地域や都市により、町並みの美しさは全く異なります。自由に建築できた時代もありますが、伝統や調和を乱すような建物も増えました。今では「景観法」が定められたことで景観に対する配慮や調和がより重視されるようになっています。
景観法が出来た背景
景観法が公布されたのは、平成16年です。まだ歴史の浅い法律です。それまでは、風致地区や美観地区などが定められたり、独自に景観条例を定めていた自治体もありました。 しかし、法的な強制力がなかったために、なかなか景観を守らせることは難しかったようです。
その後、地方自治体の支援の必要性や共通した法令を作る必要があるため、法の整備が進められ、より強制力のある景観法の制定が検討されるようになりました。
公共工事においては、景観に対する配慮や調和が重視され、 「美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造及び個性的で活力ある地域社会の実現」 を図る目的とする「景観法」がまとめられ、公布されました。
景観法に違反するとどうなる?
景観法という法律が作られましたが、強制力が強い法律ではありません。全国にある「景観行政団体」が中心となって景観法を穏やかに守らせるようなイメージとして捉えてもらうといいかもしれません。
地方自治体でもこれまで独自に制定してきた条例が、一段ランクアップし、法律として法的な根拠が与えられたものとして認識されています。
罰則は、景観法に基づいた景観条例が定められていますので、条例違反となってしまいます。
条例違反となると、原状回復命令を命じられたり、模様や色彩の変更、改築や修繕、営業停止処分などの措置が講じられるので、不動産会社や建築会社にとっても全く無視ができない法律となっています。
全国にある景観地区の紹介
景観地区は全国で36地区あります。(2013年1月現在) 有名な景観地区をいくつかご紹介します。
・ニセコアンヌプリ・モイワ山山麓地区景観地区
(北海道虻田郡ニセコ町)2009年5月18日指定
・江の島地区(神奈川県藤沢市)
2007年4月1日指定
・鎌倉景観地区(神奈川県鎌倉市)
2008年3月1日指定
・歴史遺産型美観地区(京都府京都市)
2007年9月1日指定
・芦屋景観地区(兵庫県芦屋市)
2009年7月1日指定
・倉敷市美観地区(岡山県倉敷市)
2005年6月1日指定
・尾道市景観地区(広島県尾道市)
2007年4月1日指定
・観音堂地区(沖縄県石垣市)
2007年12月7日指定
歴史のある地域や町が景観地区に指定されています。この他にも準景観地区が指定されています。
AKIHIKO ICHIKAWA