塗装に関して、厚生労働省が認定する国家資格に「塗装技能士」があります。知識だけではなく、実技試験や現場経験が必要な難しい資格です。有資格者の在籍する塗装業者なら安心して仕事を依頼できると思いがちですが、塗装業界はそんなに単純な世界ではありません。資格は、あくまでも塗装業者選びの目安として捉えておきましょう。
国家資格「塗装技能士」はどんな資格?
塗装技能士は、塗装のスキルの高さやレベルを証明する国家資格です。1~3級まであります。塗装の仕事には資格は不要です。こうした難しい資格は、塗装業界を目指す人、初めて塗装の基本を学ぶ人、将来独立したいと考えている方などが取得することが多いようです。
塗装技能士の試験内容は、いくつかの職種に分かれており、その中の得意な職種で受験できます。例えば、木工塗装、建設塗装、金属塗装、噴霧塗装、鋼橋塗装などの作業に分かれます。
塗装技能士のレベルは三段階
塗装技能士のレベルは三段階に分かれています。1級は実務経験が7年以上、2級は実務経験が2年以上、3級は実務経験6か月以上です。技能検定試験では、学科試験の他にも実技試験があり、両方に合格しなければなりません。
1級は、厚生労働大臣が認定する国家資格ですが、2級は都道府県知事認定の資格です。実務経験があって、塗装に関する知識が豊富な方は、1級を取得しています。ちなみに1級の合格率は50%前後です。実務経験が15年以上なら、その上の塗装指導員を取得しているプロフェッショナルもいます。
塗装技能士プラス長年の塗装業実績が必要
塗装業者選びでは、塗装技能士などの難しい資格を持っているかどうかはあまり関係ない場合があります。個人では優秀な塗装職人が在籍していても、会社の経営方針がよくない悪質塗装業者なら、結果としてよい仕事をしようとしてもできない場合があります。そのような場合は、10年以上の塗装業としての実績があると都道府県知事から許可された塗装業者を選んでください。
工事金額が500万円を超える塗装工事には、塗装工事業の許可が必要です。「塗装工事業」の許可は、5年ごとに更新があります。都道府県知事の塗装工事業の認可は、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかにない業者に与えられています。
塗装業界で働く意識の高い人が集まる会社ほど、塗装技能士の有資格者が多いのは事実です。実務経験が必要となる資格は、仕事にも直結します。営業年数の長い塗装業者ほど、自然に資格の取得者が多くなる傾向があります。
AKIHIKO ICHIKAWA