遮熱塗料の省エネ・節約効果はどの程度?
「遮熱塗料なら、真夏の冷房時の光熱費を節約できる!」と聞いたことがありませんか?遮熱効果の高い遮熱塗料は、太陽光を反射することができ、温度上昇を抑えますが、正しい知識がなければ全く効果が出ないこともあります。どんなお住まいや設置環境なら遮熱効果が高くなるのか、省エネ・節約効果はどの程度なのか、などについてお伝えします。
遮熱塗料の特徴やメリットとは?
遮熱塗料は、付加機能を加えた高い機能性を持つ塗料です。太陽光に含まれる紫外線などを反射して、温度上昇を抑える効果があります。遮熱塗料の遮熱とは、太陽光などが外壁に当たり熱エネルギーが発生しますが、その太陽光を反射することです。
遮熱塗料は、熱エネルギーが発生する前に温度上昇を抑えることができる塗料です。遮熱塗料を屋根や外壁に塗ると、夏場の室内の気温上昇を抑えます。そのため、冷房や扇風機を使う機会が減り、光熱費の削減につながります。
また、金属屋根に使用すると、気温差による金属の膨張や収縮がなくなり、金属の劣化現象を防ぎます。温度差による金属サイディングの反りや塗膜のひび割れなどが発生しにくくなります。
省エネ・節約効果を検証
屋根や外壁の色は、塗装表面や室内の温度上昇に大きな関係があります。特に黒や紺などの濃い色を使用している場合は、遮熱塗料を使用すると効果的に温度上昇を防いでくれます。他にも昔の建物や倉庫などで断熱材を使用していないケースでは、遮熱塗料を塗るだけでも体感できるほどの表面や室内の温度の低下が見られます。
具体的な数字を掲載すると、屋根の表面温度なら最大20℃まで低下するというメーカーのデータが公表されています。また、同様に室内の温度低下になると約3~4℃、光熱費換算では約15パーセントの節電効果が期待できます。冷房に関する費用しか削減できませんが、無駄なお金を支払う必要がなくなります。
また、コストに関しても、通常の塗料に遮熱の付加機能を加えるだけで、1平米あたりプラス100円程度の上乗せで済み、毎年節電効果が期待できるなら、コスパに優れた塗料であると考えられます。
遮熱塗料を使うべきか、塗装するときの注意点など
メーカーが公表する数値では、確かに室温の低下、光熱費の削減につながっていますが、実際に遮熱塗料を使用すると、最大の効果が得られるケースは少ないと考えていいかもしれません。遮熱塗料の塗膜は、汚れがつき、劣化すると十分な遮熱効果が発揮されないからです。
また、屋根の色や塗装面の色にも大きな影響を受け、黒と白では太陽光の反射率が60%程度変わってしまいます。外壁塗装では、白はもともと太陽光を吸収しにくい色で、あえて遮熱塗料を塗る必要はありません。汚れなども目立ちますし、白以外で好きな色が濃い色なら、遮熱塗料が有効でしょう。
遮熱塗料は、暑さに苦しんでいて、夏場に冷房などの電力をよく使用する環境にあり、夏場の光熱費を抑えると一年の節電効果が高くなる場合には、検討するべき塗料なのかもしれません。
AKIHIKO ICHIKAWA