出典:https://hirooka-kawara.work/works/
屋根瓦の瓦は、釉薬をかけて焼き上げた陶器製であるため、耐久性が高く50年近くはノーメンテナンスで利用可能です。しかし、20年程度で棟部や漆喰の剥がれや崩れが発生しますので、必ず補修が必要となります。
20~30年程度で経年劣化する棟部や漆喰
漆喰は、瓦屋根によく使用されている昔からある溶剤です。瓦と瓦の間にできた隙間を埋めるセメントのような役割を果たしています。漆喰は、白い色をしています。
漆喰は、瓦よりも劣化するスピードが早く、20~30年で漆喰の剥がれや崩れなどの目に見える劣化症状が見られるようになります。特に棟部の漆喰が剥がれると、奥にある土色の葺き土が露出し、崩れ出します。漆喰の剥がれは、雨水の浸入により雨漏りの原因にもなりますので補修が必要です。
漆喰の本当の役割とは?
漆喰の本当の役割は、屋根の上にある棟瓦とその下の桟瓦の間にある隙間を埋めるためのものです。漆喰のおかげで雨水の浸入を防ぎ、葺き土に雨水が当たるのを防いでいます。漆喰の内側には葺き土がありますが、防水性能は、棟の構造によるものです。棟部分に雨水が当たっても、きちんと流れるようになっており、漆喰を塗っているおかげで巻き込み水も予防できています。
漆喰は、瓦を固定する接着剤の役割を果たしていますが、葺き土の表面に薄く塗られているだけです。美観の観点から、漆喰が劣化し崩れてきたら、再度塗り直しを行い、漆喰を美しく見せます。
漆喰よりも問題のある棟部分
漆喰の剥がれは、美観がよくないことからすぐに補修工事をオススメする屋根工事業者も多いはずです。漆喰が崩れ、葺き土が露出しても、すぐには棟が崩れるわけではありません。防水シートが正常に機能していれば、雨漏りもしっかりと予防できます。
漆喰の塗り直しなどの補修をする前に、棟部のやり直しをオススメする場合があります。新しいガイドラインによる耐震棟工法は、耐震性と防水性を高めた工法です。同じ漆喰でも、葺き土と漆喰の二つの役割を担う南蛮漆喰を使用すると防水性も高まります。こうした棟のやり直し工事は、「棟の積み直し」「棟の取り直し」と呼ばれる工事になります。
屋根の漆喰の補修工事は、足場代を含めると40~70万円の費用がかかり高額です。その理由は、瓦屋根や漆喰の修理ができる経験豊富な職人が少なく、足場代の費用も含めると高額になるからです。できる限り費用を下げるアイデアの一つが、火災保険の利用です。火災保険についている風災補償は、自然災害による漆喰補修費用をカバーできる場合があります。
AKIHIKO ICHIKAWA