お住まいのある地域は、ご自身だけが住んでいるわけではありません。多くの方が住んでいますので、調和のとれた地域の町並みや景観を守るために、「景観法」などの景観まちづくりに関する関連法が整備されており、建物の色彩に関しても好きな色を塗ることができない場合があります。景観まちづくりに関する関連法の種類もいろいろありますが、今回は、「景観法」を中心に学んでみましょう。
景観法で決められていること
景観法は、景観計画、景観協定、景観地区、景観に重要な建物や樹木などに関して定められた法律などの各種法制度のことです。景観に基づくまちづくりは、各自治体ごとの特色がよく出るように、緩やかな法規制となっています。
自主的なルール決めが多く、都市計画法や都市緑地法などのその他の法制度との関わりと矛盾しないように、重要な施設・建物、農地、土地などに関しての調和の取れたまちづくりがしやすいように誘導する法制度です。
景観まちづくりの基本ルール
景観のまちづくりに関しては、基本的なルールを定め、緩やかに誘導するような法制度が整備されています。例えば、建物のデザインや色彩などのルールを定めたり、建物の高さ、壁面の後退などの基本ルール、商業地なら看板や屋外広告に関する基本ルールなどを定めたりしています。
景観を守り育てる目的
景観法に基づく基本ルールは、住民が自主的に定めますが、ルールを守り、大切な景観を守り育てるためには、細かいルールを運用する仕組みが必要です。例えば、景観の核となるまちなみを保全する仕組み作り、まちのシンボルとなる建物などを保全する仕組み、緑を中心とした住環境を守るために建物を保全する仕組み、地域にある公共施設を積極的に活用し、景観に取り込み整備するような仕組みなどを定め、実際に運用していきます。
提案制度を活用
景観法は、自主的なルールや仕組みが多く、景観計画の内容などについても、その地に住む地権者や住民が提案できるようになっています。提案制度を活用することで、お住まいの住民の方が美しいまちづくりへの興味・関心が出て、より洗練された景観を生み出すことができるでしょう。
もちろん、新しい建物を建築する際には、行政機関に対して書類による「届出」を行う必要があります。届出が受理される場合もありますが、ルール違反があった場合は、行政のほうから改めるように「勧告」が行われます。こうした仕組みにより、自治体が定めた景観計画に沿ったまちづくりを進めることができます。
AKIHIKO ICHIKAWA