弾性の高さとリーズナブルな施工料金がメリットの「ウレタン塗料」
シリコンやフッ素などの耐久性や機能性が高い高級グレードに位置する塗料をおすすめする塗装業者が多いのは当然です。
基本性能が高い塗料ほど、塗装した後の仕上がり具合や耐久性能が高くなり、お客様の満足度も高くなるからです。
しかし、汎用グレードで手頃な価格のウレタン塗料にも多くのメリットがありますし、高級グレードにはない特徴を持っていることもあります。
そうした意味では、低グレードだからといってすぐに切り捨てるのではなく、あえてウレタン塗料を選択したほうがいいケースもあります。
そこで今回は、あまり注目されることが少なくなったウレタン塗料のメリットを中心とした各種特徴についてご紹介していきます。
外壁塗装に向いているウレタン塗料
外壁用塗料の中でも施工実績が多いといわれているのが、ウレタン塗料です。主成分は、ウレタン系樹脂です。なぜよく使われていたのかといえば、シリコン塗料が登場する前の主流だったからです。
ウレタンは、塗装後も柔軟性を保ち、塗装後の密着度も高いことから、外壁塗装用の塗料としてはぴったりの素材です。
さらに、ツヤや光沢が美しく、ツヤありタイプを選ぶと高級感のある仕上がりが周囲に良い印象を与えます。
施工料金の安い塗料なのに、高級感のある仕上がりになるので、今でも高い人気があり、外装や内装などの幅広い用途に使用されています。
ウレタン塗料の主な特徴としては、「弾性が高い」ということが一番に挙げられます。塗装後の塗膜が柔らかく、伸縮性に優れています。
ウレタン塗料は、弾性塗料ほどではありませんが、塗料の中でも柔らかさをメリットとしており、外壁のひび割れにも追従し、塗膜にまでひび割れが広がりにくくなっています。
塗料と外壁表面との密着度も高く、塗装後に簡単に剥がれることはありません。
しかし、ウレタン塗料の耐久性は6~10年しかなく、塗料の中では少し短い、という点が最大のデメリットです。
塗装後、5年も経過すれば、塗り替えメンテナンスを検討しなければならず、頻繁に再塗装工事を行うようなら、施工コストが高くつく経済性の良くない塗料という評価になってしまいます。
塗膜に汚れが付着しやすいですが、メンテナンスサイクルが短いので、汚れが目立つ頃には再塗装を行い、きれいな状態を維持できます。
短期間でのメンテナンスが必要ですが、塗装作業も容易で扱いやすいので、定期的に新しい色に塗り替えたい方や高級感のある塗膜を好む方は、あえてウレタン塗料がよいという場合があります。
シリコン塗料と比較した時のウレタン塗料の特徴
ウレタン塗料のデメリットといえば、肝心の耐久性がシリコン塗料に比べるとかなり劣る点です。
近年登場している新しい塗料は、耐久性や機能性の高さが売りになっているので、昔よく使われていたウレタン塗料は、耐久年数が短いので次第に使われなくなってきています。
耐久性についてみると、ウレタン塗料の場合は、10年以内で機能が落ちてしまうので、塗装後6~7年が塗り替えのタイミングの時期です。
一方のシリコン塗料は、10~13年まで使えるような耐用年数が多いので、ウレタン塗料の倍の寿命があるシリコン塗料が選ばれるのも無理はないでしょう。
経済性を考えると、外壁塗装工事はメンテナンス回数が少ないほうがいいからです。
ひび割れに強いのは、塗膜が高い柔軟性を持つウレタン塗料です。
シリコン塗料は、塗装後時間が経過すると硬化していきますので、ひび割れしやすい特徴があります。
塗料のグレードは耐久性で決められているので、アクリル<ウレタン<シリコンの順番で耐用年数が長くなり、グレードも高くなっていきます。
塗料は、他にも重要な性能がありますし、特殊な機能を持つ塗料も多いので、グレードだけで選ばずに、あくまでも参考程度に留めるようにしてください。
シリコン塗料が登場してから施工実績も増え、単価が年々下がってきていますので、多くの方はウレタン塗料よりもシリコン塗料に多くのメリットを感じて選ばれているようです。
しかし、ウレタン塗料も、使用場所を選ばず、外壁材以外の建物のいろいろな場所にも使われており、これまでの使用実績が豊富なことから安心できる塗料です。
ウレタン塗料は、光沢のある仕上がりによる高級感が好まれ、柔らかい樹脂がひび割れを防ぎ、木材やフローリングなどの塗装にはぴったりです。
ウレタン塗料の1平米あたりの単価は、1700~2200円で、思ったよりも低価格です。外壁塗装工事を依頼するなら、50~80万円前後の費用が総工事費用の目安となります。
代表的なウレタン塗料のメーカーと塗料名
ウレタン塗料を製造販売する大手の塗料メーカーの中で、外壁用で代表的な製品をご紹介しておきます。
日本ペイントなら、ファインウレタンU100。
エスケー化研なら、弾性クリーンマイルドウレタン。
関西ペイントなら、セラMレタン。
ロックペイントなら、ユメロック。
などが有名です。
他にも、環境に優しいうえに鉄部や木部にも塗装可能で、シリコン樹脂も配合された汎用性の高いウレタン塗料も登場しています。
最新のウレタン塗料は、各種改良が加えられており、シリコン塗料と変わらない高い性能を持つ塗料としても十分に使える塗料になっていると考えられます。
AKIHIKO ICHIKAWA