外壁塗装で使う弾性塗料は適切な使い方が大切!
弾性塗料は、ゴムのような性質の柔軟性のある塗料として、外壁塗装工事でもよく使われています。弾性塗料は、使う場所や工法を誤ると工事後のトラブル発生が増え、劣化症状も早く見られるようになりますので、取り扱いには特に注意するべきでしょう。
弾性塗料の特徴や他の塗料との違い
弾性塗料は、弾性機能と呼ばれる塗膜が伸びる機能を持った塗料のことです。シリコンやフッ素などのベースとなる樹脂に硬化剤を配合し、柔軟性や追従性を高めています。弾性塗料の多くは、ひび割れを予防する目的で使用されています。そのため、サイディングボードよりも、モルタル外壁などで使われることが多くなります。
一般的な塗料と区別するために、硬質塗料、弾性塗料といった分類を行います。弾性塗料には、伸び率の違いにより、微弾性塗料と弾性塗料の2つの種類に分けることができます。伸び率が120%以上なら弾性塗料、50~100%なら微弾性塗料ということになります。
弾性塗料を使うべき箇所
弾性塗料は、モルタル外壁の塗り替えではよく採用されています。建物は、地震以外でも大型トラックの通行による少しの振動でも揺れが続くと、ひび割れが発生することがあります。建物が丈夫でも強い揺れや度重なる揺れにより、力が逃げることができなくなる環境ならひび割れしやすくなります。
地震やトラック・車の通行による揺れが多い場所のモルタル外壁では、微弾性塗料や弾性塗料を使い、多少の揺れであっても、塗膜が柔軟に追従し、外壁のひび割れを防ぎます。外壁材にまで被害が及んだひどいひび割れの場合は、ひび割れのシーリング補修を行った後に弾性塗料で塗装します。
窯業系サイディングボードには使えない弾性塗料
モルタル外壁で弾性塗料や微弾性塗料を使うのは普通ですが、窯業系のサイディングボードで弾性塗料を使うことは一般的ではありません。その理由は、熱により塗膜が膨れやすくなるからです。
モルタル外壁とは異なるサイディングボードは、熱を溜めやすいので、内側から柔らかい塗膜が熱により膨らんでしまうことがあります。そのため、サイディングボードには、硬質系の塗料を塗ったほうがよいとされています。
サイディングボードとサイディングボードの間の目地は、シーリング・コーキング材が使われています。シーリング・コーキング材は、ひび割れを防ぐ目的で使われていますが、弾性塗料では追従できないので、目地専用のシーリング・コーキング材を使うようになっています。
弾性塗料の仕上げ工法は3つ
下塗り材には、シーラーやフィラーが使用されています。下塗り材は、上塗り塗料との密着度を高める目的で使用されています。そして、下地の傷みが激しい場合は、フィラーを使用します。
一般的な住宅の塗り替え工事では、「単層弾性仕上げ」といって、下塗り材にシーラーを使い、中塗り、上塗りに弾性塗料を使用します。
屋上やベランダの防水工事では、5工程の「複層弾性仕上げ」工法が採用されます。中塗りに弾性塗料を2回使用し、上塗り塗料も2工程に分けます。厚みのある塗膜により、防水性能を高めることが可能です。
下塗り材に微弾性フィラーを使用する場合は、3工程の「微弾性塗料仕上げ」工法が行われます。