トタン屋根は、比較的よく見かける屋根です。垂木の棒が等間隔に並んだ「瓦棒」にもトタンが使われていますので、瓦棒と呼ばずにトタン屋根と呼ぶほうが一般的です。金属製のトタン屋根は、今でも選ばれることが多くなっています。そこで、トタンのメリットや特長について解説していきます。
トタン屋根は金属屋根
トタンは金属屋根の一種です。「亜鉛メッキ鋼板」ともいわれています。トタンは安価ですが、現在の屋根材の中では耐久性が低いとされています。トタンがあまり使われなくなった理由に、錆びに強く、耐久性が向上したガルバリウム鋼板が登場したことが挙げられています。
ガルバリウム鋼板とトタンの価格差もなくなってきていることもその原因の一つです。トタン屋根は、軽量であることから、葺き替えるだけで建物の耐震性を向上させることができます。
トタン屋根を選ぶ理由とは?メリットなど
トタン屋根は、低価格を武器に戦後に流行した金属屋根です。瓦屋根よりも重量が軽く、10分の1の重さです。軽量になるため、トタン屋根を使うと耐震性が向上します。垂木と板金により簡単に施工設置できることから、住宅密集地などでも短期間で施工可能です。
トタン屋根は、2寸勾配などの「緩勾配」で施工可能です。勾配が緩いので、屋根の上に登ることが簡単です。工事価格が安いことやバルコニー設置などの追加・オプション施工を実施しても工事が容易で価格もそれほど上がりません。他の屋根材からトタンに葺き替えるケースは減ってきていますが、施工価格は1平米あたり5~6千円程度ですので、価格も手頃です。
トタン屋根はメンテナンスや防水塗装がポイント
トタン屋根のデメリットは、耐用年数が10~15年と短いことです。金属屋根で錆びやすいことから、最も雨漏りが発生しやすい屋根だと言われています。トタン屋根を耐用年数を超えて使用したいということであれば、7~8年ごとに錆び止めと再塗装などの計画的なメンテナンスが必ず必要です。塗料も防水性が高いグレードの高い塗料を選んだほうが、防水効果が長持ちします。そのため、屋根設置後、葺き替え後のメンテナンスコストが高くつきます。
さらに金属屋根であることから、遮音性がよくないので、強い雨や雹などが降ってくると音がよく響いてしまいます。断熱性もないので、外気温が室内に伝わりやすく、業者は追加で断熱施工を行うよう薦められることが多くなります。断熱性や遮音性を向上させるために、断熱塗料を塗ったり、断熱ボード、アルミシート、遮音シートなどを用いることがあります。瓦棒の場合は、板金職人が現場で鋼板の加工を行う必要があり、職人の技術や経験がトタン屋根の品質に大きな影響を与えます。
AKIHIKO ICHIKAWA