各市町村で美しい町並みを保護する景観法とは?
古くから歴史のある町ほど、いいものをできる限り残そうとする意識が強く、建物や自然などが建築当時の美しい状態のまま静かに保存されています。海外は景観を重視する都市が多いと言われていますが、日本の都市も例外ではありません。
日本でも各市区町村にて景観法に基づく条例を制定することができ、古い町並みが当時のままに残されています。新しい建物を建てるときや塗装する場合には、景観法に違反していないかどうかも重要なポイントになります。
同じ塗装業者でも、お住まいの地域に根差した経営を行っている優良業者なら、景観法を守った塗装工事を行っています。
景観法ではどんなことができる?
景観法は、2004年6月に公布された、まだ新しい日本の景観に関わる法律です。景観法ができるまでは、地域の調和や美観を考えない伝統を無視した建物やビル、工場などが無計画に建てられていた時代もありました。
同じような建物や巨大なビルなどを無秩序に建てていくと、その地域に昔からあった町並みや自然、景観などが失われてしまうことがわかってきたので、景観条例や景観法が登場し、公共工事などにおいても、景観に対する配慮や地域社会との調和を重視するようになってきています。
景観法は、直接景観を規制しているわけではありませんが、各地方自治体の景観に関する計画、条例、景観協定などに、実効性や法的な強制力を持つことになりました。
各市町村で独自の景観条例が定められている
景観法は、きちんとした法律ではありますが、法律としての厳格なルールを定めているわけではなく、抽象的な表現が多く、景観や町並みの美しさや風格、創造や個性などの基準は、各市区町村の裁量に任されています。
景観法は、国や地方自治体だけではなく、その地域で営業する事業者や住民にまで、責任が及ぶようになっていますので、その地域にお住まいの方なら全ての方が知っておくべきもので、遵守しなければならない法律であると考えられます。
各地方自治体では、これまでの景観計画の策定、届け出制度、まちづくりなどへの取り組み事例が公表されています。いずれもその地域や地方自治体独自の街づくり、地域づくりの特徴や姿勢がよく表れています。
条例違反にもなると業務停止になる恐れも!
景観法や景観条例は、罰則が強いものではなく、強制力もそれほど強いものではないと言われています。景観法に基づいたその町独自の計画や地域づくりが行われているならよしとされています。しかし、建築物に対する一定の制限や条例違反による罰則も定められています。景観条例に違反した場合は、原状回復命令が下されることがあります。
違反建築物が見つかれば、施工の停止が命じられ、期限内に改築、修繕、模様替え、色彩などの変更を求められることがあり、工事の停止ややり直しなどを行う必要があります。
また、違反建築物を設計した者に対しては、監督している国土交通大臣や都道府県知事に通知され、業務の停止処分を受けることがありますので、建築士、建築業者、宅地建物取引業者などは、景観法を無視した建築物や工事を行うことができないと考えていただいていいでしょう。
AKIHIKO ICHIKAWA