サイディング模様をそのまま活かすクリアタイプの塗装とは?
意匠性に優れた美しいデザインの外壁サイディングも多数登場しており、種類が豊富になってきていますので、どのサイディングを選んでも、色や模様などが他と被るようなことが少なくなってきています。
サイディングボードにもメンテナンスが必要で、経年劣化による傷みを防ぎ、外壁表面を保護するためには、色のついた塗料で定期的に塗装しなければなりません。
しかし、意匠性に優れたデザインの外壁サイディングボードに塗装すると、せっかくの美しいデザインを潰してしまう恐れがあります。
外壁サイディングの模様をそのまま活かすには、「クリア塗装」という塗装方法がおすすめで、各メーカーからもクリアタイプの塗料が多数販売されています。
今回は、新築同様の美しさをいつまでも維持できる「クリア」タイプの塗装について簡単に解説していきます。
クリア塗装と通常の塗りつぶし塗装との違いとは?
外壁サイディングにも最初から塗装が施されていますし、古くなって色あせや傷みが見つかったら、塗装メンテナンスを行っています。
クリア塗装とは、透明の塗料を塗布して表面をコーティングするような塗装方法です。
通常の塗装は塗りつぶし塗装といって、色は単色や2色での塗装が多く、透明色以外のお好みの色や指定した色の塗料を使って塗装作業を実施しています。
塗りつぶし塗装を行うと、現在の外壁の色合いや風合いがなくなってしまい、新しい塗装色の色合いや風合いに変わってしまいますが、イメージも一新し新しい印象を与えることができます。
もちろん、同じ色の塗料であっても同じように周囲にフレッシュな印象を与えることになるでしょう。
クリア塗装は、通常の塗装方法とほぼ同じで専用の塗料をベタ塗りしていきますが、透明の塗料を使用すると、既存の意匠性の高いサイディングの模様をそのまま活かした塗装に仕上げることができます。
しかし、古くなったデザインを持つ外壁材や経年劣化が進んだサイディングボードへの塗装メンテナンスは、古いデザインを諦めて塗りつぶし塗装に代えたほうがいい場合もあります。
外壁塗装の塗り替えメンテナンスの実施割合では、8割が塗りつぶし塗装、残り2割がクリア塗装を指定していることがわかっています。
ただし、クリア塗装ができるのは、新築から10年未満、表面の劣化や傷などの傷みが少ないことなどが塗装可能な条件です。
塗装面の仕上り具合は微妙な艶感の中から選ぶことができ、例えば、艶ありクリアや3分艶ありクリアなどの艶の指定ができるようになっています。
艶の質感もお好みで選ぶことができますので、意匠性の高いサイディングボードのメンテナンスでは、条件がそろえばクリア塗装を検討対象にしてもいいでしょう。
クリア塗装で使用する塗料の種類
クリア塗装で使用する塗料にもグレードが存在し、シリコン系を中心とした3つのグレードの塗料の中からクリアタイプの塗料を選ぶといいでしょう。
3つのグレードとは、一般的なシリコン系塗料、高性能のフッ素塗料、対候性や耐久性の高い無機塗料の3つです。
一般的には、高性能の塗料ほど耐用年数が長くなるため、単価もアップします。
大手塗料メーカーが取り扱う外壁用のクリアタイプの塗料を一部ご紹介すると、 日本ペイントのピュアライドUVプロテクトシリーズ、 エスケー化研のクリーンSDトップ、 水谷ペイントのパワーアシストクリヤー、 日本特殊塗料のシルビアUVカットクリヤーなどが代表的なクリアタイプの塗料です。
クリア塗装ができるかできないかは専門家の判断が必要!
クリア塗装が不要な外壁材もありますので、どんな外壁にもクリア塗装していいわけではありません。
サイディングボードであっても、建物全体が古くなって経年劣化が激しく進んで傷んだ外壁材に対しては、クリア塗装が難しくなることがあります。
目安は、外壁設置後10年以内のサイディングボードです。
外壁設置後10年以内なら、たいていの場合は塗装可能ですが、10年以上経過すると色の変色や退色が見られたり、表面が剥がれたりしており、古さや傷みなどのほうが目立つため、クリア塗装が逆効果になってしまいます。
お金をかけてクリア塗装をしたとしても、傷んだ外壁の表面が目立ってしまうようなら、クリア塗装を選ぶ意味はないでしょう。
他にも、クリア塗装できないケースとして、製造の段階で光触媒や無機の表面コーティングが施されている場合があります。
クリア塗装するかどうかは、ケースバイケースで判断するしかないでしょう。
もちろん、ご自身の考えだけで判断するのは避け、外壁塗装の専門家、専門業者にもご相談すると、よりよい解決方法が生まれる可能性があります。
AKIHIKO ICHIKAWA