定期点検と外壁のクラック補修で長持ちするお住まいへ!
外壁のクラックとは、ひび割れのことで、建物や外壁に発生すると深刻な悪影響を及ぼします外壁に発生するひび割れは珍しいものではありませんが、外壁材ごとの補修方法が異なり、原因別の補修方法などもさまざまです。
DIYで簡単に補修できるものではなく、補修方法を間違うとせっかく補修してもクラックが拡大することもあります。どのようなクラックであっても、正確な発生原因をきちんと突き止め、慎重に対応するべきでしょう。
外壁クラックに対する有効な対処法の中では、定期的な外壁の点検が一番です。点検時に見つかった補修が必要なクラックは、軽度のひび割れ状態のうちに補修してしまいましょう。
主な原因別の外壁クラック(ひび割れ)症状
クラックでも軽い症状の場合は、ヘアークラックと呼ばれています。ヘアークラックとは、外壁塗料の塗膜に発生した髪の毛のように細くて小さなひび割れ現象です。
軽度のひび割れ状態ですので、よく発生しますが、外壁材にはひび割れが発生していないものと考えられます。つまり、塗膜に生じたひび割れ症状であるため、補修も簡単にできます。
ヘアークラックの主な原因とは、塗膜の経年劣化が考えられます。しかし、施工不良が原因の場合もあります。
この場合は、弾性塗料の塗膜の上に硬質塗料を塗ってしまったために、上の塗膜が追従できずにヘアークラックが生じてしまう現象です。
ヘアークラックは様子を見て補修するべきかどうかを判断する余裕があります。経年劣化の症状だと判断され、特に問題がない場合は何も補修しなくても問題ないでしょう。
しかし、クラックの状態がひどく、外壁材にまで被害が及んでいる場合は、クラック症状も大きく、溝も深くなっています。
こうしたクラックのことを「構造クラック」と呼び、すぐにでも補修したほうがいいでしょう。構造クラックの原因は、さまざまですが、どれも深刻な問題ばかりです。
例えば、建物の構造上の問題、不同沈下、寒冷地なら凍害、地震や地割れの発生などが原因となっており、深刻なうえに簡単に避けられない原因が多いので注意が必要です。
建物の構造的な問題以外にも大きな揺れ、大きな力が建物に加わると、外壁材に強い負荷がかかるので、突然想定外の大きなクラックができてしまうことがあります。
大きな地震発生後や台風の襲来時など、随時点検作業を行うと予期せぬクラックを発見することがあります。
外壁材が異なるとひび割れの原因も異なるということを知る
外壁材の素材が異なると、クラックの発生原因も異なるということをご存知でしょうか?人気の外壁材といえば、モルタル、サイディングボード、コンクリート外壁などです。
モルタル外壁の場合は、元々ひび割れが発生しやすい素材として知られ、傾向として外壁全体にひび割れが生じるようなイメージです。
クラックの原因は、建物の揺れの他、建物や建材に含まれる水分の乾燥や収縮によるもので、原因も深刻ではありません。
サイディングボードの場合は、ボードとボードの目地部分にあるコーキング材のひび割れの発生がよく見つかります。
目地のコーキング材のひび割れや経年劣化に対する補修は、コーキング工事で対応します。丈夫な鉄筋コンクリート外壁の場合は、コンクリートの乾燥・収縮によりひび割れが発生します。
また、大地震発生後に、大きなクラックが発生した場合は深刻な状況になっていることが多く、補修も簡単ではありません。
ヘアークラックの補修方法
ヘアークラックは、幅が0.3ミリ以下の髪の毛のように小さくて細いクラックです。ひび割れの状態が大きくない場合は、塗膜だけに発生したひび割れであるため、すぐに補修が必要ではありません。
しかし、経過を見守りながら、定期点検を行った時にクラックが拡大していくようなら、早めに対処してください。
ヘアークラックの補修方法は、下地調整材に微弾性フィラーを使い、通常の塗料での上塗り塗装による補修が一般的です。
微弾性フィラーで補修できない場合は、下地調整でクラックをパテで埋めたり、シーリング・コーキング材を充填したりして、塗装前に本格的な補修を行っています。
シーリング・コーキング材を充填した後には再塗装が必要です。塗装をメインとする外壁塗装工事でも、微細なヘアークラックが見つかった場合は、塗装前に必ず補修されている、と考えてください。
構造クラック(幅が1ミリ以上)の補修方法
クラック幅が1ミリ以上あるようなクラック(ひび割れ)のことを構造クラックと呼んでいます。構造クラックが発生していると、下地や外壁内部への雨水の浸入による腐食や雨漏りの発生が大きな問題です。つまり、目に見えない建物内部の状態にも注意しなければなりません。
場合によっては、有料での詳細な雨漏り調査なども行い、浸水や雨漏りの原因をきちんと特定したうえで適切な補修を行っています。
補修時は、クラックの溝や幅が大きいので、「カット工法」と呼ばれている補修方法を行います。カット工法では、クラック部分をU字やV字にカットした後、表面にシーリングプライマーを塗布し、その後シーリング材を充填します。
シーリング材の上にはフィラーなどで塗装面を調整した後に、補修した箇所を含めて再塗装を行い、元の状態に戻します。
構造クラックの補修では、シーリング材で補修する代わりに、エポキシ樹脂を注入して補修する工法も存在し、クラックの溝や幅の状態、下地や建物内部の状態などに応じた適切な補修方法が選択されています。
AKIHIKO ICHIKAWA