塗装前の下地処理は丁寧な高圧洗浄がポイント
塗装工事の前に行う下地処理は、塗装以上に重要です。適切な下地処理がなければ、塗料の塗膜の性能が十分に発揮されずに、塗装後の塗膜の剥がれやトラブルを引き起こすことになるからです。ここでは、下地処理の工程でも重要な「高圧洗浄」について解説していきます。
下地処理の重要性と高圧洗浄
塗装前の下地処理は、地味な作業になりますが、塗装作業以上に重要です。塗膜の最後の仕上がりと塗膜の耐久性にも大きな影響を与えるため、手を抜くことはありません。
塗装前の塗装面には、錆びやカビ・苔、砂・ホコリ、シリコンや油分、昆虫の卵などが付着しています。他にもクラックや建材の剥がれ、既存のペンキの剥がれなどがあり、そのまま塗装すると、色ムラができたり、塗った直後からペンキが剥がれてしまったりします。
下地処理の方法には、高圧洗浄、ケレン作業、コーキングやセメント補修、パテ埋めなどの各種工程があり、下地の状態に応じた適切な下地処理が必要です。ここでは、一番最初に行う高圧洗浄についてご説明します。
高圧洗浄とは
高圧洗浄は、強力な水圧で外壁や屋根の表面の汚れや古い塗料を洗い落す作業です。ブラシでこするよりも強力な水圧の効果で汚れや苔、カビや藻などをしっかりと洗い落としていきます。
しつこい汚れやびっしりとこびりついたカビや苔に対しては、バイオ洗浄が行われています。高圧洗浄は、半日以上の時間をかけて丁寧に行われます。上から下へと汚れを落としていきます。
高圧洗浄後は、十分な乾燥時間が必要ですので、24~48時間程度の間隔を空けて、次の下地処理作業に進みます。高圧洗浄機の水圧は、150~200kgf/cm2です。
高圧洗浄を行うときには、専用の機械を使いますし、周囲や近隣のお住まいにまで水や汚れが飛散しないように、飛散防止シートによりしっかりと養生しなければなりません。
ベランダやバルコニーに洗濯物を干すと、汚れや臭いがついてしまうことがあります。塗装作業時と同様に高圧洗浄時には洗濯物を外に干さないほうがいいでしょう。
洗浄後の後処理も忘れずに
高水圧の高圧洗浄機を使うと塗装面の汚れやカビはすぐに落ちますが、作業後の乾燥はとても重要です。十分に乾燥させることで、塗装後の塗装の剥がれを防ぎ、塗料同士の密着度を高めます。
油分が多い場合は、高圧洗浄でも油分が落ちないことがあります。油分を除去するには、塗料用のシンナーや中性洗剤を使います。高圧洗浄作業とは別に、外壁の表面を磨いて、油分を除去する作業が加わります。
AKIHIKO ICHIKAWA