要
寿命は5~7年程度と大変短いアクリル塗料ですが、その理由はラジカルが発生し酸化還元反応が起こり劣化しやすくなっているからです。重ね塗りには向いていますが、塗装前に劣化した塗膜はきちんと取り除き、下地をきれいに整える必要があるでしょう。
弾性が低く、塗膜が固いのでひび割れが生じやすい塗料です。アクリル塗料の塗膜の浸透性の高さから、湿気を建物内部に取り込みやすくなっており、湿気が多い地域にお住まいの場合は、使用しないほうがいいかもしれません。
こうした理由から、アクリル塗料は内部塗装に使われることが増えており、内壁、家具、建具などの塗装用に使用されることがあります。
アクリル塗料で塗装した場合の費用の目安
一般的な2階建てで30坪の戸建て住宅、塗装面積約130平米の場合、アクリル塗料の塗装費用は、総額60万円程度かかります。塗装単価は、1平米あたり1400~1600円です。同条件でシリコン塗料で塗装すると、90万円程度の塗装費用がかかります。塗膜の寿命の差が大きく、2~3倍の違いがありますので、耐久性だけを見るとシリコン塗料のほうが圧倒的にコスパに優れています。
進化したアクリル塗料のご紹介
アクリル塗料が進化し、アクリルのデメリットを解消した塗料が登場しています。例えば、アクリルシリコン塗料やピュアアクリル塗料です。
・アクリルシリコン塗料
この塗料は、フッ素樹脂塗料の機能や耐久性と同等で、施工しやすく公共建築物にも採用されています。下地にも密着しやすく、光沢も長期間保持します。耐水性、耐汚性、耐油性、耐薬品性などに優れ、耐久性の高さはもちろん、美しい塗膜を維持することができます。
・ピュアアクリル塗料
アクリルの低い耐候性を改善し、15年以上の耐候性・耐久性を持っています。ピュアアクリル塗料とは、不純物を徹底して排除し、透明度を高くした塗料です。伸縮率は600%、樹脂が大きいので紫外線に強く、さらに有機ガラス成分を配合し、耐候性を高めています。
AKIHIKO ICHIKAWA