「ローラー塗装」と「刷毛塗り塗装」って何がどう違う?
外壁塗装の作業の現場でよく実施している塗装方法には3種類あって、それぞれが特徴ある塗装方法となっていますので、最も適切な塗装方法を選んで、現場でも上手に使い分けされています。
外壁などの住宅塗装では、ローラーを使ったローラー塗装、刷毛(はけ)を使った刷毛塗り塗装、塗料を霧状に噴射して塗りつけるスプレー塗りなどがメジャーな塗装方法として選ばれています。
ここでは、わかっているようでよく知らない方のために、「ローラー塗装」と「刷毛塗り塗装」に絞り、比べてみるような形で2つの塗装方法の違いについて解説していきます。
屋根や外壁で行われている各種塗装工法の紹介
外壁塗装のメインは壁面の塗装になりますが、その塗装方法を少し詳しくみてみると、塗装用のローラーを使用して塗料を塗布するローラー塗装、刷毛を使って細かな部分を仕上げる刷毛塗り塗装、塗料を霧状に噴射して広範囲に塗りつけていくスプレー塗りの3つの塗装方法に大きく分けることができるでしょう。
そして、外壁塗装では歴史もあって古くから実施されてきた塗装方法が、刷毛塗りによる塗装です。
刷毛塗りで塗装作業を行った時の塗装品質は、一定水準以上の技術を持つ職人が施工しているので高い品質を維持していますが、職人の腕に左右されることには変わりなく、作業環境や自然環境などによっても、仕上がり品質が大きく変わってしまう場合があります。
刷毛塗りで塗装する場合のメリットといえば、複雑な構造の外壁にも丁寧に対応できることで、腕のいい塗装職人なら素晴らしくきれいな仕上がりになります。
ローラー塗装も刷毛塗りと併用することがありますが、外壁の状態や形状に合わせたさまざまな種類のローラーを駆使できれば、面積の広い外壁に対して使いやすく、刷毛塗りよりもスピーディーになおかつきれいに塗ることができます。
塗装の現場では、「ローラー塗装」と「刷毛塗り塗装」をうまく切り分けて塗装作業が行われていますので、いろいろな種類の塗装方法を良く知っている塗装職人ほど、仕上がりも美しくなり、意匠性の高いデザインを持つ塗装にも対応することができます。
ローラーを使った手塗り工法
さまざまな種類のローラーを使って塗装しますが、刷毛塗りと同様に手塗りであることには変わりありません。
塗装の現場では、ローラー筒に毛や繊維を巻き付けたローラーを上手に使って、塗装作業を行っています。
さまざまな種類のローラーが存在し、外壁の形状や状態に対応したローラーを使用して塗装作業を行います。
もちろん、塗装職人がこだわりを持つローラーや独自の塗装方法などもありますので、塗装後の仕上がり具合に関してはそれぞれに大きな独自性が生まれます。
ローラーを使った手塗り工法における一般的なメリットといえば、刷毛塗りの作業と比べて同じ面積への塗装なら、ローラー塗装で作業を行うと約半分の時間で塗装作業が終了するという点です。
塗装作業を迅速に進めることができるうえに、塗料の周囲への飛び散りも少ないので、住宅が密集しているような狭い場所や植木などがたくさん生い茂っているような場所でも、しっかりと安定した作業ができる工法だといえるでしょう。
ローラーを使用する際の注意点といえば、使用する道具によっても仕上がり品質に差が生まれますので、それぞれのローラーのメリット・デメリットを熟知していなければ、十分に活用できないまま終わってしまう恐れがあることです。
また、使用前のローラーの状態にも細心の注意を払う必要があります。
例えば、毛が抜けている、表面がケバ立っていて劣化している、などといった普段の手入れを怠っているようなローラーや古くなってしまったローラーを使用してはいけません。
ローラーを使う時は、それぞれの特徴を活かして、ポイントを押さえた使い方をしています。
例えば、凹凸が多い形状の外壁には毛足の長い長毛タイプのローラーを使っていますし、面積の広い平面の外壁には、短毛タイプのローラーを使って塗装すると、うまく塗装できます。
刷毛による手塗り工法
刷毛塗りは、昔から行われていて歴史のある定番の塗装工法で、塗装職人なら取り扱う機会の多い塗装方法です。
刷毛の種類も豊富で、塗料の種類、形状、毛の種類などを基準にして、平刷毛、寸筒刷毛、筋交い刷毛などがよく使われています。
刷毛といっても、動物の毛や化学繊維の毛などのさまざまな素材の中から、塗料の特性や塗装面の状態に合わせて、数種類の刷毛を器用に使い分けて塗装作業を行っています。
刷毛を使った塗装では、うまく刷毛を使うことができれば、塗料の飛び散りがほとんどないため、安心して塗装作業ができます。
ローラー塗装に比べても、より細かい場所、より複雑な形状の外壁にも対応しやすく、繊細で丁寧な塗装ができるようになっています。
しかし、ローラー塗装作業のように短時間で施工できるものではなく、同じ塗装面積なら倍近くの塗装時間がかかってしまうのがデメリットです。
刷毛を使用した手塗り工法だけで、広めの面積の外壁面に塗装することはなく、ローラー塗装やスプレー塗装などもしっかりと使い分けて塗装作業が行われています。
実際の塗装現場では、時間も限られているため、ローラーと併用しながら工期を短縮して、迅速に塗装作業を進めていく必要があるでしょう。
漫然と塗装作業を行うのではなく、塗料の成分や毛の特性を知り尽くした職人が、使い慣れた刷毛を器用に使い分け、外壁との相性をしっかりと考えながら塗装しています。
プロの塗装職人ほど、どんな状況であっても仕事を進めることができ、しかも塗装後のトラブルも少ないといえるでしょう。
AKIHIKO ICHIKAWA