屋根や屋上の防水工事の中でも一般的なタイプとして知られる工法が、「塩ビシート防水」です。ここでは、塩ビシート防水の特徴の解説やメリット・デメリット、どういったケースで採用すべきかなどについて解説します。
塩ビシート防水を採用したほうがいいケース
主な防水工法といえば、シート防水、塗膜防水、アスファルト防水などです。それぞれの防水工法の違いは、施工箇所や用途ごとに防水層の機能が長期間正常に維持できるかどうかを決定しています。塩ビシート防水は、屋上、庇、木造のバルコニーなどによく使用されています。
次は、塩ビシート防水の特徴やメリット・デメリットについてもう少し詳しく解説していきます。
塩ビシート防水とは?
塩ビシート防水工事は、防水シートを接着剤で下地に貼り付ける工法です。防水シートは、塩化ビニール樹脂製です。貼り付けるだけですので、施工が容易です。複雑な形状や狭い場所でも、シートのつなぎ目は熱風で溶かして一体化するので、つなぎ目が目立ちません。
下地調整が不要で、湿気の多い場所にも施工でき、紫外線や熱にも強く、耐久性や耐候性に優れています。接着工法と機械的固定工法があります。工期が短く、低コストです。デザインも自由でいろいろな模様がプリントされた防水シートも販売されています。
塩ビシート防水のメリット・デメリット
メリット
塩化ビニール樹脂は、紫外線や熱などの天気や天候による傷みに強く、耐久性の高い樹脂です。デザイン性にも優れていることから、カラフルなカラーや模様の塩ビシートを採用するケースが増えています。伸縮性があり、摩擦にも強い性質を持っています。保護層なしで歩くことができるので、バルコニーにも採用されています。また、鳥のついばみによる穴開きにも強い防水シートです。柔らかく曲げやすいという特徴があり、施工も容易で工期も短期間で済みます。
デメリット
塩ビシート防水は、シート状になっていますが、シートを下地に密着させるには、下地は平らであることが条件です。凸凹した形状の土地には向いていません。シートのつなぎ目は、接着剤を使う場合と、熱風で溶かして接着する場合とがあります。塩ビシート使用されている可塑剤が素材を柔らかくしていますが、気化すると硬化し割れやすくなります。
結合部分が燃えると、ダイオキシンが発生することがあり、熱風で溶かして接着する場合は、細心の注意を払って作業を行う必要があります。塩ビシート防水の耐久年数は、10~15年です。
AKIHIKO ICHIKAWA