クラック(ヒビ割れ)補修は塗装前に必ず行う下地処理
モルタルなどの外壁面を見ると、築年数が経過した古いお住まいの外壁面ほど、クラック(ヒビ割れ)をたくさん見かけます。
大小多くのクラックが目立つようなら、なんらかの対処や調査も必要です。
クラック(ヒビ割れ)を見逃していたり、クラックを補修しないで塗装したりすると、クラックのわずかな隙間でも塗膜が割けてしまうことがあります。
大きなクラックほど特殊な処理を伴う補修が必要となりますが、クラック補修は、塗装前の下地処理でも大切な作業工程となっており、省略されることはありません。
今回は、塗装時の下地処理で行われているクラック(ヒビ割れ)補修についてご紹介していきます。
クラック補修は下地処理の定番作業です!
塗装前の下地処理といえば、高圧洗浄、ケレン作業、コーキング・セメント補修、パテ埋めなどの数多くの各種作業工程があり、一括りにして説明するには思った以上に内容が豊富であるということに気づきます。
クラック補修は、下地処理の中でいえは「コーキング・セメント補修」に入ります。
モルタル外壁の場合は、例えば、セメントやパテ埋めなどによるクラック補修がよく実施されています。
モルタルやコンクリートを素材とした外壁は、築後10年以上経過しているなら、よく見ると目視でも経年劣化で傷んでいて、クラック(ヒビ割れ)が発生していることがわかります。
地震などの揺れが強い地域や頻繁に振動しやすい地域にお住まいなら、モルタル外壁面にクラック(ヒビ割れ)が発生している可能性が高く、経年劣化が進んでいるなら、外壁の点検や調査を依頼するなど、まずは状況把握に努めるようにしてください。
窯業系サイディングの場合は、塗膜の細かなひび割れ(ヘアークラック)などが発生することがありますが、強い力が加わらない限り外壁材に大きなひび割れが入ることはなく、どちらかといえばシーリング補修などを実施する機会のほうが多くなるでしょう。
お住まいの外壁材がモルタルやコンクリートの素材であった場合は、塗装前にクラックの補修を行うことは当たり前となっています。
なぜクラック補修が必要なのか?
塗装面にクラックがあると、塗料を吸い込んだり、塗装後に裂け目ができたりし、凸凹した塗装面になってしまい、塗装後にもすぐに剥がれるなど、手抜き工事や施工ミスを指摘されることもあります。
こうした理由から、塗装前にはクラック補修が必要ですし、何も問題がなかったとしても、下地処理ではクラックがないかどうかをきちんと確認してから次の工程に移ります。
モルタル外壁の場合は、窯業系サイディングなどの外壁材と比べると、工法や性質の違いから見てもクラック(ヒビ割れ)が起きやすいということがわかっています。
クラック(ヒビ割れ)部分は大小に限らず、必ずシーリング材でしっかりと接着して埋めて、表面を滑らかにするような補修を行っています。
そのまま塗装すると、凸凹した違和感のある塗膜にもなりますし、塗膜のクラック(ヒビ割れ)も時間がたつと拡大していきますので、クラックの補修は必ずやっておくべき重要な作業です。
クラック補修は、外壁面の状態やクラックの大きさによって適切な補修を行っています。
素人には難しいので、無理せずに必ずプロの塗装業者やクラック補修を得意とする専門業者に点検や施工を依頼することになるでしょう。
大きなクラックの補修に関しては特に注意を要し、クラック部分を削ってからシーリング材を埋める作業も必要で、作業内容も複雑になってしまいますし、作業を間違うと失敗してやり直しになってしまいます。
クラックの大きさに応じた適切な補修が大切!
クラック(ヒビ割れ)の程度は、大きく2種類に分けることができるでしょう。
髪の毛のように細長い形をしている「ヘアークラック」とは、ヒビ割れの幅が0.3ミリ未満の小さなクラックで、クラックの症状として軽い部類に入ります。
一方の「構造クラック」といえば、ヒビ割れの幅が0.3ミリ以上の大きなクラックのことで、症状がひどく補修がすぐに必要なクラック、ということになるでしょう。
小さなヘアークラックの場合は、シーリング材と呼ばれる補修材を擦り込んで、表面を滑らかにして、塗装作業に影響がないようにします。
ヘアークラックの補修は、比較的簡単な作業ですが、点検を行って自然発生したような微細で悪い影響を及ぼさないような症状なら、経過を見守るほうがいいでしょう。
大きな構造クラックになると、ヒビ割れしている箇所を電動工具でさらに大きく広げて溝を作ります。
この作業により、シーリング材やセメントやパテなどを流し込みやすくなり、接着面もしっかりとしますので、この作業はとても重要です。
その後、シーリング材などで溝を埋めるような補修作業を実施しています。
構造クラックの場合は、クラックの影響が建物内部や外壁材の裏側にまで影響しているなら、複雑な補修作業になってしまいます。
例えば、クラックの部分から水漏れが起こっている場合は、湿って腐食した部位も存在することがあるので、取り外して確認し、だめになった部位は全て除去する必要があります。
ポイントとなるのは、建物内のあちらこちらですでに水漏れや雨漏りが発生しているケースです。
こうしたケースでは、すでに木材などが腐っていることが多いので、下地処理での構造クラックの補修は複雑になり、作業内容も本格的になります。
時間が経過してクラック補修で解決できないといった時は、外壁材を交換するなどの大掛かりな工事が必要となりますので、早めに対処するようにしましょう。
AKIHIKO ICHIKAWA