リシン仕上げで吹き付けを選ぶ場合のデメリットとは?
外壁材にモルタル外壁のリシン仕上げを選ぶ方は多いと思います。一般的なモルタル外壁の仕上げ方法としても有名です。リシン仕上げのざらざらした表面の手触りは、温もりがあり、ツヤはありませんが、落ち着いた外壁仕上げとして高い人気があります。
リシン仕上げには、「吹き付け」や「掻き落とし」などの施工方法がありますが、ここでは特にリシン吹き付け仕上げに関する問題点について解説していきます。
メリットの多いリシン吹き付け仕上げ
骨材として細かい砂利や砂を使用し、塗料を混合してコンプレッサーで吹き付けるモルタル外壁の仕上げ方法を「リシン吹き付け」の仕上げ工法と呼んでいます。
砂や砂利を混ぜた塗料を吹き付けることにより、きれいな凹凸ができますし、まるで砂壁のような仕上りに人気があります。木造住宅のモルタル外壁の仕上げ方法では、リシン吹き付けが採用されることが多く、昔からよく見かける施工方法です。
外壁表面の凹凸により、光が拡散されます。ツヤや光沢を抑え、落ち着いた印象を与えるには最適です。吹き付け後掻き落とし作業が必要な「掻き落とし」工法よりも、吹き付け工法のほうが施工価格が安くなっています。
また、リシン材は、アスベストを含んでおらず、塗膜の上に通気性、透湿性の高い層ができるので、木造住宅の外壁も長持ちします。
リシン吹き付け工法にもデメリットがある
リシン吹き付け仕上げは、施工価格を低く抑えられますが、耐用年数が約2年程度短くなります。耐用年数は、8~10年ですので、シリコン塗料による塗装と同じぐらいの耐久性だと考えておきましょう。
そして、リシン吹き付けは、ひび割れが発生しやすいというデメリットがあります。モルタル外壁は、もともと伸縮しやすく、リシン材が追従できない場合は、必ずひび割れができます。
こうしたモルタル外壁のリシン吹き付けのデメリットを補うために、弾性リシンというリシン材があります。弾性リシンを使うと、モルタルの伸縮に追従できるため、外壁はひび割れしにくくなります。
弾性リシンは通常のリシンよりも施工価格が上がります。耐久年数も上がりますので、予算に余裕のある方は、リシン吹き付けでは弾性リシンの利用を検討してみてください。
リシン吹き付け工法は、その他にもざらざらした表面により、汚れがつくと溜まりやすく、なかなか落ちないというデメリットがあります。
自然の風合いのある凸凹したざらざら感のある外壁は、砂や煤などの汚れがつきにくく、湿気の多い場所では、カビや苔の発生しやすい場所になってしまいます。
白やベージュなどの汚れが目立ちやすい明るい色の場合は、経年劣化と共に汚れに色がつき外観が汚くなっていきます。特にカビは、一度発生したらなかなか完全に除去できないので、リシン仕上げの外壁の寿命を短くしてしまう恐れがあります。
メンテナンスにも配慮したいリシン吹き付け仕上げ
リシン仕上げの外壁は、経年劣化による、ひび割れ補修や塗装メンテナンスが欠かせません。塗装の場合は、吸い込みを抑えるシーラーを下塗り材に使用します。ひび割れや凹凸を埋める微弾性フィラーやサーフェイサーなども使用し、下塗りを丁寧に行います。
上塗り塗料には、従来のリシン仕上げの風合いを生かすためのツヤ消し塗料を使用してください。ひび割れの発生が予想されるなら弾性塗料がいいでしょう。また、セルフクリーニング機能を備えた塗料は、汚れやカビなどの発生を抑えることができますので、おすすめの上塗り塗料となります。
AKIHIKO ICHIKAWA