リシン吹き付けにはどんなデメリットがある?
モルタル外壁では、低価格で施工できる「リシン仕上げ」を採用することが多くなりますが、ざらざらした凹凸のある外壁面は独特の落ち着いた印象を与えてくれるでしょう。
これまでの木造住宅の外壁ではモルタル仕上げが多かったので、定番のリシン仕上げがよく採用されてきました。
リシン仕上げの施工法には、吹き付けや掻き落としなどの工法があります。
昔のリシン仕上げにはデメリットがあったようですが、現在ではかなり改良されていますので、積極的に利用しても問題ないでしょう。
リシン吹き付けの特徴
モルタル外壁に多い「リシン仕上げ」は、「掻き落とし工法」よりも「吹き付け工法」のほうが施工しやすく安価な施工法になります。
リシン吹き付けの施工が簡単な理由は、「リシンガン」と呼ばれるコンプレッサーを上手に使えれば、下地への吹き付け作業が短時間で済み、専門的な知識や技術が一定以上あれば同じような高い品質の施工が可能だからです。
リシンガンを使って通常の施工を行う限りでは、職人による技術的な差はそれほど生まれないでしょう。
リシンガンに取り付けられているコンプレッサーを使うと作業の遅れも少なく短時間で終了しますので、人件費もそれほどかかりません。
一方の掻き落とし工法では、吹き付け作業を行った後に、さらにブラシなどで丁寧な掻き落としの作業が必要となりますので、作業時間が増えるうえに職人の高い技術力を要します。
また、リシン材は、モルタルや塗膜の上に施工されていますので、通気性や透湿性がよく、木造住宅なら外壁材の耐久性を高め寿命を延ばす効果があります。
モルタル外壁には仕上げにリシン吹き付けを行うと、凹凸がついて特徴ある外壁面になるだけではなく、通気性や透湿性を高め、耐久性アップにつながります。
今のリシン材には、アスベストを含んでいないため、昔よりも安全な材料となっているので安心してください。
昔のリシン吹き付け仕上げがデメリットが多いって本当?
よい面を見れば、全員が依頼したくなるようなリシン吹き付け仕上げですが、デメリットが多い、と言われているのはなぜでしょうか?
リシン吹き付け仕上げのデメリットの一つが、表面がざらざらしていて、凹凸が多いので、その間に小さな埃や水垢が溜まりやすくなっている点です。
つまり、時間がたつと汚れが付着し、堆積すると目立つようになります。
リシン吹き付け仕上げは、塗膜が薄いので、モルタルの収縮に追従できないために、たくさんのひび割れが発生してしまいます。
ひび割れが発生すると、防水性が失われ、外壁からの雨漏り被害が起こりやすいので外観が損なわれてしまいます。
こうしたデメリットの多さから、リシン吹き付け仕上げは耐久性が低いとされ、7~8年程度でも再施工メンテナンスが必要となります。
新しいリシン材は改良されている!
昔のリシン材は、コスト面の良さからモルタル外壁の仕上げにはよく採用されてきましたが、デメリットも多かったので敬遠されることもありました。
しかし、最近登場し採用機会が増えているリシン材には、大幅な改良が加えられ、デメリットが解消されています。
新しいリシン材は、クラックへの追従性を高めており、ひび割れしにくい加工が施されています。
加えて、防カビ効果、防藻性、低汚染性を高めた「弾性リシン」も登場し、多くの住宅の外壁で活用されています。
リシン吹き付け仕上げ施工後のメンテナンス
過去に施工されてきた多くのリシン材は、耐久年数が短いので、短いサイクルでひび割れ補修や塗装などの定期メンテナンスを必要とします。
メンテナンスでは、シーリング材充填によるひび割れ(クラック)補修や部分塗装や全体の塗装作業が実施されています。
汚れがひどいときは、高圧洗浄を行うことにより、汚れやすい外壁材であっても短時間できれいになります。
下塗り材には、下地に対応したシーラーを使用して、塗料の吸込みをできる限り抑える必要があります。
上塗り塗料には、ざらざらした塗装面に対して相性がよいつや消し塗料を選択することが多くなっています。
予算があり付加機能を求めるなら、弾性塗料、低汚染塗料、セルフクリーニング機能をもった塗料などがあります。
こうした高機能性の塗料を使うと、耐久性がアップし、寿命が延ばすことができます。お住まいの周辺環境や外壁の状態に応じて選ぶようにするといいでしょう。
AKIHIKO ICHIKAWA