防水工事といえば「アスファルト防水」
出典:http://www.kougiken.co.jp/
ビルやマンションの屋上防水の定番といえば、「アスファルト防水」です。
アスファルト防水は、古くから多くの建物の屋上に施工されてきた防水工事として知られ、信頼性が高く、工法に関しても日々改良が加えられて、複数の施工法のバリエーションにより、様々な条件下にも対応できます。
今回は、防水工事の中でも最も信頼性の高い「アスファルト防水」について解説していきます。
屋上防水といえば信頼度の高いアスファルト防水
アスファルト防水は、これまでの施工実績の数が最も多く、様々な状況にも対応できるうえに高い信頼性を誇る防水工法です。
この工法で使われているアスファルトシートの素材は、合成繊維不織布にアスファルトを含浸させ、シート状のルーフィングにして加熱溶解させています。
簡単にいえば、屋上などの現場で、アスファルトでできたシート状のルーフィングを貼り重ねて防水層を形成する防水工法となっています。
アスファルト防水には、下地の状況に応じた3種類の施工法が用意されていますので、適切な施工法を選択しなければなりません。
例えば、熱工法、常温工法、トーチ工法などが主なアスファルト防水の施工法で知られています。
アスファルト防水は、ルーフィングシートを積層して水密性を高められるので、アスファルト防水以外の防水工法よりも高い耐久性を持つ防水層を作ることができます。
アスファルト防水は、最近流行している屋上緑化にも相性がよく、露出仕上げ、押さえコンクリート仕上げなどの施工も可能となります。
アスファルト防水で押さえるべきメリットやデメリット
アスファルト防水の第一のメリットは、世界最古の防水施工法としてのその信頼性の高さにあります。
耐用年数も15~20年もあり長期間使えますので、ビルやマンションなどの高い耐久性を要する場所には最も適しています。
施工時に使用するアスファルトルーフィングは、あらかじめ工場で製造された後に出荷されるため、一定の品質や厚みが確保されている点にも安心感があります。
古い工法では溶融窯などを使用するため、使用場所が限られ熟練の経験者などが必要でしたが、火気を使用しない安全な常温工法も登場しています。
工法が異なってもアスファルト防水の防水性能が大幅に低下することはありません。
気になる施工費用の面でも、他の防水工法であるウレタン防水やシート防水と同等の価格で施工でき、長期間利用できることを考えるとむしろ経済的だといえるでしょう。
逆に考えられるデメリットとしては、施工法によっては大掛かりな設備が必要になってしまう点です。
熱工法やトーチ工法は、大きな溶融窯やバーナーなどを使い熱で溶かすので、優れた施工管理、煙やアスファルト臭に対する予防対策、近隣への配慮などが必要です。
アスファルト防水はDIYで施工することが難しいので、施工法の適切な選択はもちろん、場所や状況に応じた完璧な防水施工ができる業者選びを重視したほうがいいでしょう。
多くのアスファルト防水で施工されている代表的な3種類の工法
・熱工法
この工法で使用するアスファルトルーフィングは、繊維にアスファルトを染み込ませたもので、大きさは約1メートルのシート状です。
熱工法では、現場で200~270度に熱し、溶けたアスファルトを使ってアスファルトルーフィングを下地に貼り付けていきます。
現場でアスファルトを高温で溶かすための大掛かりな溶融窯が必要です。
熱工法には、密着工法と絶縁工法があります。
下地に全面的に密着させる工法が「密着工法」です。
また、穴の開いたシートを貼って、部分的に絶縁させたうえで防水施工を行うのが「絶縁工法」です。
下地が動きやすい箇所では、その動きにも追従しやすい絶縁工法が選ばれています。
・常温粘着工法
常温粘着工法は、火を使用せずに、常温でアスファルト系の接着剤や特殊な溶剤を使って、アスファルトシートを貼り付けていく施工法です。
既存アスファルト防水の改修工事が必要なときでも、常温粘着工法で対応可能な場合があります。
火を使わないので、煙や臭いが発生せず、3種類の工法の中では最も安全性の高い工法です。
・トーチ工法
トーチ工法は、シート裏面のアスファルトを大型のガスバーナーで炙りながら溶かし、貼り重ねていく施工法です。
熱工法のようなアスファルトを溶かす大掛かりな設備は不要で、代わりに大型のガスバーナーを使っています。
トーチバーナーで溶かすときの注意点は、接合不足にならないようにアスファルトを十分に溶かしてから接合させるという点です。
トーチ工法の問題点は、屋上防水での雨漏り被害が最も多く、早期劣化しやすいなども含めて、施工後の施工不良が後になって問題となるトラブルが多い点です。
アスファルトを溶かすための溶融窯は不要ですが、トーチバーナーによる丁寧な作業と精度が求められるため、施工品質は熟練の職人の技術力によるところが大きいでしょう。
AKIHIKO ICHIKAWA