屋根のメンテナンスといったら屋根塗装が一般的ですが、他にもカバー工法といったメンテナンス方法があります。カバー工法とは、簡単に説明すると現状の屋根材を撤去せず、そのままの状態で、防水シートを貼り、新規の屋根材をかぶせる工法です。
既存の屋根を撤去しないので、撤去する手間と処分費用が削減できます。工期も短縮可能なため、昨今ではよく利用されている工法です。
現状の屋根を撤去する葺き替え工事では、下地の状態がわるいと大がかりな工事となり、場合によっては、工事期間中は仮住まいということもあります。カバー工法でしたら葺き替えとは違い簡単に工事が可能なので工事期間中に仮住まいということもありません。
屋根材の種類もさまざまですが、軽量なため地震にも強く、屋根が二重になることで、遮熱性、断熱性、遮音性も向上します。カバー工法でよく利用されるガルバリウム鋼板であれば耐久性にも優れているので、イニシャルコストが多少高くても、生涯コストで考えると実はとってもお得な屋根工事となります。
しかし、カバー工法をおこなうためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。例えば、下地がしっかりしていること。下地の野地板が腐っている状態では、屋根を一旦はがし下地から取り換えなければならないため、カバー工法は不向きです。
また、日本瓦などの凹凸がある屋根へのカバーも技術的に難しいですし、屋根が二重になるため、重量のある日本瓦には耐震性的にもお勧めできません。
専門業者にご自宅の屋根の状況と最適な工事方法を提案してもらいましょう。屋根塗装か、カバー工法か、葺き替えか、どれも提案できる業者に見積りを依頼しましょう。
例えば、塗装店は下地状況が悪くても塗装しか進めてこない業者もいます。反対に、屋根塗装で大丈夫なので、高額な葺き替えを提案してくる屋根専門業者もいます。屋根の場合、はじめから工事方法を限定してしまうと失敗してしまうこともあります。
代表的な失敗例は、塗装してはいけない屋根に塗装してしまいすぐに剥がれだしてしまい、結局カバー工法をおこない、1年以内に2回も工事をしてしまったという例があります。
下記の屋根はニチハの「パミール」という屋根材です。パミールは素材自体に問題があるため塗装してもすぐに剥がれてしまいます。塗装でのメンテナンスではなく、カバー工法や葺き替えをお勧めしています。
AKIHIKO ICHIKAWA