木材の塗装が短期間で剥がれやすい理由
外壁材としてよく使われている素材といえば、モルタルやサイディングボードで、特に窯業系のサイディングボードはデザインが豊富なためよく選ばれています。
しかし、窯業系サイディングボードで自然を模したデザインを選ぶと、よく似た外壁になってしまうので、一部箇所には、木の温もりや高級感を出すために、本物の天然木材を使用することがあります。
本物の天然木材は生きているといってもよく、取り扱いが繊細でメンテナンスが難しいうえに経年劣化も早いということを知っておきましょう。
木材・木部塗装の剥がれの理由と予防対策
天然の木材は、大きくなるまで成長し実際に生きていたものです。天然素材であるが故に脆い部分もあり、偶然硬いものが当たって、木材が削れたりすると、塗膜も削れたりすることがあります。
木材が経年劣化すると、湿気などで木材内部に水分を含むようになり、腐食が進むと塗装部分も剥がれてしまうことがあります。
木材・木部の品質にもばらつきがあって、特に節の部分は、厚めに塗装しても時間がたつと剥がれやすくなっている箇所です。
木材・木部のメンテナンスを行わない場合は、太陽からの毎日紫外線を浴び続けると、塗装した塗膜であっても老朽化して脆くなり、雨や風、埃・ゴミなどにより塗装面が汚れ劣化状態がひどくなっていきます。
経年劣化した多くの木材は、内部が腐っていますので、塗装も剥がれてしまいます。
木材・木部への塗装は、耐用年数が短いのが問題で、塗膜の保護機能は3~5年程度しかないと言われており、短い期間しか塗装の保護機能がないということを知っておいてください。
そのため、あらかじめ防腐対策をしっかりと行うことはもちろん、木材用塗料の耐用年数を考慮した早めの塗り替えメンテナンスを行います。
天然自然の木材は、自然環境や湿度に対応して呼吸しており、膨張や収縮を繰り返しています。
木材の天然の調湿作用は、人には優しく感じられますが、過酷な自然環境であるほど木材は確実に経年劣化し脆くなっていきます。
こうした木材が持つ調湿作用は、逆に塗装した塗膜の剥がれやひび割れを引き起こし、木材・木部の寿命を短くさせる原因となってしまうことが知られています。
外壁塗装のケースで木材への塗装を行った場合も、モルタル外壁の通常保証(多くは5年間)の適用対象外になることが多く、木部は、密着力のある木材用の塗料を使用したとしても、保証期間は、1~2年といったとても短いものになっています。
木材・木部への塗装は、専用の塗料の中でも耐用年数の長いタイプを選ぶようにしなければなりません。
木材・木部塗装の特徴とは?
木材・木部への塗装についての注意点は、外壁塗装と同じで、下地調整と三度塗りを重視しており、これらの作業や工程が省略されることはありません。
特に、木材や塗膜の損傷が激しいときは、塗装する前に行う下地調整処理が重要なものとなります。
ケレンや目粗しなどの作業は、繊細な木材に対して行うため、慎重に取り扱いながら、作業を行う必要があるでしょう。
下塗り塗料を選ぶ際の注意点は、後に解説する木部専用の塗料を必ず使用するということです。
下塗り後の中塗り、上塗りに使用する仕上げ用の塗料は、塗膜の密着性の高い溶剤系の塗料を使うことで、塗装の耐久性を高めるようにします。
しかし、天然木材へ塗装することになるので、臭いや刺激があまり強くなく、できる限り環境に配慮した「弱溶剤タイプ」の溶剤系塗料が選ばれています。
木材・木部に適した塗料を使うと剥がれにくい
木材・木部の塗装での注意点は、耐用年数が長い高耐久性の木材・木部専用の塗料を使用することが、短期間での塗膜剥がれの不具合を予防する効果的な予防対策です。
木目の模様をそのまま生かせる塗料の種類には、浸透タイプ、含浸タイプ、木材保護塗料、ステイン、着色塗料などがあり、木材の状態や経験や知識を元に適切なタイプが選ばれています。
これらの木材専用塗料は、木目を生かすために塗料が浸透して、内部を保護する効果があります。
多くは木材に塗装しても剥がれにくい塗料ですが、艶が出にくく、通常の塗料に比べるとあまり耐久性がないというデメリットがあります。
一方、塗装すると木目が残らないタイプの塗料といえば、造膜タイプ、被膜タイプなどの木材専用塗料が選ばれています。
これらのタイプは、塗装した時に木目が消えてしまっても、耐久性や耐水性が高いので長期間使用することを主な目的とする場合に選ぶようにすべきです。
しかし、塗膜が硬化した後は、木材は動いたり、しなったりしますので、柔軟性があまりない塗膜だと、剥がれたり、割れたりしやすいというデメリットがあります。
また、木材のデメリットを補うような弾性塗料や木材の弱点となる防カビ・防虫効果の高い塗料もあり、種類も豊富です。また、木目を残すクリア塗装などもあります。
このように、木材の種類や塗装前の状態をよく見て塗料選びや塗装作業を行う必要があるため、DIY塗装は難しいとされており、木材・木部への塗装はプロの高い品質の施工が安心できます。
AKIHIKO ICHIKAWA