モルタル下地の外壁塗装方法
古くから日本の住宅ではよく使われてきたモルタルは、今現在でも住宅の外壁でも使われることがあり、ポピュラーな素材だといえるでしょう。
しかし、デザイン性が高いモルタルにはひび割れが発生しやすいという弱点があるため、その都度下地の補修を行い、ひび割れに強い塗料で外壁塗装を行うメンテナンスを定期的に実施しなければなりません。
今回は、モルタルの素材としての特徴や劣化した時のメンテナンス方法、塗装が必要なケースなどについてご紹介していきます。
モルタルの主な特徴と下地の外壁塗装の必要性
モルタルは、少し前の中古住宅や一般的な住宅の外壁でもよく見ることがあります。
外壁以外にも様々な建物の部位に使用されていますが、外壁として使用する場合は、シートを被せたラス板上に金網を張って、セメントと砂を混ぜたペースト状のモルタルを塗布して仕上げています。
モルタルは、外壁材として使う以外にも応用範囲が広いので、レンガやタイルの接着剤・目地材としても優れた性能を発揮し、汎用性の高い資材として重宝されています。
しかも、職人がそれぞれ持つ固有の技術力や表現力によって、表面の仕上げ、オリジナリティ、美観などが大きく変化します。
モルタルも、他の住宅素材や外壁材と同様に耐久年数が決まっていて、経年劣化すれば、少しずつ不具合箇所が増えていきます。
仕上げ方や設置した環境の状況にもよりますが、モルタルの外壁材としての基本機能を維持するためには、5~10年に一度を目安に、下地補修や外壁の再塗装によるメンテナンスを行い、建物を維持する努力が必要となります。
モルタル下地の劣化状態に注意!
モルタル外壁の再塗装のタイミングは、耐用年数を目安に実施する方法以外にも、モルタルの下地の劣化具合を見て行う方法もあります。
最終的には、点検を行ってから専門家の判断によって補修方法も異なりますので、ご自身だけで判断するのはやめておきましょう。
クラック(ひび割れ)の発生は、代表的なモルタルの劣化現象ですが、クラックの状態がひどい場合は補修が必要です。
溝が深くて幅の広いひび割れ(構造クラック)が発生している場合は、通常の再塗装ではカバーできません。
構造クラックの場合は、補修しやすいようにひび割れ部分の加工を行い、シーリング材を充填した後、追従性の高い弾性塗料による再塗装が行われています。
モルタル特有の経年劣化症状といえば、モルタルの表面上に白い粉がつく「白華」現象です。
この現象は、梅雨や冬場に発生しやすく、原因はモルタルに含まれている水酸化カルシウムが水と反応してできた白い粉のことです。
モルタルに「白華」現象が起こった場合でも、早めに表面を洗浄すれば、比較的簡単に洗い流すことができます。
モルタル外壁であっても、表面が浮いたり、剥がれたり、カビやコケなどもよく発生しています。
また、モルタルを保護する塗料の塗膜が経年劣化すれば、同じようにチョーキング現象、塗膜の剥離や膨れの現象が起こることは間違いありません。
こうした各種症状が見つかったら、モルタル下地もすでに劣化している可能性が高く、塗装などのメンテナンス時期に来ているので、施工業者や塗装業者にも外壁を含めた住宅の総合点検を依頼するといいでしょう。
モルタル下地の外壁塗装を行う際の注意点
モルタル下地への外壁塗装を行う場合は、単層弾性塗料、複層弾性塗料、微弾性塗料などの柔軟性や追従性の高いタイプの塗料を使っています。
塗装方法では、ローラー塗装、モルタルの仕上げの違いによる吹付け塗装、左官仕上げ塗装法などの様々な塗装方法が使えるのがモルタル外壁塗装の特徴です。
モルタル下地の塗装の注意点としては、最初の仕上げでできた凹凸の風合いが、塗り替え時の塗料で潰れてしまうことがありますので、塗料選びには注意しなければなりません。
こうした問題を解決するには、下塗りをシーラーにする方法や再吹付けを行う方法などがあります。
しかし、施工時の吹付けのムラの発生も起こりやすく、作業者による多少の個人差が出てしまいますので、施工後に少し違った印象を受けてクレームになってしまうことがあります。
塗装前の高圧洗浄やケレン作業を含めた下地調整も、モルタル外壁の塗り替えでは特に重視されています。
繊細な作業が多く、仕上がりにも影響しますので、丁寧な作業を行う職人や業者に施工を依頼すべきでしょう。
塗り替えによって塗装した塗膜は湿気により膨れやすくなっていますが、このような不具合が予想できる場合は、透湿性の高い塗料を選ぶと施工後の膨れの心配を少なくすることができます。
AKIHIKO ICHIKAWA