お気に入りのサイディングの模様があって、これから先もこのデザインを楽しみたいと思う方におすすめなのが、クリア塗装です。塗り替えメンテナンスで別の色に塗り替えてしまうと、せっかくの意匠を凝らした美しいデザインも全部塗り潰してダメにしてしまう可能性があります。
そのような失敗をしないように、塗装業者でも既存のデザインを活かす「クリア塗装」を推奨することがあります。
クリア塗装をおすすめする場合
美しいレンガ調や意匠性の高いデザインを施した外壁ほど、メンテナンスの機会が来ると頭を悩ませるようになります。耐久性を重視し、再塗装で濃い色の塗装色で塗装すると、せっかくのお気に入りのデザインも全て塗りつぶすことになるでしょう。
元の素材やデザイン、柄を活かすなら、クリア塗装がおすすめです。クリア塗装に使われる塗料の色は、無色透明です。単価は上がりますが、フッ素系のクリア塗料も登場しており、高い耐久性を維持できるようになってきています。
クリア塗装ができない場合
外壁や表面塗膜の劣化症状が激しいとクリア塗装をしても、元のようなきれいな状態に戻ることはありません。特にひび割れやチョーキング現象が見られる場合は、クリア塗装ではなく色で塗りつぶすような通常の塗装を行うほうがいいでしょう。また、無機塗料や表面コーティングを施した塗膜は、クリア塗装ができず施工不良になってしまいます。
同じように光触媒や親水性の高い塗料を塗っていた場合もその上からクリア塗装ができないようになっています。窯業系サイディングボードにクリア塗装をすることがありますが、継ぎ目の目地のコーキングには塗装ができませんので、しっかりとした養生が必要です。
クリア塗装で使われる塗料一例
クリア塗装では、素材を活かすために下塗りが行われない場合があります。クリア塗装で使われる塗料には、日本ペイントのUVプロテクトクリヤー、アステックペイントの無機ハイブリッドクリヤー、エスケー化研のクリーンSDトップなどがあります。
アクリルシリコンやフッ素、無機などのハイグレードの樹脂がベースになったクリア塗料が多く、シリコン系塗料に比べると単価も少しアップします。汚れやカビ、藻などにも強く、美観もしっかりと維持できるタイプのクリア塗料が多くなっています。できる限り高寿命で耐久性の高いクリア塗料を選び、次回も同じ塗料でメンテナンスを施すと美しい外壁と建物の外観が維持できます。
AKIHIKO ICHIKAWA