外壁塗装工事に関して最初から正しい知識を持っている人はそれほど多くはありません。しかし、何も知らない状態で塗装業者との打ち合わせをするのは難しく、担当者の言うことが全く分からずに「全てお任せ」になってしまいます。
塗装業界には、悪徳業者も多いので、「お任せ」すると、ダマされてしまっていても気づかないことがあります。悪徳業者にダマされないようにするためにも、塗装に関する基本知識としての塗装工程の流れを押さえておきましょう。
外壁塗装工事には基本的な流れがある!
外壁塗装工事を進めるにあたって、基本的なルールが存在します。現地調査が終わった後に、いきなり塗装工事を始めることはありません。打ち合わせや契約を結ぶなどの各種手続きの後、段階を踏んで、塗装作業へと進んでいきます。
塗装工事の最初から工事完了までの中で、最も重要となる「塗装工程の流れ」を知っておくと様々なメリットがあります。例えば、見積り段階や塗装作業開始後も慌てることもありませんし、事前対策をしっかりしておけば、さまざまなトラブルにも迅速に対処できます。
塗装工程の簡単な流れ
大まかに分けると、足場の設置→下地処理→三度塗り→付帯部塗装→確認・足場撤去の5つの段階があります。外壁や屋根の塗装を同時に行う場合は、外壁塗装が終わった後に屋根の塗装が行われています。
1、足場の設置
足場の設置作業は、塗装工程前に行われる重要な作業工程です。足場は、職人が安全に作業できるように設置され、塗装の品質にも大きな影響を与えます。実際の作業では、家を一周するように足場を組み上げ、塗料の飛散を防ぐ飛散防止ネットを張っています。
2、下地処理
下地処理では、高圧洗浄、養生、クラック補修などの各種作業が行われています。塗装前の高圧洗浄では、塗装面の汚れや油、苔・カビなどをしっかりと取り除くため、高圧の水を噴射して汚れを剥ぎ落とします。
次の養生では、塗装する必要のない箇所を養生用のビニールで保護する作業を行っています。また、窓やサッシ、玄関ドアなどは、塗料や汚れが付かないように、丁寧にテープで養生し、塗装の境界線をはっきりとさせます。
そして、下地調整では、外壁や塗膜のクラック、剥がれ、膨れなどを丁寧に手作業で補修していきます。下地と塗料がしっかりと密着しやすいように表面をきれいにします。
3、三度塗り
屋根や外壁の塗装工事では、三度塗りが基本です。三度塗りとは、下塗り、中塗り、上塗りのことです。下塗りでは、塗料の塗膜がしっかりと外壁に付着するように、中塗りや上塗り塗料とは異なる下地専用の塗料を塗っています。
次の中塗りや上塗りは、外壁の色となる重要な塗装工程です。まとめて「上塗り2回」とも呼ばれ、下塗り材をコーティングして、外壁塗膜を形成し、外側の環境から外壁材を守る役目があります。
塗料は指定された量を守らなければ、塗装の塗膜の正常な保護機能や耐久性能が発揮できません。多すぎると塗りムラが発生しますし、少ないと塗膜が均一にならずに塗装後に剥がれなどのトラブルが発生します。
4、付帯部塗装
メインとなる外壁面への塗装以外にも目立たない「付帯部」の塗装が行われています。注意点としては、見積りの段階でも塗装する箇所と塗装しない箇所を明確に分け、塗り忘れ、塗り漏れがないようにすることです。
塗り忘れの箇所があると付帯部であっても目立ってしまうことがあります。後になって初めてわかることがありますので、必ず経験豊富な塗装業者と契約前に付帯部塗装の確認を行うようにしてください。
屋根・外壁塗装の付帯部とは、軒天、破風板、雨樋、幕板、雨戸、戸袋などがあります。鉄部は錆びやすいので、塗装前には錆び止めやケレン作業を忘れずにやってもらいましょう。
5、確認・足場撤去
塗装作業が完了したら、養生を片付け、塗装の仕上がり状態のチェックを行います。もちろん、施主も確認します。もう一度仕様書を確認して、おかしな箇所や問題点、気になるところがあったら、遠慮なく伝えるようにしましょう。
仕上り具合がよくないと思った場合は、修正を依頼しても構いません。問題点は、できる限り確認作業時に率直に伝えるようにしたほうがいいからです。全ての作業と確認が終わったら、足場の解体撤去作業を行い、作業を終了させます。
AKIHIKO ICHIKAWA